11月26日 丁寧表現

「改めまして」という言葉をよく聞くようになったのは、ここ数年のような気がする。

新人が自己紹介をする際、といっても、全く初対面の相手ばかりではない場合、

「初めまして」は、使いにくいのであろう。

「改めまして、新入社員の何某と申します。よろしくお願いいたします」

文法上、間違いはないのだが、何だか引っかかるものを私は感じる。

「改めまして」は、「改めてご挨拶申し上げます」を省略した形か。

「初めまして」も、「初めてお目にかかります」の略であろうが、

こちらは耳になじんでいる。

「改めまして」は、まだちょっとね、と呟きながら辞書を引いたら、味方を見つけた。

 

◆「ます」を用いた過剰な丁寧表現(『明鏡国語辞典』)

「改めましてお知らせします」(標準的表現は「改めて」)

 

明鏡さんも、「改めまして」に違和感を覚えているようだ。

そもそも、「改めて」という言葉にこだわらなくても挨拶は出来る。

「皆様、こんにちは。新入社員の何某です」

これで充分ではなかろうか。

 

「よろしくお願いします」の簡略な形は「よろしく」であろうが、

「よろしく」の方を省いて「お願いします」と言う人がいる。

司会者「次は○○のコーナー。××さん、お願いします」

××さん「はい、お願いします」

両方でお願いし合って、どうするの?と、テレビを見ながら私は呟く。

コーナーを初めて担当するなら「よろしくお願いします」と言えばいいし、

レギュラー担当者ならば「はい」と受けて、すぐ本題に入って行けばいい。

 

「改めまして」「お願いします」

丁寧語の語尾「です・ます」を使っておけば、失礼にならないんじゃないか、という感覚が、かえって行き届かない表現につながっている。

 

話し言葉のよもやま話。ウィルスにおびえることなく、同僚とお茶や食事を楽しみながら、こんな些細なことをお喋りできるようになる日が、待ち遠しい。