6月16日 井田由美

「梅の実落ちても見もしまい」

これは、日本テレビのアナウンス研修テキストに、ずーっと昔から載っている、北原白秋の詩「五十音」の一節。マ行の発音練習です。

新人アナウンサー研修で講師をつとめながら「ああ、今年も梅の実の季節が来たな」と、いつも思います。

家事は最低限しかしない私ですが、6月だけは、「梅仕事」で忙しい。梅干しと梅酒は、私のささやかな手作りレパートリーです。

年々値段が高くなる梅の実に、ため息をつきながら、4kg購入。そのうち3kgは梅酒にします。竹串で、一粒ずつヘタを取り、水洗い。布巾でくるむようにして水気を取り、広口瓶にゴロンゴロン。氷砂糖と焼酎を加えれば、あとは熟成を待つだけ。焼酎のアルコール分のおかげで、失敗はありません。

一方、梅干しづくりは1kgで、量は少ないのですが、ちょいと手間がかかります。梅の実を、一晩水に漬けてアクを抜き、ホーローの容器に、梅、塩、梅、塩…サンドイッチのように何層か重ね、平たい大皿の上から2㎏の重し。雑菌が入らぬよう、清潔な布巾を被せて蓋をする。つまるところシンプルな塩漬けなのですが、この塩を、ひたひたと濡らすように梅酢が上がってくるまでの数日間が、気の揉めること、揉めること…。

匂いは変わっていないか、カビが発生していないか、しょっちゅう覗き込んでは、時々、天地返しのように、底の方の実と表面の実を入れ替えて…心配し過ぎで、かえってよくないことをしているのかもしれませんが、以前、実際にカビで泣いたこともあり、過保護も止むなし、と開き直っています。

「見もしまい」どころか、「梅の実毎日見ています」という、6月の私です。