村山アナ:
おはようございます。視聴者の皆様と日本テレビを結ぶ『あなたと日テレ』。この番組は、日本テレビの番組に対して、皆様から寄せられたご意見やご批判に耳を傾け、今後の番組作りに役立てて行こうというものです。



山王丸アナ・村山アナ

村山アナ: 今朝は、今国会で審議入りした「人権擁護法案」と「個人情報保護法案」、そして自民党が検討中の「青少年有害社会環境対策基本法案」について放送時間を拡大してお送りします。

山王丸アナ: 今、テレビや新聞等の報道機関が大きな危惧を抱いている、ただ今ご紹介した3つの法案、いわゆるメディア規制3法案と呼ばれている法案は、人権擁護、個人情報の保護等、本来の目的から離れてメディアの取材、報道活動を規制する恐れがあり、国民の知る権利を制限するとして民放連やNHK、そして新聞協会等はこれに反対しています。

村山アナ: なぜ、メディアはこれに反対しているのでしょうか。法案が国会で成立、運用されると、例えばこんな事にもなりかねないからです。

山王丸アナ: ある政治家について金にまつわる疑惑が浮上したとします。その疑惑情報を入手した記者は取材を開始。ところが、その政治家は人権擁護と個人情報の保護を盾に、記者に対して取材源を明らかにしろ、と圧力をかけたり、記者の取材活動に付きまといや待ち伏せがあったとしてこの取材自体を妨害する事が考えられるのです。

村山アナ: 元より、人権は守らなければなりません。また、個人情報も守られなければなりません。しかし、表現の自由、報道の自由に国が介入し、自由に取材ができなくなるような事が起こって良いのでしょうか。そうなれば、犯罪や不正の追及にブレーキがかかってしまいます。

山王丸アナ: 日本テレビでは去る4月23日、第357回日本テレビ放送番組審議会を開き、審議委員の皆様のご意見を伺いました。この放送番組審議会とは社外の有識者によって構成される審議機関であり、日本テレビの番組の適正化を図るための議論を月1回のペースで行っているものです。

村山アナ: 今回の議題はいわゆるメディア規制3法案に関する審議です。委員の皆様からどんなご意見が出されたのでしょうか。その模様をご覧頂きます。

A委員: どうも官僚の世界、国会の中での土俵で戦っているような気がするんです。つまり向こうの土俵で戦っている。そうでなくて、やっぱりマスコミはマスコミの土俵へ連れて来なければならないので戦う場所が違うと、それでどうするかと言ったら例えばテレビで、この3法案についての賛否の討論会を連日やると、そうすると例えば政策秘書がどうしたとか、宗男ハウスがどうしたとか、それからどこでどういう事件があったとかと言うよりも、この法案というのは非常に大事な事ですから、テレビ局が積極的にこれを取り上げて、そこへ政治家の先生、あるいは文書を作った人、それから反対する人、賛成する人が討論をしていく、それを茶の間で見ている、これが世論ですが、世論がどっちが正しいかという事をやっていく、「どうもこれは政治家を守る為に都合の良いような法律を作ろうとしているようだな」と、こういう事であれば駄目だという事になるし、そうではなくてマスコミが言いたい放題、やりたい放題やっているのを規制しようとしているから、これはいいのではないかと、どういう事になるのか分かりませんが、やっぱりテレビとかそういう所で積極的に議論して、国民に分かってもらう、今、ゴール前にキーパーがいて、何かみんな並んでいるような状態で、そうではなくて相手のゴールへ蹴り込むと、そうでないと勝ちがないので、守るだけではなくて攻めるべきだと、私はこう思うんです。ですから番組を作るべきだと、それが非常に大事な事だろうと思うんですね。それで、他の人権とかそういう事が出てきたのですけれども、子供とか色々ありますけれども、行き過ぎのものはやはり是正される事になるのだろうと思うんです。ですから、この3法案については、テレビできちんとした番組を毎週のように連日きちんと討論をして、その場でもって決着を付けるという方が私は一番良いのだろうと思うんです。私はこの法案には反対するという決議をここでするのであれば、そうしてくれと言うし、個人的な意見を述べるだけだと言えば、この意見には反対だと言う事だけ述べておきます。

B委員: 私も、基本的にはここの声明案でしょうか、書かれているように、こういう形で声明文を出すのは大賛成ですし、大変問題のある法律だと思いますので反対します。ただ、幾つか思う事がありまして、個人情報保護という事は一方で、これからおそらく大変大事な問題になってくるだろうと思うんですね。この事と、メディア規制という事がどう絡み合うのか、あるいはどこがどう成立しうるのかという辺りが、やはり私達がこれを読んでいても、なかなか分かりにくい。それで実際に、もう既にテレビの報道などでも、つまり賛成側と反対側を登場させて話し合わせたりしているような番組も、1、2見かけましたけれども、なかなか反対側の理論武装が出来てないんですね。やはり成立させる側の方の言葉に割りあい言いくるめられてしまう。ですからここは大変難しいと思って、法律用語で私自身もそこをどう言えるかというと、これはなかなか難しい所があるのですが、その辺をもう少し一方で戦略的にきっちり考える必要があるのではないかという事を感じてます。やはり、こういう問題がここまでぎりぎりに来るまで、あまりメディア側が考えなかったという問題がとても大きいと思うんですね。やはり今、一方で、メディア・スクラムというような取材の体制の問題もありますけれども、もう一つはやはり様々なこうした社会的な問題、世の中の風俗的には表側に出てこないような、様々なややこしい問題を割りあいテレビというのは取り上げてこなかったような気がします。自分の足元に火がついて今慌てているわけですけれども、例えばその前に今の有事法制の問題も、実はもっと議論されるべきだし、この間、新聞でアンケートを取ってましたら、この言葉自体をほとんどの人達が知らないわけです。「それ何?」という感じの反応がほとんどなわけです。例えばこういう問題を、日頃からメディアがどれだけ取り組んできて分かるように伝えてきたか。あるいは国民の、視聴者のと言ってもいいのですが、議論の場に提出してきたかというような問題はやはり一方であるような気がします。その事と、今度のメディア3法案というのは決して無関係ではないと思うので、ここに来て自己批判していてもしょうがないんですけれども、これは良いきっかけだというふうに思い直して、そういう問題を日常的な問題として、やはり取り上げて行くというような事を、ここで考えるべきではないかと思います。やはり一方で、メディアの一種の暴力と言うんでしょうか、そういう事は、ほとんどおそらくの視聴者は、日頃から感じていると思いますし、私達もこういう場でいつも割りあい批判的なものを言う時には、そういう事を前提に話してきたと思うんですけれども、メディアの自助能力と言うんでしょうか、つまりどこかでメディアというのは、これはテレビに限らず新聞もそうなんですが、自分の所を批判されるという事を受け付けてこなかったという所は、現実としてあったと思いますので、そこの所をどうしていくか、それが自分の問題でもあり、それからあるいはその手の第三者機関というのは、今考えられているし、実際少しは動き出しているようですけれども、そういう所をどう成立させて行くかというような事も、やはり一方で考えていかないと、こういう問題がまた繰り返し出てくる可能性もあるのではないかという気がします。ともかく、今度は急を要しますので、こういう形でとりあえず反対して、何としてでもこれは止めてもらうという方向に、皆が力を会わせるという事に関しては大賛成です。

C委員: 私も、番組審議会として基本的に既に用意されてある案のような声明を出す事に賛成です。若干文言等は、あるいはもう少し検討した方が良い所があるのかもしれませんけれども、私自身、この3つ目の法案はまだ具体的な形を取っておりませんけれども、具体的形を取っている2つの法案には明白に反対です。番組審議会として、明白な意思表示をすべきだと思います。その場合に、反対する場合の視点なんですけれども、今、島森さんもこれらの法律はちょっと分かりにくいという事をおっしゃられたので、ちょっと法律家としておさらいをしてみたいと思うのですけれども、この2つの法律というのは、本来全く別の目的の為に用意され、あるいは成されるべきものなのですけれども、その中にも全く巧妙にメディア規制の条項が混じり込まされていると言いますか、挿入されているという事があるんですね。人権擁護法案について言いますと、これは1998年ですから、今から約4年前ですが、国連が日本政府に対して、日本政府の人権擁護、人権保護施策にはいろいろ問題があるという事を、非常に具体的に指摘して勧告してきたわけです。懸念事項というのを伝えてきましたが、例えば読んでみますと、「死刑制度」、「長期間の警察による起訴前の拘留」、それから「代用監獄制度」、「自白主義による警察の取調べと刑事裁判」、「被疑者容疑者に対する接見の禁止」、これは弁護士側も禁止するという事です。それから「行刑施設内の非人道的行為」、刑務所における処遇が良くないという事です。それから「外国人登録法」、「出入国管理制度とその運用」、「難民の認定」、「朝鮮人学校の不認定」、「在日韓国朝鮮人やアイヌ先住民への差別」、それから「部落差別」、「国籍や民法上の婚外子の差別」、「婚姻制度における女性差別」、「裁判官や検察官や行政官に対する人権教育の不徹底」というような事が、日本における人権状況として国連の目から見て懸念すべき事であると言って、これを改善すべきだと言って、伝えてきたわけです。政府はこれに対して、委員会を作って法案を用意したというわけなんですけれども、これらの懸念事項に対する対応はほとんど、今回の法律の中に入ってないんですね。本来、政府がないがしろにしてきた事柄を、「真面目にきちんと先進国並になりなさい」と言われてきた所に、その点は非常に不十分な対応をしておきながら、片方で一考を盛り込ませて、マスメディアの主として取材、プライバシーの事もありますけれども、を入れ込んできたというのがそれなんです。この法案は、そういう意味では本来あるべき法案として非常に不十分である所へ持ってきて、余計なものが入っているというふうな位置付けだろうと思うんです。個人情報保護法案も、似たような構成になっておりまして、情報保護というのは大型のコンピューターによって、政府にも、それから民間のいろいろな会社、特に金融機関等がそうなんですけれども、データベースという格好で大量の個人情報が集積されるようになるわけですが、この取り扱いは非常にプライバシー保護の為に重要なわけなので、政府の機関、あるいは民間のデータベースを扱う業者が、自分が集めた情報をどうやって適正に管理し、正確なものにし、間違いがあった場合には訂正をさせる。それから、それが他に漏洩されて乱用されたりする事のないようにする。こういう法律を作らなければならない、この点でも日本は遅れておりまして、だから、例えばOECD諸国からは、金融機関同士であったとしても、あるいは政府機関同士であったとしても、日本は個人情報の管理が不十分だから、なかなか情報を渡せないという批判があったわけです。そういう限りにおいては政府が持っている大量の個人情報を、どうきちんと守るかと、どう保護するか、どう乱用しないようにするかという法律を作る事も必要であるし、民間の主として金融機関等が持っている個人情報、データベースにも適正に維持され、守らなければならないだろうと、この法律案も正にあって然るべき法律なんですけれども、この中に全く異質の要素として、メディアの取材の問題だとか、報道の事が入っている。どうしてそういう変な事を担っているかという事なんですが、やはり今、報道機関等が必ずしも完璧ではなくて、一部政治家、あるいは多くの政治家から見て非常に煙たいと言いますか、ありがたくない報道をしたり、存在である場合があるものですから、これを何とかお灸を据えたいと言いますか、チェックをしたいという考えがあったわけだろうと思いますけれども、それがまた、国民一般の中にあるメディアに対する反発だとか、メディアの行き過ぎに対する批判だとか、あるいは被害感情等を受けて、比較的国民が厳しくなっているものですから、そこに付け込んでこういう条項を織り込みましたと、こういう構成になっているのだろうと思います。ですから私は、これらの人権擁護だとか、それから個人情報の保護というのは、本来その言葉が意味するようなものである限りにおいては反対する理由もないし、むしろ推進すべきなんですけれども、全く異質のものとしてメディア規制を入れているという所がやはりおかしいので、新聞協会にしろ、民放にしろ、我々番組審議会にしろ、反対する場合には、そこの原点をやはりいつも思い起こして、国会審議が始まっても僕はそういう所は重要な論点になるだろうと思うんですけれども、指摘する必要があるのではないのだろうかと思います。従って番組審議会の声明等にも、そういう事をちょっと織り込むことが出来れば良いのかなという気がいたします。

D委員: 基本的には反対する事に賛成です。今回、こういう立場に立って始めて「ああ、反対声明の声明文というのはこうやって出すのか、このように立場を表明するのか」という事がよく分かりました。それまでこういう事を知らなかった場所から、この大騒ぎみたいなのを見ていますと、“国とか法案VS放送メディアのパワーのぶつかり合い”みたいに見えてしまって、見る人とか、以前の何も知らなかった私のような立場の人間は、とても置いてかれているという感じがあります。法案や国会に対しては、こういう文書様式で多分良いのだと思うのですが、そうではなくて放送を受け止める人達、メディアの味方になって欲しい人達向けに、どういうキャンペーンを張ったら良いのかなというのをとても考えました。それにはやはり、はっきりこういう立場を表明して“このように表明を出しました”その意味とか説明、それから“自分達はこういう事をします”という約束を見る人としなければいけないと思いました。それから“お願い”だと思います。“協力をお願いします”という、それから出来れば最後にサインが欲しいという感じなんですが、そういう姿勢を常にテレビを見る人の目に1日15秒でも入るように運動をして、自分達はいつも情報を開示するし、知って欲しいし、あなた達と関係を持ちたいのだという意思表示をしないと駄目だなと思いました。特に夕方とか夜ですと、やはり男性向けに土、日曜だとありますが、昼の女性向けにも一つ工夫して、いろんなキャンペーンを張って欲しいと思いました。

村山アナ: 審議委員の皆さんは、それぞれこの3法案が『言論・表現の自由』を侵害する危険性が高い事を挙げています。

山王丸アナ: 国家の介入や監視を受けた『言論・表現の自由』であってはならないと、皆さんは敏感に反応。全ての方がこの法案に反対しています。

村山アナ: さらに、審議会の模様をご覧頂きます。

E委員: この規制に反対する声明には基本的には賛成いたします。ですが一つお伺いしたいのは、この委員会で反対文を作成して声明を出す事が、どのぐらい法案を作成されるのに影響があるかというのを、まず一つお伺いしたい部分があります。それからもう一つは、13行目の「当審議会は、これらの懸念に共感する。それは・・・」という部分を、これの書き方をするとですね、人が言ってるからそういうふうに賛成したい、という意味になるので、この所のそれまでに対して、5行目の「憲法21条で保障された・・・」というふうに変えた方が、この委員会の意志として表現の自由が民主主義の根底をなしているというふうになるので、そういうふうに変えたらいかがでしょうか、という意見ですけれども、読んでいてそういうふうに思いました。

F委員: 私も基本的にこの法律規制に反対する声明に賛成です。今までこの法案に関して、私は新聞で流し読みをする程度の知識しかなかったので、難しそうだなというぐらいのもので、同年代の友人達にも聞いてみましたが、やはり同様で、あまり興味がないようでした。しかし先週の木曜日に行われた各局のキャスターによる合同会見などの様子をテレビで見まして、この法案の問題点が分かりやすく明らかになったように私は思います。この法案の表面を見れば基本定義は正しいものと錯覚するのですけれども、これを読み砕いていくと、私達の生活、例えば鈴木宗男問題であったり、雪印事件であったり、そういうマスコミの追及や、例えば善意ある内部告発が発端となって発覚した事件などが、誰かの都合の良いようにねじ曲げられて私達の方に伝わってくる可能性があるのだなと思って、そう思うとすごく自分達に身近な問題であるという事が感じられました。『青少年有害社会環境対策基本法案』においても、子供達にとって無菌状態を作ってしまうので、今後、国際化が進むであろう社会において、やはりある程度複雑化された環境の中で、物事の善悪を学んで自立していってもらわなくてはいけないので、そういう事もどうかなと思いますし、非常に私達視聴者に身近な問題であるのですが、なかなかそれが伝わってこないという事が現状だと思います。ただ、この法案には反対なんですが、現実に例えば善良な国民がメディアによって傷つけられたり、時間帯にそぐわない内容の番組を目にする事もあるので、やはり良識を持った報道や、番組制作を行う為の自己管理の徹底をしているという事を、わかりやすく広く視聴者に提示して頂きたいと思います。そういうBROやBRCなどや、この番組審議委員会など、そういう活動を行っているのですが、大半の視聴者はそれを認知していないのではないかと思うので、(さっき述べた記者会見であったり)そういうものでこの法案の不要性であるとか、マスコミの自浄行為というのをニュース、ワイドショー、更にはもっと若い世代に向けて分かりやすく視聴者に伝えていただけければ、なお良いかなと思います。

G委員長: 私は、もちろんこの3法に対しては反対であります。私は法律を専攻している者でありますが、そういった人間でありながら、実は法律に対してはあまり信用は置いておりません。というのは、法律の解釈というのは幅が極めて広いわけでして、解釈者によってはどの様にでも解する事が出来るという事を言います。拡張解釈、あるいは縮小解釈、その時々によって広げたり縮めたり、どのようにでも出来るわけですし、同じ言葉であっても左、右、両極端に真っ向から対立する意見が出てくる。その根拠になるわけでして、そういった意味では法律というものはあまり信用しておりません。なまじ法律の規定があるから、このオーソライズする根拠を与えてしまうと、特に国家権力側にそういうものを与えてしまうと非常に危険であるという事はいろいろな面で痛感しているわけです。こういうものは無くて、むしろ社会の自浄作用に任せた方が全てよろしいのではないかというふうに考え、日頃から考えてますものですから、なおさらこの法律についてはそう思いました。この中でも個人情報保護法案では、いわゆる個人情報を扱う人に対して、いろいろな規制が加えておりますが、一応放送事業者を外すような規定はある事はあるんです。55条で、『放送事業者が報道のように供する目的で個人情報を取り扱う場合には、適用を排除する』という。そういう事になっているので、形の上では放送事業者はここから外れるので別に支障はないように思えるわけですが、ここに『報道の用に供する目的・・・』の報道とは一体何なのかと、これは分かって分かりにくいので、私もいろいろな辞典を引っ張ってみましたら、ある辞典では報道というのは『新聞、テレビ等で広く一般に知らせる事』と書いてありますし、また他の辞典を見ますと、社会の出来事を広く知らせる事と書いてあるわけです。そうなりますとテレビでやっている全ての番組は実は報道である、と言っていいのではないかと。決してニュースだけが報道ではない。ワイドショーであっても、バラエティー番組であっても、あれは全て報道であるという事であればテレビでやっている全ての番組ついては個人情報法案の規制は及ばないというふうに見ることも出来るわけですが、しかしおそらくは何らかのもう少し範囲を狭めたものを国は考えているのではなかろうかと、それが一体どこまで絞られるかというのは全くわからない。そういう危険性があります。特に最近は、総理もワイドショー番組に出たり、あるいはいろいろな政治家もバラエティー番組に出てくるわけでして、そうなると本来純然たるニュース番組とワイドショー番組、バラエティー番組の区別というのは非情に曖昧です。それはその時々の都合によって広げられたり狭められるという、そういう事があるのは極めて危険であるな、というふうに思います。
実は著作権法でも「時事の事件の報道の為に、その事件を構成する著作物は報道の目的上、制度の範囲内においては使っても構わない」という規定があるので、時事の事件の報道とはそもそも何なのかという事がよく問題になる。よく名画が盗まれたと。あるいは傷つけられたという場合に、そのニュース基準を新聞に出す場合にその絵の写真を載せる、と。これは本来は無断で複製してはいけないわけですが、時事の事件の報道の為であるならば、それは差し支えないという事になってあるわけです。ところが時事の事件の報道というのは非常に曖昧ですので、どの様にも捉える事が出来るわけです。時々その新聞の中で解説記事みたいに入れてあるのは、これは時事の事件の報道でないといったら外す、こういったものがあります。これは、ただの報道でなく、時事の事件の報道というふうに限定しているのにも拘わらず、いろんな解釈が可能であるという一例なんで。今度の個人保護法案は“時事の事件”と書いていない。ただ“報道”と書いてあります。こういう曖昧な表現だと、解釈によってどのようにでもなると。そういう危険性を孕んでいるので、放送事業者は個人保護法案の適用を免れるんだというふうに安易に考えると、極めて危険であるというふうに思うわけです。
それからこういう法案は、先ほど委員の方々からも意見が出ておりましたけれども、確かにマスコミはよく、この法案の意味を知って騒いでおりますが、一般国民はほとんど知らないだろうと思います。この法案の具体的な内容を新聞とかテレビ等で報道されたというケースは、あまり私も知りません。ただこの3つ法案の名前だけが躍っておりますけれども、中身というのはあまり知らされていないような気がするわけです。これでは一般国民を惹きつける事にはならないような気がします。もっと一般国民が分かりやすい形でもってこれを説明する義務というものが、確かにテレビ局側にあるのではないかという気がしております。特に国民の大多数の今情報を得る源泉は、テレビだろうと思うんです。テレビからほとんどの情報を得ている。テレビの影響が極めて大きい。例えば小泉首相の人気とか、それから田中真紀子の人気とか、それから鈴木宗男の弾劾といったものも、国民はほとんどテレビによって知識を得て判断しているわけで、そういった意味ではテレビの影響力は極めて大きいわけですので、それがまた為政者にとりましては非常に腹立たしい面もあるのではないかな、という気がするわけです。だから、こういう法律という形でもって出てくる可能性もあるわけです。したがって、少なくともやっぱりテレビ局としてはこういう法案が出ないように、自ら襟を正す姿勢はやはり必要だろうというふうに思います。それから、この法案はまさにこの声明文にもあったかと思いますが、番組審議会というものを全く無視しているわけで、その存在意義に関わる法案であるというふうに思うわけです。番組審議会というのは先ほどもご紹介いたしましたように、放送法に規定が置かれて設けられているわけですので、この審議会というものがそれぞれ各局ともにいろいろな番組を取り上げて検討しているわけですので、番組審議会がこれまで一体どういう活動を行ってきたのか、そういった成果を取りまとめて、それもデータとして公表すると。こういう事をやっていると、だからこういう法の規則が無くても十分だという事も示す必要があるのではないかと、こういう気がしております。いずれにいたしましても、この法案については反対ではありますので、私自身もこういう声明を出す事には大賛成であります。

村山アナ: 日本テレビ放送番組審議会はこの議論を踏まえ、『放送に対する新たな法律規制に反対する声明』を発表しました。その内容を紹介します。

「放送法により設置が義務付けられている日本テレビ放送番組審議会は“メディア規制3法案”といわれる「個人情報保護法案」、「人権擁護法案」、「青少年有害社会環境対策基本法案」についてそれぞれの趣旨である「個人情報保護」、「人権擁護」、「青少年健全育成」は重要と考えるが、各法案は本来の目的を逸脱しているばかりでなく、放送番組審議機構としての存在意義を否定し、放送の自立の精神に背馳し、憲法21条で保障された「表現の自由」を侵す恐れがある。よって当審議会は全会一致で本法案に反対する。「個人情報保護法案」は、法律を根拠にした取材拒否や取材への介入に道を開き、国民の知る権利に応えようとするメディアの取材・報道活動が規制されかねない。「人権擁護法案」は政府機関による報道への不当な干渉につながりかねず、自由な取材・報道にブレーキをかける危険がある。更に「青少年有害社会環境対策基本法案」は『表現の自由』が行政の監視下に置かれ、国民一人一人の文化的な価値観に国家が踏み込むものである。当審議会は『表現の自由』は民主主義社会の根底を成す国民一人一人の基本的な権利であり、法律により公権力に介入、干渉、監視された上での『表現の自由』であってはならないと考える。しかるに、3法案がいずれも『表現の自由』への公権力の介入に道を開くことを規定しようとするのは、黙視できない。『表現の自由』にかかわるメディアの活動は、国民・市民の信頼なしには成立せず、メディアがそうした信頼を得るためには、自主的・自律的な取り組み以外にはないと考えるからである。当審議会は放送界では、放送と人権問題にかかわる「BRO・BRC」の活動、「放送と青少年に関する委員会」の活動をはじめ、局内での放送基準の徹底努力、外部からの声への真摯な対応など自主的・自律的取り組みが進んでいることを承知している。当委員会もその一翼を担い、番組審議を通じ番組制作への提案を重ねてきた。しかし、それでもなお放送が人権やプライバシーを侵害する事例が跡を絶たないことも事実である。そうした場合の苦情や紛争は個別の事案毎に判断し、解決を図るべきであり、かかる法律により一律にメディアを規制するのは、民主主義社会にとっては、「角を矯めて牛を殺す」ことになりかねない。当審議会は、放送の自主的・自律的取り組み、放送番組審議機関の存在意義を否定しかねないメディア規制3法案に対して、ここに反対を声明する。」
というものです。

山王丸アナ: その自律的・自主的取り組みですが、民放連はNHKと共同で既に放送に係わる人権問題を自らの手で解決する為に外部の専門家によるBRO・BRC、放送と人権等権利に関する委員会機構及び委員会発足させ、人権擁護の活動を行っています。また、「放送と青少年に関する委員会」が設置され、番組に対して厳しい注文をつけています。

村山アナ: そして、日本テレビ放送番組審議会はこうした自主的・自律的な活動を評価し、また期待してメディア規制3法案に対して反対する。とその声明を結んでいます。

山王丸アナ: 憲法で保証された『表現の自由』は国民一人一人の基本的な権利で、民主主義社会の基盤であると言われます。それは自由な情報の流れにより、世の中がどうなっているかを一人一人が知る事が民主主義の出発点であるという事です。これが、いわゆる『国民の知る権利』です。

村山アナ: 何が起きているのか取材し、報道するのがメディアですが、この活動は『国民の知る権利』に奉仕するものであるとの考え方が定着しています。法律により規制されるのではなく、視聴者の皆様のご意見、ご批判を受け止め、番組に反映させていく、あるいは放送局の考えをこうした番組で直接説明していく、というのがメディアのあるべき姿だと考えています。それでは最後にお知らせです。




お知らせ:

『放送によって人権が傷付けられたら・・・
放送による人権侵害を救済する委員会機構BROへお電話下さい』

     BRO「放送と人権等権利に関する委員会機構」
          TEL 03-5212-7333



山王丸アナ:

番組では、皆様からのご意見、ご感想をお待ちしております。
まずお手紙、おはがきの宛先です。

郵便番号102-8040、日本テレビ「あなたと日テレ」の係まで。

     電話番号は、0570-040-040
     ファックス番号は、03-5275-4505
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     皆様からの御意見をお待ちしております。


村山アナ: それではまた、来週お目にかかりましょう。




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