2月3日 ありのままを聞いていますか?

私が担当している番組、「皇室日記」は、
皇居前広場や、皇居・東御苑で、番組冒頭のテーマ紹介をすることが多い。
「皇居ロケ」というと、静謐な印象をもたれるかも知れないが、実際はさまざまな音に満ちている。
何といっても東京の真ん中である。


  
お堀端の通りを、青信号になると急発進するバイク、救急車のサイレン、上空を行く、ヘリコプター。
加えて、大手町界隈は今、再開発のまっただ中。
朝早くから工事音が響く日も多い。
今日は工事や乗り物の音が静かだな、と思うと、突然、木々の梢から「カア-」とカラスの声。
音の合間を縫うようにして、毎回、収録を行っている。
 
しかし、普段、皇居の周りを歩いていて、騒がしいと感じることはあまりない。
人間の感覚は、器用に、便利に出来ていて、
興味のない音のボリュームを無意識のうちに絞って、気にならないようにしているらしい。
しかし、機械はボリューム通りに録音する。
そして、一度、録音機を通った"雑音"は、人間にとっても、排除しづらいものになる。
 
機械は、「愚直」と言えるかも知れないが、人間よりも、「ありのまま」をとらえている。
人間が、聞いているつもりで聞いていない、あるいは無意識のうちに聞かないようにしている音の中に、
実際は鳴り響いている、大切な情報が隠れていることも、時に、あるのではないだろうか。
 
初春。この機会に、あらためて素直に耳をすまし、
真に聞くべき音や言葉を、受けとめ、心にとめる年にしたい。