12月11日 言い間違い

今夜の天気予報はツバメの話から始めよう、と思って
本番にのぞんだら、
「こんばんめ」
と挨拶してしまった先輩がいる。


中継の締めくくりに「熱戦の火花が散りました」と言おうとして、
「熱戦の火ぶたが散りました」と言ってしまった先輩もいる。
火ぶたは、戦いの始めに切られるもので、散ることはない。
ついでながら「火ぶたを切って落とす」は「幕を切って落とす」との混同で、
厳密に言えば誤用。火縄銃の火皿のふたは、切り開いても落ちないのである。


日頃、言葉という仕事道具の整理整頓につとめているアナウンサーだが、
時々、引き出しの中の文房具がごちゃごちゃになるような感じで、
思わぬ言い間違いをする。
私も駆け出しの頃、ある芸能人のことを「ナイスミドル(魅力的な中年)」と
言おうとして、
「ミドルナイス」とやってしまい、「わけが分からんぞ!」と叱られた。


他局では、スポーツ大会の開会式で
「一糸まとわぬ行進です」と実況してしまった人もいるという。
もちろん「一糸乱れぬ行進」の間違いだが、本当にそんなことが起きたら、
これはもう、古代オリンピックの再来...!?


東北の放送局に「花の宴」という歌番組があった。
「はなのうたげ!」と、司会のアナウンサーが高らかにタイトルを宣して、
番組が始まる。
ある日のオープニング。響きわたったタイトルは、
「うたのはなげ!」
言った本人も、周りの人々も「何かヘンだな」と思いながら、
番組は進んでいったそうだ。


「花の宴」を「歌の鼻毛」と書き間違える人はいない。
書き言葉は文字、話し言葉は音だなぁ、とつくづく思う。
思ってみても、言い間違えたひと言は、消せないけれど。


言い間違いをしたことの無い!藤井恒久アナと。