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F.E.R.C Research Report - File No.1570
1999年7月・人類滅亡大予言は本当か?

1999/02/28 報告 報告者:吉川 美佐、片山 健、桐島 夏子
「1999の年7の月、空から恐怖の大王が降ってくる。アンゴルモアの大王を復活させるためにその前後の期間、マルスは幸福の名のもとに支配に乗り出すだろう」
(ノストラダムス著・百詩集第10巻72編 日本語訳 五島勉)
マルスとは、戦争や破壊を意味する神のことで、16世紀、フランスの大予言者とされるノストラダムスによるこの詩は、1999年7月人類滅亡の危機が訪れることを予言していると言われていた。ノストラダムス、本名:ミシェル・ド・ノートルダムは1503年12月3日、フランス南部サン・レミのユダヤ商人の家庭に生まれた。医者を営んでいた祖父から、医術・占星術・天文学などの教育を受け、長じて自らも医者となり、当時大流行したペストの治療に活躍した。晩年になって予言書「百詩集」を執筆、国王アンリ2世の妻カトリーヌ・ド・メディシスに宮廷に招かれ、王子たちの未来を占うほどだったという。また、五島勉氏の著書のよると、これまで彼の予言はことごとく的中してきたという。太平洋戦争での日本への原爆投下やナポレオンの台頭、ヒトラーの侵略戦争、ケネディ暗殺などを予言していたというのだ。
「恐怖の大王」の解釈として、次の様な説があげられた。
1. 核戦争勃発説…原爆や水爆が地上に降り注ぎ、都市は壊滅、放射能と核の冬による寒冷化が起こって
人類が絶滅。
2.隕石・彗星衝突説…巨大な隕石などの衝突により、環境大激変が起こる。
3.悪の支配者台頭説…邪悪な支配者が人類を抹殺する。
4.人工衛星墜落説…放射性物質プルトニウム238を搭載した土星探査船カッシーニが墜落し、放射能汚染をもたらす。
しかし、関西外国語大学の大高順雄博士によると、この詩は、1999年に何かが起きるという解釈にはならないという。ノストラダムスの詩は、当時の社会で起こった事件を題材にしているという。 16世紀、フランスでは戦争や略奪が繰り返し起こっており、疫病も流行していた。その不満をそのまま出版すれば、王や教会などの権力に命を奪われる危険があった。そこで、自分の文章をわざと未来を予言したように見えるように書いたのではないかというのだ。
大高博士によると、この詩の正しい訳は「1999年、多分3月までの7ケ月の間、空から金遣いの荒い大王が現れる。フランソワ一世のような王様を蘇らせ、運よく支配するために」となる。この金遣いの荒い大王とは、フランス国王フランソワ一世と対立して戦争を繰り返した神聖ローマ帝国皇帝カール5世のことで、戦争によって国民を苦しめた二人の国王を風刺したものであるという。そして、1999年という年号もフランス4行詩の音韻のきまりに従って、適当に決めた意味のない年号であるというのだ。
信州大学の菊池聡博士によるとノストラダムスの4行詩のような難解であいまいな文章は、どのような意味にもとることができる表現方法で、これはマルチプルアウトといわれるという。1000編近くも詩があるため、何か事件が起こってから後付けでその事件を予言しているような詩を探し出すことは容易であり、しかもそういった作業をする研究者もたくさんいるというのだ。研究者が「ノストラダムスの詩は当たる」と思い込んで解釈すると、当たった例をたくさん見出せるのである。このように自分の考えの正しさを証明するために認識を歪めてしまう思考傾向を確証バイアスという。
ノストラダムスは当時、季節の話題や生活の知恵などの娯楽雑誌や、料理と化粧法のガイドブックも執筆するなど、人気作家といった一面を持っていた。ノストラダムスの詩は、人類の歴史を予言したものではなかったと考えられる。
今の世の中に一度終わりや破壊がくるという「終末論」は、様々な宗教の教義で用いられている。人間には、終末予言にひきつけられる心理的メカニズムが存在するという。未来に悪いことがあっても心理的ダメージを受けないように、無意識に悪い未来を予測し心の備えをするというようなことである。また、予言を信じてしまった人々が、その予言に沿った行動をとることにより、実際に悪い事が起こってしまうこともあると考えられ、これを、予言の自己成就と呼ぶ。1939年、ナチス宣伝相ゲッペルスの妻マグダは、百詩集第3巻57編の「1939年にドイツ・イギリス・フランス・ポーランドの間で起こる大戦争を予言している」という研究本を読み、夫に報告。この予言はナチスドイツ全国民に宣伝されて、第2次世界大戦に結びついた可能性もあるというのだ。
我々は各個人が自分を見つめ、外部情報に惑わされないように注意する必要がある。予言が実現するのかどうかは、心掛け次第なのである。
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