11月3日 仲良きことは

1972年の札幌冬季オリンピック。
フィギュアスケートで金メダルに輝いた旧ソ連のペアは、不仲だったという。
(といっても、当時は私も中学生。テレビや新聞で知る限りのことだが。)
練習中、ひとことも口を利かず、休憩時にはお互いそっぽを向いている。
それなのに、本番は完璧に息が合って、堂々の金メダル!
この大会は、銀メダルもソ連のペアで、
その後、金メダルの男性と銀メダルの女性が、結婚した。
「金のお婿さんに銀のお嫁さん」
と新聞に報じられたように記憶している。金の斧、銀の斧の民話みたいな響き...。
もしも結婚したカップルがペアを組んでいたら、どうなったかしらと、ふと考え、
「いや、金メダルは取れないだろうな」と、この時なぜか思った。


これも昔の話だが、夫婦漫才で人気を博した2人が、離婚後、語っていた。
「別れる直前が、お客さんの笑いが一番大きかった。大喧嘩した直後なのに、
舞台に上がると別物みたいにノリが良い...。途中、後ろ向いた時には、
仲良く話しているふりして、喧嘩の続き。出てけ!なんて、ささやいてました」


仲が悪い方がうまくいく、というわけでもないだろうが、
プロ同士の集団は、仲良しクラブである必要はない。
人気アニメの声優さんたちが、収録の後の飲み会を一度もしたことがない、
という話を聞いたことがある。
必要に応じて仕事場に集まり、共演し、おつかれさま、と解散。
その繰り返し、積み重ねが、番組と各人のキャリアになっていく。...クールだ。


新たな番組やプロジェクトチームに入って、
「何だか、いけ好かないメンバーばかりだな」と感じても、だから私は落胆しない。
番組は「ファミリー」...? 家族だって気が合わないこともある。
好き嫌いを超えて、仕事でお互いを尊重できれば充分。
仲良くなろうと無理に努力などせず、割り切って、気軽にいけばいいのだ。