渚の記録

種付け

2011年4月から始まった3度目の海苔づくりの取り組み。
収穫したスサビノリから果胞子を放出させ、その胞子を一から育てて、100%DASH海岸産の海苔づくりを目指す。
まず、成熟した葉状体から果胞子を取り出し、カキ殻に付着させることから始まった。
集めたカキ殻126枚を熱湯で殺菌し、1本9枚の束にし、取り出した果胞子をカキ殻に種付け。
光量を調節し、400~600ルクスに保ちながら、生長を促す。
順調にいくと、果胞子は、カキ殻表面の葉状層を溶かし、隙間の空いたチョーク層に糸状の根を広げて定着し、やがて糸状体となる。
種付けから80日後には、カキ殻の表面に糸状体が発生し、97日後には全体に広がった。

温度管理

続いて、重要なのは温度管理。
生長中の適温は15℃から22℃。夏の間はこの温度を保ちつつ、秋には25℃にまで上げる。
夏を迎え、135日経過したカキ殻の水槽の水温は適温よりも高い28℃。
大型の水槽に移し替え、外気の影響を抑えることに。
さらに、冷たさによる水温刺激で胞子が出切らぬように、サーモヒーターを設置し、25℃にキープ。
海水温が現在の30℃から水槽の25℃を下回った時が、沖出しの時期。
夏も過ぎ、10月を迎える頃には、海水温は24℃に。
種付けから175日経過したカキ殻は、黒かった色味が赤みがかり成熟。
この状態が、殻胞子が出始める前兆。
糸状体から殻胞子を出すためには、急激な水温低下による刺激と暗いところから明るい所への光の刺激を与えること。

採苗

DASH海岸でおこなったのは、竹を使ったレール採苗。潮の干満を利用した採苗方法で、温度と光の刺激によって放出された殻胞子を、仕掛けた網に付着させる仕組み。
レール採苗にカキ殻を設置し3日後には、網には殻胞子がちゃんと付着していた。
その後、殻胞子が発芽するまで、網を上げ気味に設置。
採苗から39日後には、長さ約1cmの発芽した葉状体が発生し、採苗から71日後には、長さ10cm、110日を迎える頃には、15cm程にまで生長。
厳しい寒さと光合成でさらに生長することから、日当たりのよい、海岸中央へ移動させる。

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