3月17日 2020 春

今月、見に行く予定だった芝居が、新型コロナウィルスの影響で2本とも休演になってしまった。
観客の側は、「あーあ、楽しみにしていたのに」とぼやくだけだが、
演じる役者や、照明、音響などのスタッフは、その間、無収入になってしまうのではなかろうか。
劇場で約2時間、基本的には静かに座り、最後に拍手する行為の感染リスクは、
どのくらいのものなのだろうか...。


「犬も歩けば棒に当たる」。江戸いろはガルタの第一句である。
辞書を引くと、「物事を行う者は、時に禍いにあうたとえ」とある。しかし、続きがあり、
「やってみると思わぬ幸いにあうことのたとえ」とも書いてある。
そもそも、「歩くな」と言っても、生き物は、じっとしているものかしら?
いろはガルタではないけれど、
「羹(あつもの)に懲りて膾(なます)を吹く」「泥棒を捕えて縄を綯(な)う」...
なんだかちぐはぐな世の中の対応を見ていると、いろいろなことわざが浮かんでくる。


こんな春でも、沈丁花は香り、コブシの白い花は咲く。
黙々と着実に、植物は日々の営みを続けている。
手洗いも咳エチケットもきちんとして気を付けますから、いつも通りに過ごさせて、と願うのは、
感染症や行政の専門家ではない、素人の浅はかさ、なのだろうか。
その方が、気持ちが明るくなり、免疫力も少しは高まるような気がする。
本体以上に、波紋が人々の生活を大きく脅かしている現状は、何とかしなければならない。