主として報道番組を担当してきたからであろうか、
「アナウンサーの本道を歩んでいますね」
と言われることがある。
面映ゆいけれど、ニュース番組への評価と、ありがたく受けとめている。
お世辞のついでに、
「近頃の若いアナウンサーは、タレントみたいでちょっと...」
と苦言を呈される方もいる。
ニュースを伝えることは、もちろん、アナウンサーのつとめだが、
バラエティーやクイズ、音楽番組にも、アナウンサーの仕事の場がある。
明るく機知に富んだ会話で番組を進行し、人気者となった先輩、後輩アナは数多い。
実は私も新人の頃は、軟らかい番組を志望していて、
「どんな分野を担当したいの?」
と尋ねられると、
「トーク番組や旅番組です」
と答えていた。
しかし、華やかさがないせいか、生意気で小賢しいせいか、多分その両方であろうが、
そうした番組からは声がかからず、たまにクイズ番組を担当しても、長続きしなかった。
バラエティー番組に関わらなかった、のではなく、
バラエティーを仕切る素質と技量がなかったのである。
では、バラエティー番組で、アナウンサーとタレントの違いは?
タレントさんは、いわば、夢の世界に生きる人。
非日常の、祭りのような空間で、遊び、はじけ、一般人の憧れを満たしてくれる存在だと思う。
アナウンサーは、現実的な生活感覚を持って、日常を過ごす一人。
祭りの場を訪ねて、夢の世界に生きるタレントと、視聴者との「橋渡し」をする役割を課されているのだ。
"祭り"に参加する以上、御輿も担ぐ。美味しいものも食べる。軽妙なトークに笑い転げることもある。
テレビを見ている人に、臨場感のある楽しさを届けたい...。
バラエティーに出演しているアナウンサーの軸足、すなわち感性が、
日々の暮らしを大切にする視聴者の側にある限り、
どんなにはじけても、はしゃいでも、アナウンサーの仕事の範疇、と私は思っている。
こんな風に理屈をこねているから、バラエティーに向かないのかな...、
とも感じている。