東日本大震災が発生したのは2011年3月11日。
その約半月後、東京は桜の季節を迎えた。
友人が住む団地では、「こんな時に花見を楽しむのはいかがなものか」と、恒例の桜まつりが中止になったのだが、友人は首をかしげていた。
「気持ちはわかるけど…自粛しないで開催して、会場に募金箱を置いて、集まったお金を被災地に送ったほうが、よほど役に立つと思うんだけどな」
今年、元日の大地震で、大切なものを失われた方が数多くいる。
三が日であってもテレビはニュースにすべての時間を割くべきだ、にぎやかな番組は不謹慎だ、という声が寄せられた。一方で、地震報道ばかり見ていると気持ちが落ち込む、スポーツやバラエティー番組を見ることで元気が出るので予定通り放送してほしい、という声も寄せられた。
人間の感じ方、考え方は、皆違っていて、3人寄れば…意見が一致することは、ほとんどないだろう。
幅広く多様な視聴者に向けて、何をどのように伝えることが最善なのか。
かつてインタビューした建築家が「様々な条件や制約の中で、“最適解”を探す仕事です」と言っていたが、テレビの最適解とは何か?
迷いつつ、探りつつ、あがきつつ…