7月26日 2022年 夏

会議や打合せは、今もリモートワークが基本だが、

初夏からの新人アナウンサー研修は、3年ぶりに、すべて対面で行うことができた。

それぞれの自宅では、隣近所に気兼ねしながら声を出さねばならない場合も多い。

伸びやかな発声は、やはり稽古場で向き合ってこそ引き出せるものだ、と実感している。

 

出社した際の同僚とのお喋りも、少しずつ増えてきた。マスクをしながらではあるが。

先日、みちのくでのプロ野球・巨人戦実況を控えた安藤翔アナに、

「福島県郡山というと、何を思い浮かべますか?」

と聞かれ、銘菓の饅頭の話から、雑談は広がり、半世紀も前の高校野球で、福島の磐城高校に「小さな大投手」がいたのよ、という昔話になった。もっとも、私自身も長らく忘れていた出来事だったが、話しているうちに「田村投手だった」と、名前までひょいと思い出した。子供の頃の記憶力は、たいしたものである。

今や、昨日会った人の名も覚えていないというのに…。

 

お喋りを終えた後も、若い頃、美術番組のロケで訪ねた猪苗代湖畔のことや、両親との旅で泊まった二本松の旅館、さらには朗読番組で読んだ「智恵子抄」のことにまで思いをめぐらし、美しい福島の思い出に、楽しいひとときを過ごした。

(パソコンに向かって、なにがしかの仕事はしながら、ですよ)

安藤クンも、私のとりとめない話から、実況につながる小さなヒントを得たらしい。

 

口から先に生まれた人間が集まっている、わが職場の会話には、無駄が実に多い。

しかし、その無駄話の中に、仕事に結びつくものや、気分を明るくしてくれるものがある。

リモートでは、ここまでの無駄話はなかなかできない。

会食、小旅行、いずれ職場の飲み会も…と期待していたら、また感染者数が増えてきた。

コロナの中にも3年?! あともうひと山、もうひと踏ん張り、というところか。

これが最後の試練と思い願って、この夏を乗り越えたい。