5月12日 経済とは

「経済は、『経世済民』の略ですからね」
と、かつて寺島実郎さんにインタビューしたとき、教わった。
経済学を知らず、自前で商売をしたこともない私は、「経済的」と言えば、節約とか、安上がりを指し、
「経済界」はお金持ちの集まり、ぐらいにしか思っていなかった。
でも、そのひと言を聞いた時、「経済」という言葉の印象が、がらりと変わったのを覚えている。


辞書を引くと、「経世済民」とは、
「世の中を治め、人民の苦しみを救うこと。経国済民」(広辞苑)
「民生を安んずる事を本意とする、人民のための政治」(新明解)
とある。
「民生」は、「衣・食・住など、人間生活の基本に関する諸条件が充足されるように配慮すること」(新明解)
経済とは、政治であり、人助けであり、世の中の屋台骨を支える活動。
「経済には疎くて...」などと言うのは、恥ずかしいことなのだ、と思った。


今、命を守るための行動により、各所で経済が立ち行かなくなっている。
生活の基本を充たし、苦しみを救えなくては、経済対策とは言えない。
行政の知恵と工夫を駆使して、早く早く、ひとり一人の暮らしに届けてほしい。