9月9日 正解は一つではない

ナレーションは、言葉で綴られた楽譜の演奏。
同じ曲でも、奏者によってずいぶん印象が変わるように、
ナレーターによって、番組の雰囲気、内容の伝わり方まで違ってくる。


これは明らかに解釈が違う、という読み方はいただけないが、
原稿通りに奏でても、幾つものパターン、響きの違いが存在する場合、
どれが一番いいナレーションなのか?


それは、決められない。
優れた原稿ほど、読み手の数だけ、多面的な魅力を持っている。
発せられた音が、聴き手の心とどのように共鳴するか。聴き手によっても評価は違う。
聴き手に媚びるのではなく、丁寧に、確かに届けるために、自分のベストを尽くす。
それがナレーターという人間の仕事。


「だから、これがただ一つの正解、というものはないのよ」
と、日テレ系列局のアナウンサー研修で繰り返し言っていたら、
後日、受講した若手アナからメールが来た。
「井田さんに『ナレーションに正解はない』と言われたことが、大変勉強になりました」


・・・いいえ、若手クン、正解はあるの。一つではない、けれど。


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