12月26日 窓を開けて

手洗い、うがい、そして、換気をしましょう!と盛んにいわれた。
それでいて、大きな窓が一つ閉ざされたような、重苦しい年だった。
劇場、美術館、ライブハウス、遊園地…つかの間、日常を抜け出し、
心の深呼吸をさせてくれる場所が、一番出かけたい季節に休業。
再開後も、未だ定員まで入れられず、グッズの対面販売もままならない施設も。
そこで働く人々は、精神的にも経済的にも、ひっ迫している。

 

心が酸欠になると、人は不寛容になる。
「このご時世に、そんなところへ行かなくてもいいだろう!」
という言葉も、何度か耳にした。
そうかもしれない。しかし、心の深呼吸をする窓は、人それぞれに違う。
自分の物差しで、他人は計れない。
「人間というものは、生きていく間、楽しみというものがなくちゃァなりませんナ」
と、古今亭志ん生師匠も言っている。

 

新型コロナウイルスとのつき合いは、年を越してもなお続く。
手洗い、うがい、そして心の換気も、こまめにして、
しなやかで勁(つよ)い構えで、来る年を迎えたい。