渚の記録

潮の満ち引きによる海岸の変化

砂の調査

前回、海岸に置いた砂山が、潮の満ち引きでどう流れされているか調査をした。砂山は満ち引きで翌朝には平らな状態になっていた。
広がった砂を見ると、海岸奥の貝殻浜の方向に流されていることが分かった。 さらに泥堆積調査筒を使用し、海岸の砂がどれだけの深さになっているのかも調査した。堆積した砂の深さは5センチ。砂の深さを保てずヘドロの上にわずかしかない今の状態では、生物が棲むには適していない。

干潟に必要な砂の量

生物が生息するにはどのくらいの砂が必要なのか。前回お世話になった海洋環境専門家の木村尚さんが研究活動をしている人工干潟に行き、調べることに。
まず人工干潟で見つけたのはゴカイの棲管(せいかん)。棲管とはいわばゴカイの巣穴のことで、主に海の生き物が粘液などでつくった管のようなもの。 つまり最低でも、この棲管以上の深さの砂が必要となる。

アサリの寒天実験

寒天で、アサリの住む干潟の砂に近い状態を作り出し、アサリが砂の中に潜っていく様子を観察し、砂がどれだけ必要かを調査した。まず海水1リットルに対して1.5gの粉寒天を煮溶かし水槽に入れ、その中にアサリを入れて観察する。すると、40分ほどで13センチの深さまでアサリが潜った。

フェンス作り

海岸に入れた砂の流出対策として、大潮のときの干潮の水面から1メートルの高さの位置を基準にし、1メートル間隔で杭を打ち込みそこに板を打ち付けてフェンスを作った。

大潮を利用しての砂入れ

砂入れを行なう際に干潟の手前にあるヘドロのせいで、なかなか砂入れの作業が進まなくなってしまった。
そこで翌日の大潮の満潮時期を利用して、イカダで奥まで砂を運ぶことにした。大潮とは潮の干満の差が大きな状態で、新月や満月の前後数日間のことを指し、普段より海水が多い状況を利用して砂を運ぶ。
さらにテコの原理を利用して、砂を入れていく。大潮の3日間を利用して約40トンの砂を入れた。

牡蠣殻の土のう

ヘドロが柔らかく堆積しているところのフェンスが、ヘドロのせいで外れてしまっていた。そこで海岸にあった貝殻を使い応急処置。
麻袋に、堆積しているカキ殻を詰めてハンマーで砕き、十分に細かくなったら砂と混ぜ、袋の口を閉じる。フェンスの外れた箇所に土のうを並べ、20センチ以上の高さになるように2段に積んでいった。合計24個の土のうを使った。

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