11月8日 草野球

秋晴れの休日、上野に展覧会を見に行ったら、

正岡子規記念球場で野球の試合を楽しむ一団がいて、青空に歓声が響いていた。

日常が戻りつつあるのが感じられ、嬉しい。通りすがりの人々も笑顔になっている。

ふと、40年も前の野球大会のことを思い出した。

 

私が入社した1980年、日テレアナウンス部には野球チームがあった。

アナウンス部だけでなく、いくつもの番組に野球チームがあり、試合も行われていた。

女性スタッフが多い『3分クッキング』はソフトボールチーム。

テレビ屋だから見た目にはこだわり、しゃれたユニフォームを作るチームもあった。

アナウンス野球部のユニフォームは、白地に赤と黒の線で縁取りがあったと思う。

チーム名は「ダディーズ」だったかしら。

 

ある時、マスコミ対抗戦があり、入社1年目の私はマネージャーを命じられた。

どうしていいかわからないので、とりあえず、ポットに砂糖入りのコーヒーを入れて、

日曜日の神宮外苑ケヤキ球場に馳せ参じた。

1回戦の相手は『日刊スポーツ』。社名のロゴを青地に白く浮かび上がらせたユニフォーム。

スポーツ新聞には元高校球児の記者が主力となっているチームもあるという。

試合前、敵のノックを見て、「こりゃダメだ、かなわない」と、私でも分かった。

対するわが日テレチームは、アナウンサーだけではナインが組めず、スポーツ局から助っ人を投入。地力の割には踏ん張ったが、大事な場面で、サードを守る野球実況アナが、ふわりと上がったフライを落とし、1回戦敗退。しかし、この時の大会は『日刊スポーツ』が優勝したと記憶しているから、まあ面目は保ったというところか。

その頃が草野球ブームのピークで、テレビも放送時間が増え、BS、CSと、どんどん仕事が忙しくなり、アナウンス部の野球チームは尻すぼみになってしまった。

 

今の時代だと、休日に草野球などで若手を呼び出すのはいかがなものか、という声が上がるのかもしれないが、昔の会社は、良くも悪くも家族的で、日曜日のご奉仕も嫌ではなかった。

マネージャーとしては何の役にも立たなかったが、一観客として、今でもこれほど鮮やかによみがえる、楽しい試合を見せてもらったのだもの。いい休日だったと思う。