11月14日 「ルンルンあさ6生情報」

未明の空に、冬の大三角形。星がきらめいている。

  
秋の彼岸を過ぎると、夜明けがどんどん遅くなる。
冬の4時起きは、寒さよりも暗さの方が身にこたえた。
こんな時間に起き出して、会社に行く人なんているんだろうか、と思いながら支度し、
4時半に家を出て、5時に出社。
 
スタジオに入ると...熱気溢れる十数人の番組スタッフ。
私よりずっと早く起き、あるいは一睡もせず、生放送に備え、走り回っている。
朝刊各紙に目を通し、その日の放送の段取りを確認し、リハーサルを部分的に行うと、もう本番。
「タカタカタンタンタン!」とリズミカルなテーマ音楽が始まる...。
  
1983年、入社4年目にスタートした、平日朝6時の情報番組「ルンルンあさ6生情報」。
当時、テレビの朝6時台は、アニメの再放送や、健康番組が主。
NHKも、10分間のニュースの後は「明るい農村」という、のどかな番組。
45分間の生放送は、画期的なことだった。
 

交通情報を入手しようと、スタッフが打ち合わせに行くと、
「そんなに早く、テレビをやるんですか?」と不思議そうな顔をされたという。
コンビニエンスストアは、あちこちに出来はじめていたが、24時間営業の店はまだ少なかった。
 
フロンティア、と言ってもいい時間帯を共に開拓したのは、
プロデューサーを除くと、平均年齢20歳代半ばの若いスタッフ。
専門学校を出たばかりという初々しいメンバーも。
 
駆け出しのテレビマン達が、初のメイン司会でおろおろしている私を支え、
もり立て、全員で懸命に、生番組という舟を漕いで、朝6時の海を渡った。
 
放送が終わると、反省会と翌日分の打ち合わせ。
ロケに出かけ、他番組を担当し、睡眠時間は4~5時間。
髪にコシが無くなり、爪も割れやすくなった。
文字通り骨身を削ったが、それ以上のものを得た。
この仕事を続けていく基礎体力と技術、そして、かけがえのない仲間。
私のテレビ人生の青春である。