12月3日 タンスの肥やし

季節の変わり目にクローゼットの衣類の入れ替えをすると、
案外たくさん服を持っている、と思う。
スカーフなどの小物には、一度も使っていない"新品"もある。
着やすい服、着こなせる服は限られていて、結局、3~4着を繰り返し着て、
ワンシーズンが終わってしまう。
タンスの肥やしの方が層が厚い。
我ながら、おしゃれにはほど遠いなァ、と苦笑する。


アナウンサーの仕事は、言葉を"着こなす"ことである。
衣装を身にまとうように、言葉の持ち合わせを駆使して、
その場にふさわしい、リポートやトークを展開していく。
ニュースやナレーションなど、与えられた原稿を読む場合でも、
「こちらの言い回しの方が適切なのでは?」とか、
「この言葉を添えると、より分かりやすくなると思う」など、
言葉遣いに関する提案をすることが、しばしばある。


知らない言葉、知っていても使いこなせない言葉では、自然な表現はできない。
ボキャブラリーという、言葉のクローゼットを、どれだけ豊かにし、
臨機応変に組み合わせることができるか。
スカーフやアクセサリーのような、ちょっと気の利いた言い回しを、
どこにちりばめて、印象深く伝えるか。


衣替えのように、自らの語彙も折々に在庫を確認して、試着し、身についたものにすることが
必要だと思う。服はともかく、言葉に関しては、おしゃれでありたい。