4月9日  宵のうち

「北関東では宵のうち雨が降るでしょう」
天気予報で聞いたことがある、という人も多いと思う。
小粋な感じで、響きも柔らかい、魅力的な言葉、『宵のうち』だが、
昨今は天気予報で使われなくなった。
意味を正しく理解している人が少ないから、というのがその理由。
『宵のうち』は、日が暮れて間もない時間のことだが、
若年層を中心に、深夜だと思っている人が増えてきているらしい。
「そんなバカな!」と、某局のアナウンス部で若手アナウンサーに聞いてみたら、
「勘違い組の方が多かった」と、ベテランアナが肩を落としていた。
予報が誤解なく伝わることに重きを置く気象庁は、
2007年から『宵のうち』の使用をやめた。
かわりに何というようになったか?
『夜のはじめ頃』
それはその通りだが...何だか味気ない。
台風や大雪など、災害の恐れのあるときは、
雨や雪の時間帯が正確に伝わることが何よりも大事。
しかし、季節の話題もちりばめられるような、のどかな日の天気予報に、
『宵のうち』という言葉が登場する機会がないのは、寂しい。
「今の季節なら、何時から何時頃までですね」などと、言葉を補って、
意味を浸透させていけばいいのに...。
月も朧(おぼろ)、春宵(しゅんしょう)一刻値千金。
目指せ、復活!『宵のうち』