1月22日 似ている人

「世の中には、自分にそっくりな人が3人いる」といわれるが、私はまだ、似ている人に会ったことはない。
仕事を始めて間もない頃、和歌山に出張した先輩社員が、
「ご当地の、娘剣劇の座長が、君にそっくりだったぞ」と教えてくれた。
今も芝居を続けていらっしゃるだろうか。
さすがに"娘"剣劇ではないか...いや、女優さんだもの、ひょっとすると、永遠の若さを保っているかも知れない。
 
職場の同僚に瓜二つの人を、電車で見かけたことがある。
最初、本人だと思い、声をかけようとした。
顔だけでなく、醸し出す雰囲気や、反応の仕方もよく似ていたのだが、近づいてみたら、別人であった。
 
後ろ姿のそっくりさんもいる。
駅の地下道などで、前を行く人の髪型や歩き方に、おや、あの人かな?と思う。
気がつけば、もうこの世にいない友人や親類だったりして、ハッとする...。
 
夜のニュースを担当していた頃、視聴者から、一通のお手紙をいただいた。
数年前、小学生だったひとり娘を残して、奥様が病気で亡くなったという方であった。
ある日、私のニュース番組を見ていた娘さんが、
「お母さんがテレビに出てるよ」
面差しが、どこか似ていたのだろう、くいいるようにテレビを見ている。
 
それからは、「さびしくなったらテレビを見るといい」と娘さん。
昼間の番組にも出ていると分かり、嬉しそうだったという。
そして、手紙の結びは、
「その娘も19歳となり、自分の道を歩むよう、努力しております」
 
こんなにも切ない"他人のそら似"があったとは...。
父と娘、お二人の歩んだ歳月に、胸を衝かれる思いがした。
テレビは、時に不思議なものである。