|
F.E.R.C Research Report - File No.024
日本人はなぜ英語が苦手なのか?

1998/10/18 報告 報告者:桐島 夏子
英語が苦手な日本人は非常に多い。アメリカの大学への入学を希望する外国人の世界共通英語能力テスト(トフル= 1.聴き取り能力 2.
文法知識 3.読解能力 677点満点)では、世界163ヶ国中で第一位はオランダ、日本は147位である。トフルの受験生達は特にヒアリング
の困難を訴えている。ATR人間情報通信研究所の山田玲子博士は、「日本人は生後の言語環境の中で、日本語特有の音の聞き取りの仕方
を学習する。この時、脳の中に形成された日本語特有の音声知覚の様式が英語の聞き取りを困難にしている。」と語った。耳から入った
音声は空気の振動として、まず鼓膜でとらえられ、耳小骨で増幅され内耳の蝸牛に伝えられる。高い音には蝸牛の入口の聴細胞が反応し、
低い音には奥の方の聴細胞が反応する。つまり、音の周波数によって反応する聴細胞が異なるのだ。人間の耳は、約16〜20000ヘルツ
の音を聞き分けることができる。聴細胞は脳に信号を送り、脳はそれぞれの周波数を知覚して分析し、聞こえてきた音が「あ」である
と判断する。日本人の音声知覚は、音声一つ一つの周波数のパターンを脳が記憶することによって形成される。日本人はだいたい1歳
までに脳に適応した音声知覚が形成され、それと同時に日本語にない音声を聞き分ける脳神経は次第に衰えてしまう。英語の音声を
聞き取る脳神経が発達しなくなるのだ。例えば、RaとLaは日本人の脳には、「ら」の周波数成分の認識パターンしかないため、この
パターンに似た音声をすべて同じ音声として認識してしまい、聞き分けることができないのだ。日本語にはa,i,u,e,oの5つの
母音が存在する。しかし、その数は世界の言語の中できわめて少ない部類なのである。また、ローマ字表記をすると、音声が必ず母音
で終わることなど、日本語の特殊性を挙げればきりがない。英語を克服するには、1.リスニング能力を鍛える(英語を注意深く聴く、
つまりリスニングによて眠っている脳細胞を活性化し、新たな記憶のネットワークを作る 2.声を出して喋る(発声器官は脳の運動
前野から送られるモーターコマンド=神経制御指令で動かされる。ある英語を正しく発音できるようになればこのモーターコマンド
により、外国人と話したときには正しく聞き取れるようになる)等の方法がある。要は恥ずかしがらずにできるだけ声を出し、
常に英語と接しているということである。
|