9月17日 僕は犬には...

TVアニメ『オバケのQ太郎』のテーマソングの最後は、
「僕は犬には弱いんだァ、弱いんだ!」
この歌は、関西アクセントのメロディーが、ヒットした要因である、
という説を、小学生の頃に聞いたことがある。
東京アクセントならば、「ぼ\くは い/ぬ\には」となるところを、
「ぼ/く\は」と中高(なかだか)になり、「い\ぬには」と下がることで、
何ともいえない、ひょうきんな味わいが出て、親しまれたという。
小学3年の夏に東京から大阪に引っ越し、両方のアクセントになじんでいた私は、
子供心に「ふーん、なるほどね」と思った。


私が大阪で過ごした中学高校時代の1970年代は、フォークソングの全盛期。
北山修作詞・杉田二郎作曲の『戦争を知らない子供たち』も、大ヒットし、
学園祭などで、よく歌われていた。
アナウンサーになってから気づいたのだけれど、
この歌も、関西弁フォークである。
「戦争が終わって僕らは生まれた 戦争を知らずに僕らは育った」の
「戦争」は、「せ/んそう」ではなく、「せ\んそう」と、
浅草・浅草寺(せんそうじ)と同じ、頭高(あたまだか)アクセント。
(実際の関西弁は、頭高というより、「せ」を強く言うアクセントであるが。)
戦争を知る大人たちの、「何だ、近ごろの若いヤツは...」という小言を、
関西言葉の響きで、しなやかにかわし、マイペースで呟き、歌う。
もの柔らかさの中に、どこか、したたかさも感じさせる。
いずれも関西出身の、作詞・作曲者コンビのなせる業であろう。


歌詞を、歌わず、ナレーションのように音読すると、新たな発見がある。
自分でも時々練習し、新人アナウンサーにもすすめている。
各自の出身地をはじめ、さまざまな地方のアクセントで読んでみると、
思いがけず、味わい深い朗読が、生まれるかもしれない。