5月24日 ニュース番組は、レストランに似ている。

記者とカメラクルーが仕入れてくる、情報という名のさまざまな"食材"。
どのような順に、どのようなボリュームで供すれば、視聴者にとって、
味わいやすく、栄養となるのか。
番組スタッフは毎日、項目表という"メニュー"を組み、"料理法"に工夫を凝らす。


速報など、鮮度が勝負の情報は、生(中継)で。
政治の裏側や、経済の水面下での動きなど、それこそ、
"煮ても焼いても食えない"スジ肉の塊のような話は、
別角度からの取材で"切り込み"を入れたり、専門家の解説で"煮込み"にしてみたり...。


準備に手間をかけたいが、番組開始という"開店時間"は守らなければならない。
放送前の報道フロアは、それこそ調理場のような、慌ただしさと喧噪に包まれる。
時には、開店直前に大きな動きがあり、メニューを総取り替え、という日も。


キャスターは、客と向き合う責任者だが、いろいろなタイプがある。
仕入れから献立作りまで陣頭指揮を執る、店長型。
調理法の工夫に力を入れ、解説もする、シェフ型。
客の満足を大切に、サービスに徹する、ウェイター型。
アナウンサーの私は、ウェイター型であったと思う。
料理を盛る"器"に相当する、情報を載せた原稿の言葉を吟味し、明快さを心がけつつ、
視聴者の中の一人という感覚で、素朴な疑問や感想を投げかけ、
現場の記者や専門家から、ニュースのポイントを引き出そうと努めた。
深夜のニュース「きょうの出来事」担当は、足かけ14年。


そして今も、報道フロアは毎日、開店前のレストラン。
フェイクニュース、などという言葉が聞かれる昨今、"食材"の真贋、安全性に、
より一層、目を配らなくてはならない時代になっている。