子どもの自殺予防 とにかく話を聴いてあげて(第2回)
三重県で、私立高校に通う16歳の男子生徒が3月3日に自殺していたことが明らかになりました。
遺書に、「暴言や暴力」といった言葉があったといい、いじめを苦にして悩みぬいて、死を選んだとすれば、どんなにつらかったか、胸が締め付けられる思いがします。
ネット上の暴言など含めいじめはますます陰湿になり、大人の目に見えにくい形になっているといいます。
周りの子どもたちも、そして被害者本人も、大人に相談するのをためらい、学校の教員や保護者が気付くのは簡単ではない現実があります。
いじめについては、別の機会に書きますので、今回は、子どもの自殺について、かなり長くなりますが、まとめてみます。
今年の1月19日、文部科学省は、学校の教員向けに「子どもの自殺防止マニュアル」をまとめ、今月下旬には各学校に配布します。(文部科学省のHPでも公開予定)
精神科医や自殺予防の授業に取り組む教員らが中身を練り上げたもので、教員(ひいては親含む大人)や同級生が、自殺しそうな子どもがいた場合、どう対応するとよいのか、また、不幸にして子どもが自殺した場合の対応も詳しく書かれています。
このマニュアルをまとめる会議の中で医師らが強調し、最終的にマニュアルにも盛り込まれたポイントは以下です。
■自殺の原因は複合的■
いじめが唯一の理由である場合には、学校などで事実関係を調べる必要があるが、
実は、子どもの自殺の理由は多岐にわたっていて、多くは、様々な悩みが複合的に重なった結果である。
(警察省が遺書などに書かれた内容を集計した結果、2007年度、未成年の自殺者548人の原因・動機は(自殺者一人に3つまで理由計上)
精神疾患・うつ病の悩み138人、進路・成績の悩み91人、男女問題の悩み54人、いじめ・学友との不和35人、家族の不和28人)
■簡単にはいかないが、自殺は予防できる■
突然の自殺に見えても、実は、子どもは救いを求めて、声をあげていることが多い。
周囲がそれに気づいて、信頼の絆を回復することこそが自殺予防につながる。
危険なサインを見つけたら、とにかく寄り添って話をきく。「励ます」「叱る」は厳禁。
精神科の医師によると、「最後の一本の藁」という言葉があるそうです。砂漠を歩くらくだに次々と重い荷物を負わせ、まだ大丈夫だろうと、最後に一本の藁を乗せたところ、らくだの背骨が折れてしまった。負荷に耐える力が限界に達している場合、藁一本でも、命とりになる・・・というたとえです。
たとえば、両親が不仲で、友達と喧嘩した上に、成績悪化、その上、転居したなど重荷が重なり、相談する相手もいない場合、誰かのちょっとした一言や、傍目には小さく見える失敗でも自殺にいたる危険があるというのです。
よって、子どもの自殺(大人も同じかもしれませんが)を防ぐには、悩みが重なる、深くなる前に、保護者や教員などが子どもの変化に気づいて、何が不安なのか理由を探っていき、具体的に軽減策(転居を延期する、夫婦喧嘩をやめる)をとるのが、初期段階での対応です。
自殺に至る前に、子どもが見せる変化(=救いを求めて出す「叫び」)とは、文章や絵に「死」について書く、小さい子どもなら画鋲を飲む、道路に飛び出すなど危ない行為や怪我を繰り返す、手首を切るなど自傷行為をする、服装や性行動が急に過激になる、・・・などだそうです。
自殺したお子さんの保護者の方が「どうして事前に察知して止められなかったのか」と悩まれる例もあるといいますし、こういった「サイン」を見つけるのは難しいかもしれませんが、自分の子どもの表情の変化などを日ごろからよく見守る姿勢が、忙しい現代こそ必要ということですね。
次に、こういった「自殺に至るサイン」を見つけたり、「死にたい」と打ち明けられたら、大人はどうすればいいのでしょうか?
とにかく、寄り添って、大切していることを伝える。(言葉で表す、ただぎゅっと抱きしめてもよい)
そして、子どもの絶望的な気持ち、死にたい気持ちをひたすら聴くことだそうです。
「死ぬなんて馬鹿なこと考えるな」とか「頑張れば元気になる」など励ましたり、叱ったり、説得しようとせず、寄り添って、話をきくことが大切。
そして、子どもが精神的に追い詰められている場合、学校のカウンセラーや精神科医の助言を仰ぐことが必要だといいます。
それから、これを読んでいる若い皆さん、もし友達から「死にたい」と打ちあけられたら、話をそらしたり、冗談と受け止めず、とにかく聴いてあげてください。人に話すことですっきりすることもあるしね。
そして、「秘密にしてね」という言葉があったとしても、友達の深刻な変化について、信頼できる大人に必ず相談してください。友達の深い悩みをあなた一人で抱え込んでも、なかなか解決できないし、もし、その友達が自殺してしまったら、その友達も、恐らく一生苦しむであろうあなたも、ともに不幸になってしまうから。
1月、この「自殺防止マニュアル」をニュースZEROで放送した際、10代の時、自殺未遂をした経験から、自殺予防の小説をネットで公開するなどの活動している作家の中園直樹さんに話をききました。
中園さんも、「自殺願望を察知したら、大人はとにかくありったけの愛情を注ぐこと。」と言います。
そして、「まずは子どもの信頼を得ないといけないのだから、余計なことは一切言わず、ただ話を聴いてあげる。自分に何ができるかなどと思わず、とにかく信頼を勝ち得ることをめざしてほしい。
信頼してくれないと、子どもは’ありがとう’とその場では言っても、’でも、僕は死ぬよ’となってしまう。自分にできることはないかもしれないけど、支えくらいにはなれるかもしれない、と言われたら、何となくこの大人に話してもいいかなと思う。
救うというと完全に上から見ている言葉なので、’支えになりたいと思ってる’というと響くと思う。」ということでした。
第一回のブログでも、不登校の背景には、孤独に陥りやすい現代社会があると書きましたが、自殺に至る場合も、深い孤独感があるといいます。
結局、子どもも大人も、いかに家庭や学校で「一人じゃないよ」と伝えあい、「大切にされている」と実感できるか、なのですね。 子どもとしっかり向きあえているかというと・・・慌しい毎日を反省するばかりです。
庭野めぐみ
Comment
マヤ さん
子供の自殺はとても痛ましい事だと思います。
私は、小学生から中学生くらいまで度々いじめを受けてきました。
辛くて死にたいと思うこともありました。
でも、私の場合は学校の先生が親身になって話を聞いてくれ、助けてくれました。私は本当に恵まれていたと思います。
私は、教師に話して解決する事が出来ましたが、今は話してもややこしくなるし無駄だと感じてる子も多い気がします。
話を聞いて欲しくても、一番身近な両親が忙しいと子供は遠慮をしてしまうのだと思います。
私も辛い事があっても、誰にも気付かれないように一人で抱え込んでいた事もありました。
自殺防止マニュアルというものがありますが、自殺防止にマニュアルなんているのかと思います。
少しは防止出来ると思いますが、マニュアルにとらわれて一人一人違うSOSを見逃す事がないのだろうかと思います。
やっぱり一番は、話をする事だったり関心を持つ事じゃないかと思います。
今、核家族で共働き、母子家庭が増えてきて子供が一人でご飯を食べたりする事が増えてきているとすれば、やっぱり一言でもいいから会話が重要だと思います。
子供は宝。
まとまりない文章ですいません。
2009年5月26日 16:25
Chip さん
私は、強烈に感じたのが、小学5年の時。
夏の土砂降りの中、犬の散歩に出掛け、今日こそ死のうと思って出掛けた。
いつもは短い距離しか散歩しない犬たちも喜んで歩いていたが、
いくら何でも途中で、「帰ろう」と言い出した。
何度も騙しながら、1キロぐらい歩いた。
しかし、ついに犬も騙しきれず、帰ろうと後込みして、梃子でも動かなくなった。
しょうがなく、我が家に帰った。それ以来、死なないための
「死にがい」を見つけては、それを達成するまでは頑張って
死なない様にしようと、生きてきた。
40頃鬱病の診断が出て、薬を飲んだら、あっという間に善くなった。
多分、私は小児鬱病だったんだと思う。
2009年5月 1日 16:21
葵 さん
私は今年の春から高校生になる者です。
私は自業自得でいじられて、長い間登校拒否をしました。その間に自殺しようともしました。遺書も書きました。でもいざ死のうとしても怖くて出来ませんでした。
3年になってからは色んな事が見えてきました。今まで皆に囲まれていた女子が変な噂を立てられて長い間休んでいた事。誰かがリスカをしていた事。色々な事を知りました。皆「プロフ」というものをしていますが、私にはまだ理解ができません。自分の顔をだして何になるのかなとか、疑問ばかりが浮かんできます。
でも・・・これは中学を卒業したから言えるのですが、それにこんな私がこんな事をいうのもなんですが、どうか全国のお母さん、お父さん。私たちの言う事も少しでもいいから聞いて下さい。ただ聞いて下さい。お願いします。
今、私は母と父と小学校の時からの友人のお陰で立ち直り、今では皆が大好きです。
2009年3月20日 02:08
菫 さん
うちの今度中学生に成る娘は父親を知りません。物覚えつかない頃にあたしがその元ダンナの言葉の暴力で鬱病と不眠症に成り別れたからです。あたしもその時は言葉の暴力に耐えきれず何度も自殺しようと考えていましたが子供が居るからと言う理由で結局思い留まりました。その後あたしは鬱病で2回入院しましたが治らず実家に引きこもってました。それから何年か過ぎて出会い系では有りますが今付き合って9年位に成る彼氏が居ます!その彼氏の支えも有って鬱病は治りましたが不眠症は未だに治らず今日も神経内科に行って睡眠薬貰って来ました。2週間に1回行くのですがちゃんと先生と子供の事とか話し合って何とか上手く生活出来てます!彼氏とは3年前から同棲してて子供は実家に預けてますが最近自宅と実家が近い事も有り毎週実家に帰って来て子供の話し聞いてます。その娘が小学生3年の時にいじめに合って3回自殺しようと考えてたと聞いた時にはショックの余り声も出ませんでした。その後いじめも無くなり今は本人はクラス全員に嫌われてると言いつつも1人で居る方がラクだと思ってるみたいです。彼氏の娘への支えも有って今は元気に学校行ってます。あたしもそうだった様に何も子供に対して難しく考える必要は無いと思います。ただ人の事は言えませんが今の子供の心の声を聞いて上げて欲しいと思います。誰だって人間は1人では生きて行けません!何でも小さな事で良いから自分の子供に先ず関心を持って欲しいと思います!大人が声を荒立てるのは先ず子供の話しを聞いてからだと思います!学校から帰っても何も話してくれないならそれはそれでただ子供の行動に関心を持って欲しいです。何も言わなくても子供は子供成りに色々考えてると思います!ただ見守って下さい。それだけでも子供の態度が変わると思います!子供の自殺防止の為に先ずは自分の子供を見守りましょう!
2009年3月 6日 17:03
高田啓二 さん
子供達に命の価値、自分の役目を教えていく事が、大切だと思います。人はどんな状況だったとしても、その人にしか出来ない使命がある事を、私達大人が、真剣に語り、励ましていく様、努力しなければならないと思います。自分も他人も、いや、どんな命も尊い。この命の重さの再確認が、必要だと思います。
2009年3月 6日 17:01