小川アナ:
視聴者の皆様と日本テレビを結ぶ『あなたと日テレ』。この番組は、日本テレビの番組に対する視聴者の皆様から寄せられた御意見や御批判に耳を傾け、今後の番組作りに役立てていこうというものです。 今日は、先日開かれました『第310回日本テレビ放送番組審議会』の御報告をさせていただきます。

山王丸アナ  小川アナ
山王丸アナ: 今回は、特定の番組の合評ではなく、神戸で起きた小学生殺害事件の報道について、新聞テレビ雑誌を含め、そのあり方について話し合いが行われ、様々な意見が交わされました。初めに大阪読売テレビから今回の事件を報道する際、注意した点が報告されました。

森岡報道・情報 
センター次長:
今、ここで事件名を神戸の小学生殺害事件というふうにしておりますが、被害者の子供さんの名前を事件名の上に付けて統一呼称をするのは、遺族の方々の感情を考えてもあまり良くない。従って「小学生殺害事件」というふうな統一呼称を付けました。少年が逮捕された後にも、その少年の出身校名を出すか出さないかで、ある種、規制を致しました。少年を特定することは避けるべきだと言う判断がありまして、我々も結局出しませんでした。

山王丸アナ: 次に、日本テレビからは、情報系の番組がこの事件を伝えるにあたって、専従のディレクターを現地に常駐させ、報道と事実関係を細かく確認しながら取材、放送を行ったことが報告されました。

小川アナ: 取材、報道した読売テレビと日本テレビの報告に対して、委員の方々からは様々な意見が出されました。

坪内ミキ子: 事件が起きたこと自体が凄くショックでしたけれども、それ以上に、逮捕されたのが中学生だと聞いたときに背筋が寒くなる思いが致しました。我々、井戸端会議では顔を出してもいいんじゃないの、見たいわねって言う意見があるんですけれども、こういうテレビの大きな流れが、容疑者の周りに厳しく行くように、追求するようになってしまった場合、とても影響されて、国民の感情がそういう方に流れるのが一番恐いな。もちろん容疑者の人権もそうなんですけれども、被害者の周りを守るという事も大事だと思うんですよね。

なだいなだ: こういう事件が起きるとよく思うんですけれども、アメリカのように陪審制度が行われているような国では、日本で行われているような報道があると、非常に陪審員達に影響を与えてしまうんじゃないかと思うんですよね。例えば、中学生が逮捕されたっていう時に、情報はほとんど無いんですね。情報がほとんど無いときに報道機関はどうするかって言うと、一つのパターンがありますよね。同じ事を何度も繰り返す。これは日本全体のパターンになっているけれども、新聞もテレビも全部そうですね。しかし、これは少しやめて、この事件のことをはじめ、少年が起こした事件について少し過去の展望みたいなものをする。それが、乏しい情報を繰り返すことよりも重要ではないかと思うんです。

三ツ谷洋子: 往々にしてマスコミサイドの方が、表現の自由、報道の自由と言うのは、権利を振りかざすだけのように一般の国民からは見られるケースが多いんですね。で、やはりそこには非常に影響力があると、一般の人に対しての非常に影響力、力があると言うことをですね、自覚してテレビの番組を作る、或いはマスメディアでのいろいろの形での仕事をしていく姿勢があって然るべきではないかなと言うふうに思いました。

日比野裕子: ワイドショーですけれども、果たしてBGMが必要なのかどうか、ということもあると思います。やはり、これはいたずらに不安感、恐怖感を与えるばかりで、母親としてはどうしたらいいんだろうって言う、そう言った気持ちが募るばかりで、これはもう少し考えていただけたらと思います。

石ノ森章太郎: 僕なんかが関わっている劇画とかコミックの問題、それからテレビとか映像の問題があるわけですが、もうちょっと前ですと子供達が、あれは漫画だよ、あれはゲームだよ、あれは映画だよっていう、きちっと分けて面白がって見ていたものが、今、割とリアリティーと言いますか、劇画とかゲームの世界も全部、リアリティーを持ってしまってるんですね。そういうフィクションの世界に対する免疫性、といったものが薄れているんじゃないかな、という危惧はあります。じゃあ、どうすればいいのかって言うと、送り手側の倫理観なり、モラル観なりが問われるとは思うんですが、そういったものに対する受け手側の感受性と言いますか、教育みたいなものを少しみんなで考えていく必要があるんじゃないかなと、そういうふうに思います。

日野啓三: この事件、或いはこの犯罪の底には、人間というものの恐さ、わからなさと言うものが非常にあると思うんですよ。これを事実の報道と言ったときに、事実のわからなさ、恐さ、不気味さと言うものを伝えることも事実なんですね。その逆に、単純に原因にはこうだ、動機はこうだと、単純な理由を作って分かったようなふうにするのは、実は、事実を尊重してないと思うんです。とても長いスタンスで広い範囲でじっくりやってかないと、よく分からないと思います。単純に学校のせいだとか家庭のせいだとか、単純な原因に結びつけて早く分かってしまおうとしないことが、これから僕は大切だと思うんです。

島森路子: 例えば、犯人像が中学生が容疑者で挙がる前は全く違う犯人像をマスコミは流し続けたわけですが、勿論、こうでしたという言い方はしませんでしたけれども、大半の人がそうであろうと思わされるような流し方をしたのは事実ですし、その事に対する検証がまず行われていないような気がするんですよね。容疑者が14歳で、挙がる前に流されていた情報が、パッタリと全部消えてしまったわけです。それが一体どう言うことになってしまったのか、私たちは結局分からない。ですから、検証という場合は、いろんな問題が今、出ています。学校の問題だとか、親の問題だとか、地域社会の問題だとかが出ていますし、そういう事も一方ではあるかも知れませんけど、メディア自身の検証も、今回の報道の具体的な中身の検証も、やはりやっていただいていいんじゃないかなと言う感じがしています。

半田正夫: 事件が起きますとマスコミは犯人探し、それとの関連で被害者の日常行動、これを執拗に追っかけるわけですね。これは取材合戦でお互いにそうなって行くんだと思うんですが、視聴者や読者を置いといて、マスコミだけが一人でエスカレートしている。こういった事をやりますと、猟奇的な好奇心をそそる事になりまして、変な煽りをかけるようなことになりかねないと思うわけで、こう言った事件はかえって淡々とした事実関係を伝えることに徹すると、いうことが沈静化に役立っていいんではないかと、そういう感じを持ちました。

山川洋一郎: 実務法律家の立場から、幾つかの感想がありますので申し上げます。少年法61条の問題ですけれども、61条というのは、『家庭裁判所の審判に伏された少年については、氏名、年齢、職業、住居、容望等により、その者が当該事件の本人であることを推知する事ができるような記事、又は写真を新聞紙、その他の出版物に掲載してはならない』ということであります。それ以前の捜査段階については、当然準用されると。で、新聞界や捜査機関もその解釈を採っておりまして、警察庁の犯罪捜査規範にも、報道上の注意として同様の事が挙げられています。私はこういう重要な問題をやるときには、やっぱり、法人としての出版社、放送、テレビがこういう方針で行こうと言う場合には、やっぱりマネージメントにきちんと相談をした上で、マネージメントが充分に議論して問題点を把握した上で、出来れば顧問弁護士の意見も聞いた上で、それこそコンシダード・ジャッジメントというのをしていかなければいけないのではないかと。これによって、もし、その報道機関が後で重大な非難に晒されたり、或いは、アメリカならおそらく色々の法律問題が起こると思うんですけれども、その場合に、社としてのきちんとした判断ができてるっていう事は、非常に重要だろうと思います。

多湖委員長: 今回の問題は、非常に厄介な複合的な問題でございまして、簡単に動機がこうだとか、原因はこうだとかいうような種類の問題では無いことは、私も承知しております。それじゃ、それに一体どう迫っていくのか、単純な割り切り方は別としましても、マスコミなりのアプローチの仕方というか、何か新しい切り口で、また私どもに様々な考える一つの材料を提供していただきたいと言うことが、まずお願いしたいことでございます。

小川アナ: やはり、この問題に関しては、委員の方々、真剣な色々な意見が出されましたね。で、山王丸さんも実際「ジパングあさ6」でニュースを読む場合も気を使ったでしょうね。

山王丸アナ: そうですね、今回に関しては、日本テレビとしての一応のルールというものはあったんですけれども、それでも、毎日お伝えする立場としては悩むことも多かったですね。いつも以上に慎重だったのではないかなと思うんですが、例えば、中継の場所ですとか、スーパーですとか、関係の小、中学生の顔は映さないようにするとか、そう言った細かいカメラアングルまで、随分悩んでお伝えしたような気がします。

小川アナ: という番組審議会の御報告を、今回はさせていただきました。

さて、最後に「放送と人権等権利に関する委員会」のお知らせです。 この委員会は民放各社とNHKが放送した番組について、権利侵害に関わる苦情を中心に、苦情申立人と放送局との話し合いが相容れない問題を扱います。詳しくは、委員会事務局までお問い合わせ下さい。
電話番号は03-5212-7333です。

山王丸アナ: 「あなたと日テレ」では、皆様からのご意見、ご感想をお待ちしております。まずお手紙、おはがきの宛先です。

郵便番号102の40、日本テレビ「あなたと日テレ」の係です。

     電話番号は、03-5275-4390
     ファックス番号は、03-5275-4505
     お電話、ファックスは24時間受け付けております。

小川アナ: どうぞご意見をお寄せ下さい。それではまた来週お目にかかります。




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