9月13日 新築か、リフォームか

春と秋はテレビの番組改編期、アナウンサーにとっては担務替えの季節である。
私がこれまで担当した「帯番組」、つまり月曜から金曜までの番組は、3つ。


1983年 早朝番組の草分け「ルンルンあさ6生情報」
1986年 夕方のニュース「ライブオン・ネットワーク」
1996年 深夜のニュース「きょうの出来事」


このうち、朝と夕方の2つは新番組。企画段階から参加し、スタッフと共に、
内容、構成、コーナータイトルなど、一から作り上げていった。
家にたとえるなら、間取り、内装、家具調度まで、新たに決めていく感じ。
番組がスタートしてからも、全員が住み慣れていない"家"だから、
スムーズに動けなかったり、使い勝手が良くなかったり、いろいろ問題は出てくるけれど、
創立スタッフの強い絆で、工夫し、改善し、軌道に乗っていく面白さを体感できた。


一方、「きょうの出来事」は、日本テレビ開局の翌年から始まった、長寿ニュース番組。
時代の流れの中で変化しつつも、すでに完成している"老舗"である。
視聴者にもなじみ、定着した間取りの"家"は、当然、良くできているのだが、
新参の住人にとっては、なじむまでに案外、長い時間がかかる。
番組スタッフも温かく迎えてくれているのに、何だか勝手が違って、やりづらく、
「昔、旧家に嫁いだ人は、こんな感覚だったのかな」
と思ったこともあった。


しかし、時は味方。いつの間にか住み慣れて、私自身が家具の置き場に意見を言えるようにもなって、自然な形でリフォームがなされていく。
そうなると、老舗のどっしりとした安定感が生きてくる。新番組以上に、斬新で冒険的な企画も、自信を持って打ち出せる。


結局、月曜から金曜の「きょうの出来事」は、1996年春から2003年秋まで、7年半担当。
"新築"よりも、"リフォーム"の帯番組に住んだ期間の方が、長かった。

ある日の"老舗"番組のスタッフと。