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Research Database No.u003

「噂の検証ファイル〜くさい玉の正体を調査せよ」
hr
2004/01/11 報告 


喉から飛び出す「くさい玉」

2000年1月、インターネットにある掲示板の書き込みから、爆発的に広がった噂があった。
ある女子高生が、数日前から喉の奥に何か異物があるような感じがして気になっていたという。
そんなある日、彼女が咳をした途端…

何と口の中から、白い玉が飛び出したのである。
その物体は、一見まるで紙粘土を丸めたようで、大きさは直径5〜6ミリ。
触ってみると柔らかく、弾力性があった。さらに力を込めてみると、その物体はぐにゃりと潰れ、その瞬間!

思わず鼻を覆うほど、強烈な生臭いニオイを放ったのである。
そこで彼女は、この玉を「くさい玉」と命名し、出るたびに潰して遊ぶようになった。

しかし、大人になった現在でも時々「くさい玉」が飛び出すことに、彼女は『これは何か重大な病気の兆候ではないのか』と、不安になり始めた。そこで原因を突き止めようと、インターネットの掲示板に『くさい玉』のことを書き込んでみたのである。

すると…全国から、
「私も出ます!」「仲間がいてうれしい」「自分だけかと悩んでいた」
という人が続出。
「自分は出ないからわからない」というメールも含め、喉から出る謎の塊について、
800人近くから反応があったというのだ。


これが、「くさい玉」に関する噂である。
『口の中から突然、潰すと強烈に臭う「くさい玉」が出ることがある』。
果たして、この噂は本当なのか?

インターネットの掲示板に寄せられたメールで、くさい玉の正体として最も疑われていたのは、痰。だが、東京医科歯科大学の岸本誠司教授によれば、痰は、そもそも肺や気管支から出る分泌物であり、くさい玉のような強烈な臭いを発することはまずないのだという。

そこで、さらに調査を進めたところ、このくさい玉に似ているものがあるという証言を得た。
笠井耳鼻咽喉科クリニックの笠井創医師によれば、このくさい玉は「膿栓」と呼ばれるものではないかという。

膿栓(のうせん)とは・・・
●喉の奥の両脇には、扁桃という部位があり、外部から体内へ侵入してきた細菌や、
 ウィルスをキャッチし、撃退・排除する役割を果たしている。
●その扁桃の表面には、10個から20個ほどの陰窩(いんか)と呼ばれる
 直径3〜4ミリの小さな穴が開いている。
●その陰窩には、ウィルスや細菌の死骸や死んだ細胞、
 食べ物のカスなどが貯まることがある。
●これらが固まったものが「膿栓」とよばれる。

膿栓の大きさは、直径約3〜5ミリ程で、色は乳白色。
臭いも食べかすなどが詰まったものなので、強烈な臭いがするという。
確かに、噂で聞いた『くさい玉』と特徴が一致している。だが、本当に「膿栓」がくさい玉の正体なのだろうか? 笠井先生によれば、「くさい玉」、いわゆる膿栓は誰にでもあり、見ることが可能だという。
そこで、20代〜40代の被験者、4人に集まってもらい、本当に膿栓が誰にでもあるものなのか内視鏡で喉の奥を観察してみた。すると、被験者の一人の扁桃部分に小さな膿栓が確認できたのだ。先生に取り出してもらうと、出てきたのは、直径約2ミリの膿栓で、強烈な臭いもあった。やはり、くさい玉の正体は、「膿栓」で間違いないようだ。

他の3人の被験者の喉の奥にも、膿栓が見られるか調べてみたが、その姿は見られなかった。膿栓がある人と、ない人の違いは、一体何なのだろうか?笠井先生によれば、膿栓はほとんどの人にあるものなのだが、喉の形状や、陰窩の深さなどで、膿栓が出やすい人と、出にくい人がいるという。そこで、先ほど膿栓が確認出来なかった3人の被験者の扁桃をもう一度、綿棒で軽く押してみたところ・・・

なんと、全員の陰窩から膿栓がでてきた。くさい玉は実在するばかりでなく、誰もが持っているものであることが、判明したのだ。笠井先生によれば、この膿栓は、特に大きな病気の兆候ではないが、口臭の原因になってしまうことがあるという。今まで口臭の原因として、虫歯や、歯周病、唾液の減少などが上げられていたが、膿栓も、口臭の重要な原因の一つだったのである。

歯周病などの心当たりがなく口臭が気になる方は、膿栓をチェックしてみた方がよいだろう。だがもし、膿栓が確認できても自分で無理にとってはいけない。喉の粘膜を傷つけてしまう恐れがあるので、耳鼻咽喉科で除去してもらう方がよいだろう。さらに、笠井先生によると、特に冬、この時期は、膿栓が出る量が多くなるという。冬は空気が乾燥しているためホコリが空気中に舞い上がり、ホコリに細菌やウィルスが付着。それを口や鼻から吸い込むことで、扁桃炎が起こり、膿栓の量も多くなるというのだ。

そこで、膿栓の予防方法。
『緑茶や紅茶でのうがい』
これは、緑茶や紅茶に含まれるカテキンの効果で、膿栓のもととなる、細菌やウィルスの増殖をある程度防ぐことが出来るというものである。また、うがいにより膿栓の元となる食べカスや、雑菌を除去することができるので、膿栓予防に効果があるという。

ネットを騒がせた『くさい玉』。その噂は本当であるばかりか、実は、誰もが持っているものだったのである。

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