イントロダクション

「こんにちは。――ボク、運命の人です。」 ………『運命の人』なんてものは、この世にいるのだろうか? そんな質問をすれば、大半の人が笑って首をふるだろう。 そんなものを待っていると言葉にすれば、バカにされてしまう世の中。 2017年現在。『運命の恋』は絶滅の危機に瀕している……。 だが――、本当はみんな心の奥底で一度は願ったことはないだろうか。 「どうか、私の前に運命の人が現れますように」と。 ここに、今年30歳の年齢になる二人の男女がいる。 彼らは幼い頃から何度も何度も奇跡のようなすれ違いを重ねてきた二人。 小さな頃に行った海水浴場で。大学受験の会場で。今年の初詣の神社で。 しかし、今は互いに顔も名前も一致していないこの二人――。 そんな時、男の目の前に「自称・神」と名乗る謎の男が現れる。 彼は言う。あなたたちは絶対に恋をしなければならない「運命の二人」だと。 そして、男は声をかけた。ほぼ初対面の彼女を呼び止めて、 「こんにちは。――ボク、運命の人です。」と。 最悪の出会いから始まる、最大の「運命」の物語。 街ですれ違う人。電車でよく見かけるあの人。好きなモノが一緒なあの子。 それらは全て偶然で片づけ、見落としている「運命」なのかもしれない……。 さぁ、皆でちょっぴりバカにしていた「運命の恋」を探しに行こう!

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