8月28日 「クイズダービー」に出演した話

「最後は、はらたいらさんに、全部!」
 
何度もテレビで聞いていたセリフを口にして、
やった!これで10万点!
と、胸を躍らせたのだが...最後の問題は正解者なし。
賞金の夢は泡と消え、赤坂のTBSから、麹町の日本テレビに
すごすごと帰ってきた。
 
30年以上も前、先輩の荻原弘子アナと2人で、
大橋巨泉さん司会のTBS「クイズダービー・各局対抗アナウンサー大会」に
呼ばれたときのことである。

 
「11PM」をはじめ、日本テレビの数多くの番組で司会を
つとめていた大橋巨泉さんなのに、私が直接お目にかかったのは、
このときだけ。
 
「クイズダービー」は収録番組だったが、
生放送と変わらない、
編集なしの「同時パッケージ」で進められたと記憶している。
従って、番組の終わりは「確定タイム」。
カメラの横で、フロア・マネージャーが
「あと1分」「あと30秒」と、残時間のボードを出す。
30秒を切ったのに、巨泉さんは、解答者や出演者のところに
行って、楽しそうにお喋り。
大丈夫なんだろうか?!と、新人の私はドキドキしてしまい、
最後に「日本テレビの2人、残念でしたね」と話しかけられても、
ロクな答えが出来なかった。
 
「5秒前」
フロマネが片手をひらいて示したところで、巨泉さんは
すーっと画面中央に戻って、まとめのひと言。そして、
「クイズダービー、それではまた来週」
と、満面の笑みで番組を締めくくった。
鮮やかな身のこなしと抜群の時間感覚。この人は天才だと思った。
 
もうひとつ感嘆したのは、
番組スタッフの、スムーズで過不足のない応対。
TBSに到着した途端、にこやかに迎えられ、説明も分かりやすく、
待ち時間をもてあましたり、戸惑ったりすることは皆無。
他局でのひとときを、くつろいで過ごした。
 
つま先まで神経が行き届いてこそ、人気番組なんだ...。
その裏側を見せてもらったことは、
駆け出しアナウンサーの私にとって、10万点以上の収穫だった。