はじめに

東日本大震災から2年。果たして復興は進んでいるのでしょうか。
バンキシャ!は震災から2年を迎えるにあたり、被災3県(岩手・宮城・福島)で1800人を超える人たちに
アンケートを実施しました。その結果は…。
被災地が抱える問題や、被災した方々の苦悩が見えてきました。

■ ご協力いただいた方 1806人

調査方法

2013年2月14日~23日までの10日間、被災3県(岩手・宮城・福島)で行いました。
①アンケート用紙を仮設住宅に配布後、後日回収時に聞き取り。
②駅前、スーパー、漁港など人の集まるところで配布。記入後聞き取り。
(詳しいアンケート場所は末尾に記載)

あなたの周辺で復興は進んでいますか

「はい・進んでいる」と答えた人は535人
「いいえ・復興は進んでいない」と答えた人は1222人。
復興が進んでいないと感じる人は、7割近くにのぼりました。
特に、岩手県と福島県では、7割以上の人が進んでいないと答えています。

その理由は…

「住む土地や住居がない」という回答が3県で最多でした。
一方、福島県だけをみると、「放射能に対する不安」が全体の半数を占めました。

アンケート用紙から

  • ◆言葉だけで復興の兆しが見えない。これからどこで生活したらいいか不安(宮城/気仙沼市・50才女性)
  • ◆ガレキが片づいた、ただそれだけ。前進している実感が残念ながらない(岩手/大船渡市・37才男性)
  • ◆仮設住宅に住んでいるうちは、とても復興が進んでいるとは思えない(岩手/釜石市・71才男性)
  • ◆家の解体ばかりで必要な施設や店がない(宮城/東松島市・23才女性)
  • ◆2年経過しても除染が進んでいない(福島市・52才男性)
  • ◆市内は空き地も多く人口も減少し放射線量も気になるし…復興が進んでいるとは思えない(福島/郡山市・58才女性)

震災以降の「仕事」について

震災で「仕事を失った」と答えた人は、全体の2割にあたる394人に上りました。
そのうちの6割近い人が、震災後2年経った現在も「仕事をしていない」と回答しました。
岩手県や宮城県で「仕事を失った」と答えた人は10%あまりでしたが、原発事故の影響があった福島県では、25%に。
現在仕事をしていないと答えた人の割合も72%に上り、突出しています。

アンケート用紙から

  • ◆雇用の先が少ない。ほぼ女性の求人が多いのではないか(岩手/大船渡市・42才男性)
  • ◆求人はあるようですが大半は正規社員ではないので将来が不安(岩手/釜石市・42才男性)
  • ◆仕事は増えていても、その仕事が出来る人材がいない(岩手/宮古市・26才男性)
  • ◆大企業にばかりお金が回って個人事業主には支援がなさ過ぎる。不公平(宮城/塩釜市・60才女性)

震災以降の「住まい」について

◆同じ地域・地区に暮らしている人 1060人(59%)
◆別の地域・地区に暮らしている人 733人(41%)★
◆無回答 13人(1%)

上記のように、 震災をきっかけにふるさとを離れ、別の地域や地区で過ごしている人は4割にのぼりました。
その方々に聞きました。

元の地域・地区に「戻りたい人」と「そうでない人」が
ほぼ同数に。

戻りたい理由は、「住み慣れたふるさとだから」「家や土地があるため」との意見が半数近くを占めました。
では、「いいえ」と答えた理由は…

津波に対する恐怖から、海の近くには再び住みたくないという意見が多数。
福島県では、原発事故の影響による放射能の心配や、居住禁止区域に指定されているために戻れないなどの意見が多くありました。

アンケート用紙から

  • ◆津波がまた来て流されるのがいやだ(宮城/気仙沼市・19才男性)
  • ◆二度と子孫に家族を亡くす思いをさせたくない(岩手/釜石市・63才女性)
  • ◆あれだけの被害があったにもかかわらず、今後の対応対策などの報告があいまいであるため、「戻りたい」という気持ちがあっても行動に移すことが出来ない(岩手/山田町・21才男性)
  • ◆東電が完全に廃炉、安全だといわない限り帰らない(福島市・57才女性)
  • ◆自分だけだと戻りたいが、 子どものことを考えると戻りたくない(福島市・37才女性)

震災以降の「暮らし」について

震災をきっかけに、家族が離れ離れになってしまった被災者も多くいました。
震災から2年が経った現在でも、アンケートでは2割の方が離れ離れで生活していると回答しました。
特に福島県では、放射能の影響で子どもを別の地域に住まわせるなど
26%の方が離れ離れだと答えています。

被災地からの声

アンケートの記述からは、被災地が抱える様々な課題が見えてきます。

★高台移転、土地のかさ上げ、復興住宅建設が進まない不安・不満

  • ◆家を建てたくても高台移転の話も進まず…土地所有者と町との話し合いもいまだない状態(岩手/山田町・58才女性)
  • ◆高台の造成を急いでほしいが、遺跡の調査が先に必要であるなどの現状にそぐわない制度がブレーキになっている(岩手/山田町・49才男性)
  • ◆かさ上げが全く進んでいない。行政による土地利用決定の遅れが目立つ(宮城/気仙沼市・45才男性)
  • ◆用地を早く決めて災害公営住宅を作り、入居できるようにしてもらいたい。長引く避難生活で仮設で亡くなった知人もいる。次は自分の番かと心が折れる(福島/南相馬市・71才女性)

★ 資金面の苦悩

  • ◆全壊した家のローンが残っており、再建してもローンを組めるか不安。目に見える復興をして(岩手/釜石市・40才男性)
  • ◆土地の値上がりが激しく、再建しようにも出来ない(宮城/気仙沼市・34才男性)
  • ◆銀行が赤字を理由に資金を引き上げた。今は仮店舗に2年しかいられない。仕事が心配(宮城/塩釜市・63才女性)
  • ◆グループ補助などの補助金を利用できることになっても、かさ上げ、区画整理事業が遅すぎて、せっかくの補助金が期限が来て使用できなくなる場合があるのが不安(岩手/大船渡市・55才男性)

★人口流出の不安

  • ◆人口の流出を止めないと定住人口が減り、復興を銘打って建物やインフラが整っても、人の住まない町になってしまう。(宮城/女川町・37才男性)
  • ◆若者たちが市外、または県外に移住している。仕事がみつからない。(岩手/釜石市・64才男性)
  • ◆町がどうなっていくのか。人口ばかり減って、復興が進むのか不安(岩手・大槌町・28才女性)
  • ◆高台移転や防波堤など盛んに言われるが、スピード感がないと思う。高台移転などで人間の安全は守れると思うが、20.30年後の町の安全、部落の安全は?後継者のいない過疎の部落になってしまうような気がする。(宮城/仙台市・59才男性)

★福島:除染に関する不安・不満

  • ◆行政による除染は進んでいるが、実際に効果があるのか全く分からない。しっかりとした説明をした上で作業をしてほしい(二本松市・30才男性)
  • ◆子どものいる家を先にしているけど、そうするとあっちで一軒、こっちで一軒。それでは残っているところが多く除染はいつ終わるやら。部落単位にでもやってもらえれば少しは安心できる(二本松市・64才女性)
  • ◆孫を、学校まで車で送り迎えしている。道路を除染していないから(二本松市・75才女性)

★風化することへの不安・不満

  • ◆やはり風化している感じがする。復興ツアーの団体も少なくなってき てしまった。(宮城/塩釜市・29才女性)
  • ◆当初は関心がもたれていたが、最近薄れてきている。同じ県内ですら市街地と被災地の意識が違う(宮城/松島町・35才女性)

【アンケートを行った場所】

岩手県

市町村 詳細
山田町 船越仮設住宅
関谷担い手仮設住宅
青少年の家仮設住宅
やまびこ公園仮設住宅
平安荘隣地仮設住宅
多目的広場仮設住宅
野田村 野田仮設団地
釜石市 平田仮設団地
平田町の住宅街
桜木仮設団地
桜木町の住宅街
釜石駅周辺
釜石観光案内所
新浜町仮設施設
釜石漁港
宮古市 三社自動車(株)
大船渡市 大船渡魚市場
(株)浅野青果部
大船渡屋台村
夢商店街
大槌町 吉里吉里仮設団地
赤浜仮設団地
堤乳保育園
安渡仮設団地
安渡小学校仮設住宅
陸前高田市 陸前高田ドライビングスクール
高田町の商店街
竹駒町の商店街
遠野市 青笹駅周辺

宮城県

市町村 詳細
気仙沼市 大谷中学校仮設住宅
小泉中学校仮設住宅
五右衛門ヶ原運動場仮設住宅
石巻市 押切沼公園仮設住宅
石巻駅周辺
塩釜市 本塩釜駅周辺
しおがま・みなと復興市場
松島町 松島駅周辺
松島海岸駅周辺
仙台市 仙台駅周辺
あすと長町仮設住宅
中野栄駅周辺
東松島市 矢本運動公園仮設住宅

福島県

市町村 詳細
福島市 福島駅周辺
笹谷応急仮設住宅
飯坂温泉
相馬市 相馬市街
相馬南第二工業団地応急仮設住宅
郡山市 郡山駅周辺
南一丁目応急仮設住宅
旧農業試験場応急仮設住宅
緑が丘東七丁目応急仮設住宅
南相馬市 寺内塚合応急仮設住宅
かしま福幸商店街
原ノ町駅周辺
牛越応急仮設住宅
いわき市 好間工業団地応急仮設住宅
いわき駅周辺
二本松市 二本松駅周辺
郭内公園グラウンド応急仮設住宅
安達運動場応急仮設住宅
杉内グランド応急仮設
伊達市 伊達市街

アンケートにご協力いただきました被災地の皆様、誠にありがとうございました。