「自分たちの手で公道を走れる車を作りたい!」「地球に優しい未来に車を作りたい!」
こんな男たちが抱いた夢の実現の手助けをしてくれたのが山本博士。
現在、日本一周にチャレンジ中のソーラーカーを、横浜にある自分の研究室から
温かく見守っている。愛車は手作りのソーラーバイク。





第二次大戦中、陸軍科学研究所で陸軍技師として働いていた山本氏は、時の首相、東條英機の勅命を受け、潜水艦の開発をしていた。遠く離れた場所にいる兵士たちに、物資などを届けるための輸送用潜水艦の開発であった。

海軍に設計図を見せてもらえない状況で、山本氏が製作した潜水艦は、マルチフルエンジンを搭載し、どんな油でも走ることができた。当時、軽油でしか動かせなかった海軍の潜水艦に対して、山本氏の潜水艦はまさに画期的な潜水艦であった。

しかも、水上ではどんな油でも走行できるのに加え、水中はモーターを使って電気で動く仕組みになっていた。
これは今で言う「ハイブリットカー」と同じシステム。
山本氏は50年以上前にこのシステムを応用していたのである。

終戦を迎え、航空宇宙学会に所属した山本氏は
「潜水艦の研究を何かに活かせないか」と考えていた。
そこで、山本氏が着手した研究が「ソーラーシステム」。太陽という無限のエネルギーを使うので、資源も一切ムダにしない。現在までに、ソーラー関係の特許を10以上取得し、今なお精力的に活動している日本のソーラー研究の第一人者である。