舛方アナ:
視聴者の皆様とこの日本テレビを結ぶ「あなたと日テレ」。今朝は4月22日に行われました第307回番組審議会の報告をさせていただきます。

山王丸アナ  舛方アナ
山王丸アナ: 今回は『NNNドキュメント』の合評が行われました。この番組は昭和45年にスタートし、今年で27年という長寿番組で、日本テレビ系列の各局が単独又は共同で制作する報道番組です。 番組合評の最初は、今年になってさらに急増し、大きな社会問題となっている中国人の密航事件を取り上げた、日本テレビ制作「密航・ジパングを目指す中国人たち」です。

坪内委員: こういう「ドキュメント」というのは、素晴らしく出来ておりますし、いいんです。特にこういった暗黒の世界にメスを入れるというものは、重みがあって深刻さが増して大変いいと思うんですけど、こういうものが増えますと、番組がモザイクだらけになって、声が曇ってばっかりになって、そういう画面が多くなるきらいが確かにあると思うんです。そうしますと、こういう番組と国会の証人喚問、そういうものばっかりになると、テレビは一体何なのだというような感じもいたします。

多湖委員: 全体として番組の制作意図が割合ぼやけていて漠然としておりまして、その辺シャープにしていくと、かえっていろんな問題が起きるかもしれないんですけども、これは密航者のルートだとか手口と言いますか、暴力団との関わりとか、水際作戦がいかに難しいものであるか、そういう実態をリポートされた、その意味でもある種の問題提起もなされておりますし、それなりに効果があるんだと思うんです。しかし、なぜ、中国のある地域からだけこういう現象が起きるのか、そういうなぜという部分に迫るところが割合少なかったという事。

日野委員: 私自身は、今まで新聞の社会面とか何かにチラチラチラチラ出ていたことで、知っていた以上の事はここには何もなかったです。単に今までの新聞の切り抜きや、テレビの断片の寄せ集め、つまり、制作者の単にカメラに映る以上の奥まで見ようという激しい意志というものは感じとれなかったです。30分というのは、小説でいえば短編ですね。短編には短編のリズムというものがあるとも思うんです。そういう30分ドキュメントの良さというものをうまく利用してなかったと思うんです。今後作り方をもっとレベルアップしなければいけない番組だと思いました。

島森委員: 今、国際社会とかって随分長く言われてますけれども、日本人の中にああいう形で入り込んできた人達、例えば、そういう人達にもっと徹底してついて行くというようなことから、見えてくる日本もあるかも知れないし、そういう人達が、日本の実際の生活の中でどういう思いをして、どういう問題が吹き出しているのかというあたりは、もっと非常に個別的に追求できる素材というのは物凄くあるのではないかという気がするんです。もし、こういうテーマをお続けになるんでしたら、そのあたりをもう少し追求してやっていただけたらというか、やっていただけないと今後いけないテーマじゃないかという感じもして拝見しておりました。

三ツ矢委員: ビデオを撮りまして2回繰り返し見ました。最初は何をいいたいのかなという感じがしたんです。それでやはり、もう1度見直したんです。そうしましたら、やはりこの問題というのは、日本側の問題と中国側の問題とが色々出て来て、いろんな問題があります、というところで終わっているという、そこで何をいいたいのか分からないということに、私自身そんな感想を持ちました。ただ、こういう問題1つとっても非常に国の問題が、いろんな所に絡んでるなというのが大変よく分かりました。

日比野委員: 私が思いました事は、これは誰のための番組なのかという事なんです。これをもしかして若い人達のためにわざわざこの時間帯に持っていきているとすれば、見せるための努力がちょっと足りないのではないかという事と、もしそうでないとしたら、誰のためにという意図が分かってこないんです。それが最後まで、切り口ばかりで掘り下げていただいてないので、やはりそこら辺、欲求不満になってしまうのではないかと思いました。

帖佐副委員長: ビデオの中で一番最後の方に、出来れば政府間とどういう交渉をしているのか、問題があるのか、そこら辺の所の問題点を提起しながら終えていただけたら素晴らしいドキュメンタリーかな、こういう風に感じた次第です。

清水委員長: これが良心的な番組であると、他が非良心的番組だという意味ではありませんけれども、一生懸命お作りになっているという事については、これは、異論は無いことだろうと思います。ただ、外国人労働者の問題というのは、極めて国際的な問題であって、先進国のいずれも大きな問題になっている。しかもそれが政治的な波及としては、右翼的な勢力が台頭する1つのきっかけになっているという状況があるわけです。日本もそのような問題を孕んでいるわけでありまして、その辺の視点が加わったらもう少し評価出来たんではないかという印象を持ったわけであります。

舛方アナ: もっと、こうしたら良かったという建設的な御意見が出ました。番組合評はもう一つございました。

山王丸アナ: 次は第2次世界大戦中、軍隊への召集令状を配り続けた人の行動を通して、戦争の問題を取り上げた、北日本放送制作「赤紙配達人、ある兵事係の証言」です。昨年7月28日に放送されたこの番組は「芸術祭優秀賞」や「96年度NNNドキュメント最優秀作品」等に選ばれました。

日比野委員: この「赤紙」の方は、ドキュメント作品としては非常に質がいいと思います。普通、日本の終戦番組というのは、本当に見るのがいやになるくらいにいつも出てくるのは、日本人は皆被害者で可哀想で悪いことは何もしなかったのに、被害ばかり受けて苦労した、という番組ばっかりなんです。この番組は赤紙を配達するという、国内における小さい加害者の方ですね。ですから、加害者の視点というのを捕らえたという事は、基本的にはこの作品のいいところだと思います。かつ、これは、単に後ろ向きでなくて、中間管理職の苦悩と悲哀ですね。これは現代サラリーマン社会全部の非常に多くの人が持っている悲哀だと思います。その意味で単に過去を題材にしながらも現在に普遍性があると思いました。

石ノ森委員: 毎年毎年なぜ終戦前後にこういう番組ばっかりが出てくるんだというような批判もありますけど、僕はやっぱり繰り返し繰り返し、これは証言として残していかなきゃいけないテーマとして、取り上げていかなければいけない問題なんじゃないかと思います。「赤紙配達人」の中に出てきた登場人物達も、皆さんもうお年で、今聞いておかなければ後世に伝えられないんじゃないか、そういう危惧をとっても感じたんです。ですから、ドキュメント番組がだんだん時間的にも、量としての時間でも、少なくなっていくというような現状の中で、この問題も含めて残していって欲しいなと、僕はつくづく思いながら拝見しました。

金沢ディレクター: 今日は本当にたくさんの貴重な御意見をいただきましてありがとうございました。この番組は「もっともっと富山」というローカルでやってます30分番組があるんですが、その中で「私と戦争シリーズ」を1年間、戦後50年に向けてやっていこうということで、1995年からやりました。その中の一つとして、平和の象徴であるチューリップを栽培している方、そして実際に兵事係として召集令状を手渡した人、受け取った人が同じ村に今の生きていらっしゃる。実際、こういった受領書という物は240枚近くあるんです。もう何か胸が震え、手が震えました。受領書を手にしたときには、赤紙のリアリティーでこれを作りたいというふうに思いました。時代の証言者は本当に少なくなっておりまして、ある意味でそういった戦争の記録、富山というローカルの中で映像を残せたというのが、私、一ディレクターとしても喜びを感じております。

舛方アナ: この作品は委員の皆さんに高い評価をいただきました。番組審議会ではこの他、清水委員長から「苦情対応機関」の設置について民放連会長でもございます氏家社長に、次のような質問がありました。

清水委員長: 多チャンネル時代懇談会の時に指摘された「苦情対応機関」を設置するということでござまして、それについては結局、公的な規制という物は見送られまして、民放界の自主的な機関として苦情対応機関が設けられるということになって、現在それが進行中であると聞いておりますが、その点について、氏家社長から若干のご説明をお願いいたします。

氏家社長: この点ではNHKと相談いたし、もうそろそろ成案が出来る形になっております。評議員会というのを作って、その推薦で委員の方を決めさせていただくというような方法でやろうということで今、評議委員の選考に入っております。名前はですね、「放送と人権等権利に関する委員会」というふうに、だいたい決まるという動きでございます。来月中にまとめまして六月早々から店開きをしよう、こういう運びでございます。

清水委員長: 将来に渡って大変大きな影響があると思いますので、拙速は避けて十分検討していただきたいと思っております。

山王丸アナ: 「あなたと日テレ」では、皆様からのご意見、ご感想をお待ちしております。まずお手紙、おはがきの宛先です。

郵便番号102の40、日本テレビ「あなたと日テレ」の係です。

     電話番号は、03-5275-4390
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舛方アナ: どうぞご意見をお寄せ下さい。それではまた来週お目にかかります。




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