6月5日 安村直樹

「56年お疲れ様でした。そして、夢を与え続けてくれてありがとうございました。また2019年に会いにきます」

ラグビー日本代表の取材後の静かなグラウンドで、お礼の言葉を伝えることができました。
日本中の方々にとって特別な場所である国立競技場は、私にとっての"夢"でした。

国立競技場での初観戦は5歳の時のJリーグ。
目の前で、キング・カズこと三浦和良選手のゴールに遭遇。総立ちのスタンドの一体感と、全身を突き抜ける衝撃・・・。
その日から両親に「いつか自分も国立競技場に立って、スタンドを沸かせたい」そんなことを言うようになったそうです。


小学校3年生からラグビーにのめりこむようになってからも、
ラグビーの大学日本一が決まる『全国大学選手権の準決勝・決勝』は必ず国立競技場で観戦していました。
ずっと憧れであり夢だった聖地は、高校生になる頃には明確な目標に。
そして目標を達成するため、大学でもラグビーを続けることを決意しました。


そして大学2年、21歳のとき。5歳のときから憧れ続けた舞台が、ようやく手の届くところまできました。


全国大学選手権の2回戦でメンバー入りし、勝利。
「さあ!次の準決勝からはいよいよ国立競技場だ!」
しかし、準決勝のメンバー表に、自分の名前はありませんでした。


5歳のときに目を輝かせて憧れをもった少年が、少しだけ大人になったとき、
国立競技場が用意していたのは、『試練』でした。
しかしその試練とともに国立競技場は新たなステージも用意していたのです。


『2019年ラグビーワールドカップ日本開催』
夏季オリンピック、サッカーワールドカップに次ぐ
世界的なイベントと言われるラグビーワールドカップが、日本にやってきます。
その舞台に予定されているのが、建て替え後の、新国立競技場。


ラガーマンとして果たせなかった「国立競技場に立ってスタンドを沸かせたい」という夢。
その先に「新国立競技場でのラグビーワールドカップに沸くスタンドの様子を伝えたい」という
新たな夢が見つかりました。


そのとき私は、30歳。
予想のつかない圧倒的なスケールの舞台の様子を、伝えてみたい。
そのときテレビ観戦した5歳の男の子に「いつか自分も新国立競技場に立ちたい」そう思ってもらえたら・・・。
想いは募るばかりです。


これまでも、これからも、たとえその姿を変えようとも、
国立競技場は、日本中に夢を与え続けてくれる存在であり続けるでしょう。


ありがとう、国立競技場。
また、2019年に会いにいきます。