8月14日   喋るように読む

「唄は、語るように。三味線は、うたうように弾くんですよ」
数年前から習っている、端唄の先生の教えである。


あれ、どこかで聞いたことがあるような...。
実は、私が新人アナウンサーの研修で言っていることに似ているのだ。
「原稿を読むときは、喋るように。リポートは、書いたものを読むように、整然と」


そうしたい、そうありたい。目指すべき方向は、頭では分かっているのだが、
声が、口元が、思うようにならない。
新人アナが感じている、もどかしさ、情けなさは、
そのまま、端唄の稽古での、私の思いである。


どうすれば、できるようになるのか?
アナウンサーの仕事では、どのようにしてコツをつかんできたのか?
自転車の乗り方と同じで、いったんできるようになると、
道筋がなかなか思い出せない...。


数をこなすことは大切。
試行錯誤の繰り返しに、むなしさを感じるかも知れないが、
繰り返しではなく、わずかながらでも積み重ねになっている。
一生うまくならないのかな、とあきらめかけたあたりで、
ある日、ふわっと浮き上がるように、上達する。
仕事の上では、何度か、そんなことがあった...。


あせらず、あきらめず、稽古事を続けよう。
そして、もうちょっと、アナウンサーの新人たちに優しくしよう...。
今さら、遅いかな?



(今年の新人アナウンサー4人と)