動物とコミュニケーションはとれるか!? 〜介助犬 一日講習〜


 長きに渡る人類の歴史の中で、人間は常に動物とコミュニケーションをとり、共存してきた。中でも人間のパートナーとして最も身近であり続ける犬、その優れた能力を引き出され、新たにこんな犬が人々の生活を支えはじめている。「介助犬」…手足の不自由な人々の身の回りの世話をはじめ、心のパートナーとして共に生活しながらサポートしてくれる頼もしい存在。

 高齢化の進む日本において、介助犬の必要性と需要は次第に高まっているが、その養成は欧米と比べ遅れている。主要各国の介助犬数、アメリカ約1000匹以上、カナダ約600匹、イギリス約300匹に対して、日本はわずか10数匹。

 介助犬になるための難しい訓練、そこには何より人間の犬に対する愛情と信頼が欠かせない。

そこで…
動物とコミュニケーションはとれるか!? 〜介助犬 一日講習〜

 今回、介助犬との生活に挑むのは、太一と城島。太一は東京都江戸川区のとあるマンションを訪れた。その一室に拠点を置く「トータルケア・アシスタントドッグ・センター」、そこに待ち受けていたのは、ラブラドルレトリーバーの「オリバー」(1歳3ヶ月・オス)。訓練歴8ヶ月という現在見習い中の介助犬。

 一方、城島は東京都西多摩郡のあるお宅を訪ねた。すると、自らドアを開けてお出迎えしてくれたのは、同じくラブラドルレトリーバーの「グレーデル」(7歳8ヶ月・オス)。ご主人の野口利夫さん(50歳)と生活するグレーデルは、数少ない介助犬の1頭。日本初の介助犬第1号で、5年のキャリアを誇る。

 介助犬とのコミュニケーション訓練は車イスに乗って行う。城島、まずは基本的な指示を学ぶため、トレーナーの矢澤知枝さんにお手本を見せてもらう。

基本的な指示方法は…
「車イスの横に座らせる」
カムバイヒール→左側に来る、シット→座る 「落ちている物を拾う」
テイク→くわえる、ブリングアップ→上に持って来る、ギブ→放す

 矢澤さんの指示を忠実にテンポ良くこなすグレーデル。そして、上手く出来たらすぐにほめてあげる事が大切。続いて城島も挑戦!「カムバイヒール(左側に来る)」の指示を「カムバイヒア」と間違えると、グレーデルがヒザの上に寄りかかってきた! 次に落ちたふでばこを拾うよう「テイクふでばこ(ふでばこをくわえる)」と指示を出すと、ふでばこをくわえたもののすぐに放して近くの骨をくわえてしまった。城島をご主人として認めていないのか? 気を取り直してチャレンジしてみると、ぎこちないながらも何とか成功! そして、すぐにほめようとする城島だが、グレーデルに無視されてしまった。

 一方、太一もトレーナーの中川直子さんから基本的な指示を学んで挑戦。落ちたペンを拾うよう「テイクペン(ペンをくわえる)」と指示すると、オリバーはペンをくわえた。そして、ヒザを叩きながら「ブリングアップ(上に持って来る)」と指示を出すが、オリバーはふざけて渡してくれない。そしてようやくペンを渡してくれ、太一が必死にほめると、過剰過ぎたのか? オリバーが太一を突き飛ばした!

 今回の介助犬訓練は「城島・グレーデルチーム」と「太一・オリバーチーム」に別れ、2人はそれぞれのパートナーとコミュニケーションを深めながら、一日の生活を共にする。日常生活における様々な行動を訓練課題とし、両チームはそれをクリアして行かなければならない。

 一日講習はそれぞれのお家からスタート。起床からはじまり、介助犬たちは家庭内で行われる全ての行動をサポート。続いて「外出の準備」、着替えをしてお家を出発すると、外出先では「お買い物」。これらの講習項目をクリアしながら、それぞれのゴールとなる最終目的地を目指す。

 果たして、2匹の介助犬の行く手には、どんな難関が待ちうけているのか? そして、無事にゴールすることはできるのか?


 一夜明け、介助犬との1日がスタート! それぞれのお家でぐっすりと眠る城島と太一。家での訓練は「起床」「新聞」「着替え」「冷蔵庫」、これら4つの項目を犬への指示でこなさなければならない。

 まずは「起床」…定時にキチンと起こしてもらえるか?

 現役介助犬のグレーデルと城島、ふとんでぐっすり熟睡中。そこへ、AM9:00を知らせる目覚し時計が鳴った! グレーデルは一足先に動きだし指示を待つ。そして目覚めた城島はアラームを止めるよう「タッチ(手でさわって)」と指示すると、グレーデルは城島の手にタッチ! 改めて「タッチ時計(時計をさわって)」と言い直しても同じ事の繰り返し。今度は時計を指して指示すると、ようやく前足でアラームを止めてくれた。続いて、かけ布団にくくられたハンカチを引っ張ってふとんをめくるよう「テイクハンカチ(ハンカチをくわえて)」と指示すると、これは順調にこなし、起床完了!

 一方、訓練中のオリバーと太一、こちらも就寝中。そして目覚し時計が鳴ると、ベッドの太一はかけ布団につながれたダンベルを引くよう「テイクダンベル(ダンベルをくわえて)」の指示。しかし、オリバーは中々言う事を聞いてくれない。そして5分後、ようやくダンベルをくわえると、「プル(引く)」の指示でふとんをめくってくれた。指示には従ってくれるものの、オリバーは行動を一気にこなしきれない。続いて体を起こしてもらう。太一の上半身に巻いたタオルを「テイクタオル(タオルをくわえて)」の指示でくわえさせ、「プル(引く)」で引っ張らせる。懸命に引っ張るオリバー、そしてようやく上半身を起きあがらせることに成功し、10分で起床完了!

 続いては「新聞」…置いてある場所を理解し、速やかに持って来ることはできるのか?

 まずはグレーデルと城島、「テイク新聞(新聞をくわえて)」の指示、しかし目の前の新聞に見向きもせず、グレーデルは辺りをうろつくだけ。そこで新聞の位置を指して懸命に繰り返すと、ようやく気づき、「ブリング(持って来る)」で速やかに城島の元へ運んでくれた。グレーデル新聞完了!

 一方、オリバーと太一、こちらの新聞は玄関ドアのレバーに挟んであるが、指示を出してもオリバーは太一の足元を離れようとしない。理解していないのか? そして太一がしつこく指示を続けると、5分かかってようやく取りに向かった。ところが、太一が新聞を読もうとすると、オリバーは新聞をくわえて放さず、しまいには噛み切ってしまった!

 3つ目の項目は「着替え」…タンスを開けて中から服を持ってこられるか?

 グレーデルと城島、まずは扉式のタンスを開ける指示。取っ手に付いたハンカチを「テイクハンカチ(ハンカチをくわえて)」でくわえ、続いて「プル(引く)」で扉を開けた。そして「テイクトレーナー(トレーナーをくわえて)」で服を取り出すと、「ブリング(持って来る)」でヒザ元までスムーズに届けてくれた。次第に息も合い、見事に完了!

 一方、オリバーと太一、こちらは引出し式のボックスから洋服を取り出す指示。「テイク洋服(洋服をくわえて)」で引出しについたダンベルを引っ張って開け、その中のトレーナーを取り出すと、こちらも素早く届けてくれた。次に引出しを閉める動作に挑戦。太一が引出しを指して「タッチ(手でさわって)」の指示を出すと、なんとオリバーは引出しを突き飛ばしてしまった!

 家の中での最後の項目は「冷蔵庫」…扉を開け、指示された物を取れるか?

 グレーデルと城島、まずはドアの取っ手に付いたハンカチを引っ張って開け、次に「テイク牛乳(牛乳をくわえて)」の指示で状態を乗りだし、前足で牛乳パックを引き寄せ、パックの口をくわえて運んでくれた。そして「タッチドア(ドアをさわって)」で、前足でドアを押して見事に閉めて見せた!

 一方、オリバーと太一、こちらもドアの取っ手に付いたダンベルを引っ張って開け、「テイクボトル(ボトルをくわえて)」で取り出すよう指示。ところが、ボトルの種類は様々で、オリバーは迷った挙句、ドアを閉めてしまった! 気を取り直し、今度はお目当てのボトルを太一が指して指示すると、ちゃんと運んできてくれた。そしてドアを閉めて完了!

 こうして時刻はAM11:00をまわり、いよいよ車イスでの外出訓練。まずは玄関のドアを開けられるか?

 グレーデルと城島、「アップ、タッチドア」の指示でグレーデルは前足でドアを押し開け、難なく外へ出ることが出来た。そして閉める作業もスムーズにこなし、お買い物に出発!

 一方、オリバーと太一、こちらのドアはレバーを引かなければ開かない仕組み。オリバーは立ち上がってドアに寄りかかると、口でレバーを引いて難しいドアを見事押し開けた! しかしここはマンション、次なる難関エレベーターに挑む。「アップタッチエレベーター(ボタンを押して)」の指示で身を乗り出し、手当たり次第に前足をバタつかせる。すると、上下両方のボタンを押してしまった! 続いて中へ入り、1階のボタンを押さなくてはならないが…ここでもほとんどのボタンを押してしまった! 各階に停まりながらようやく1階へ。オリバーは太一の外出を上手く介助できるのか?

 無事に表へ出ることができた両チーム、ここからは人通りの多い路上訓練!

 グレーデルと城島の目的は、近所にある「八王子そごう」での買い物。住宅街を進むと、早速庭先の飼い犬と遭遇。興奮する飼い犬に対し、グレーデルは見事な集中力で気を取られずに進む。さすがは現役介助犬! 介助犬には、外で周りに気を取られない集中力が必要なのだ。

 一方、オリバーと太一の目的も近所にある「イトーヨーカドー」での買い物。車イスの左側につくよう「ヒール(左側について)」と指示しながら商店街を進む。そしておもちゃ屋に差し掛かると、こちらは集中力が足らず、シンバルを叩くサルにビックリ! さらに、街中を抜けると難関に直面! 行く手には長いスロープが立ちはだかる。オリバーは車イスの太一を引っ張って登れるのか? 太一が「テイクミーフォー(ひっぱって)」と声をかけるが、中々進まない。そこへ、同行しているトレーナーの中川さんも必死に声をかけると、登りはじめた! 滑る足元をこらえながら前へ進み、見事長いスロープをクリア!

 その頃、商店街を進むグレーデルと城島。道を渡ると目的地だが、車の通行が多いため様子を伺う。日頃、介助犬は主人の左側を歩くように訓練されており、グレーデルは道路に飛び出す格好になっている。心配でロープを引く城島だが、グレーデルは冷静である。そして、タイミングを見計らって道路を渡ると、目的地の八王子そごうに到着! ちなみに、入り口に「介助犬」や「盲導犬」のプレートが貼られたお店は、ハーネスを装着していれば入店可能である。

 同じ頃、オリバーと太一も目的地のイトーヨーカドーに到着。オリバーにとってはじめてのスーパー、目指すは5階の日用雑貨売場だが、その前に集中力を高めるこの訓練…「食料品売場を通り、周りの匂いに惑わされず進めるか?」匂いの誘惑につい目を奪われるオリバー、ここで太一から「ノースニフ(匂いを嗅ぐな)」の指示。ところが、他のお客さんの買物袋を嗅ぎ出してしまった! ここで太一は厳しく注意。こうして、何とか食料品売場を通過!

 そして、ここから5階の日用雑貨売場まではエレベーターで上がるが、またしてもボタン押しが待っていた! オリバーにとってマンション以外のエレベーターははじめて。先ほどと同じように立ちあがり、前足をバタつかせながらボタンを押すことに成功!

 一方、八王子そごうのグレーデルと城島は5階の紳士服売場にいた。お目当ては「くつ下」と「ネジ式のフック」。まずはワゴンに乗ったくつ下を見つけると、城島はお似合いのくつ下をグレーデルに選んでもらうことにした。「アップ」の指示でワゴンに身を乗り出すと、器用に1足分のくつ下をくわえて城島に渡した! グレーデルが選んだ1足に、城島は満足ぎみ。しかし、これで終わりではない、次はレジでの支払い。まずはくつ下をくわえ、店員さんに渡す。続いて財布を渡そうとするが、落としてしまった。滑りやすい床に薄い財布、グレーデルは前足を使って何とかくわえることに成功! 最後は店員さんから商品を受け取り、まずはくつ下購入完了!

 続いて6階のリビング用品売場へ移動すると、お目当てのネジ式フックを発見。ところが、パックされた商品はフックに掛かって陳列しており、ここから1つだけ取るのは至難の技。果たして上手に取り出せるのか? すると、城島の指示通り商品を1つだけくわえ、器用にフックから取り外した! そしてレジでの受け渡しも難なく済ませ、これで買い物は終了!

 その頃、オリバーと太一は日用雑貨品売場に到着。お目当ては「ドックフード」と「風呂おけ」。オリバーは上手く品物を取って渡せるのか? まずはドックフードを見つけるが、商品1袋の重さは1kg。あまりの重さに中々持ち上がらない。太一も必死にヒザを叩いて乗せるよう指示。すると、何とか持ち上げ渡すことに成功! ところが商品を取る際、オリバーは2袋を棚から落としてしまった。落とした物は購入しなくてはならず、さらに、重い袋をくわえて持ち上げたため、ビニールが破れてしまった。

 残るは風呂おけ。オリバーは指示通りおけをくわえて太一に渡すが、2つ重ねだった! 介助犬が1度くわえたものは全て購入しなければならない。それでも太一はオリバーの頑張りに喜び、おけを2つ購入。続いてレジへ向かい、はじめての受け渡し。まずはドックフードを渡そうとするが、袋が重いうえにカウンターが高く、中々渡すことができない。そこでオリバーは、袋をくわえたまま前足でカウンターに乗り出し、商品を乗せることに成功! さらに買物袋を受け取ると、同じように前足を太一のヒザに乗せることで、難なく渡すことができた。これでオリバーと太一も買い物終了!

 こうして時刻はPM4:10をまわり、両チームは最終目的地として、それぞれの介助犬が大好きな場所へと向かう。

 グレーデルと城島が向かったのは、グレーデルが飼い主の野口さんと良く訪れるという「八王子心身障害者福祉センター」。中へ入ると、いつもの仲間である手話サークルの皆さんがグレーデルの到着を待っていてくれた。ここに集う人たちに可愛がられるのが大好きで、さらにサークルの皆さんが披露する手話コーラスを聞くのも大好き。音楽がなるとシッポをふってゴキゲンなグレーデル。今ではすっかりセンターの人気者!

 一方、オリバーと太一、訓練段階のオリバーだが、コミュニケーションも充分に取れ、お互いの息もピッタリ。そして辿り着いたのは、露天風呂が自慢の銭湯「鶴の湯」。オリバーは何よりお風呂が大好き。ここで太一は、オリバーのために空気で膨らませたプールを用意し、一緒に露天風呂を満喫! 太一がオリバーの背中を流してあげると、オリバーは気持ち良さそうにグッタリ。こうして1日の疲れを共に癒した!

 一日講習を無事に終えたグレーデルとオリバー、介助犬たちの活躍はこれからも続く!


DASHサブ出し隊が行く!! 全日本プロレス中継編

 はじめてのプロレス現場、その本番に備え3人はある場所へとやってきた。ここで実際のリングを前に、リングサイドのカメラリハーサルをすることに。すると、そこには謎の覆面レスラーが待ち構えていた! ところがレスラーは1人しかおらず、これではカメリハにならない。そこで、対戦相手に音声太一を抜擢。渋る太一だが、ズボンを下ろすと、既にリングタイツを履いていた!

 そしてカメリハ開始! 達也がカメラを担ぐのは、今回がはじめて。達也のカメラがリング下からレスラーを捕え、臨場感を出すため城島が実況を担当。戦いはリングから場外に移り、場外戦の撮影練習。ここで太一が相手の覆面を剥ぎ取った! すると、謎のレスラーは覆面をもう1枚つけていた! さらに試合中のハプニング、太一によって再び覆面が剥がされた! 謎の正体が暴かれた時の練習、達也が捕えた顔は…長瀬だった! ここで長瀬がへばって練習終了!

 しかし、ここで多くの問題点が浮上した。このわずかな時間で達也は肩が凝ってしまった。8kgもあるカメラを長時間担いで動き回れるのか? さらに、予想もつかない場外乱闘、試合を妨げずに追いきれるのか? 実際の現場ではもっと多くの問題が振りかかるはず…

 不安材料を残したまま、六峯テレビの3人は本番の行われる後楽園ホールに到着した。まずは恒例の「技術打ち合わせ」(通称・技打ち)。ディレクター岩崎さん(日本テレビ)とプロデューサー今泉さん(日本テレビ)からカメラ位置割り振りの説明を受ける。

 この日は「ジャイアント馬場追悼試合」の大切な3試合の模様を4台のカメラで追う。南スタンド正面に設置される1カメは、常にリング全体とレスラーの位置を明確に捕えるメインカメラ。担当はベテランの宮崎さん(40歳)。東側2階席に設置される2カメは、高い目線からリングの内・外を臨場感タップリに捕える。こちらもベテランである金子さん(45歳)が担当。3カメは東側リングサイドに設置。赤コーナーの入場や至近距離での表情など迫力を捕える。担当は田代さん(28歳)。そして、4カメ達也の担当は西側青コーナーのリングサイド。3カメと同様で間近からレスラーを捕え、場外乱闘にも素早く対応しなければならない。

 4台のカメラの映像は、全て中継車のモニターに映し出され、ディレクターが選択したものが放送用に収録される。

 そしてこの日の映像は、日本テレビで編集され、日曜深夜の「全日本プロレス中継」にて放送される。

 さらに、ディレクターから達也に課せられた使命は、「場外乱闘を逃さない」こと。責任重大な任務をまかされ、3人にプレッシャーがのしかかる。すると達也に疑問が…「F.F.って…ファイナルファンタジー?」、F.F.(フル・フィギア)とは、全身を画面に入れること。

 果たして、3人は指示通りの仕事を着実にこなし、達也が撮った映像は放送で使われるものとなるのか?


 17:30、開場。カメラを担いで戦場へと飛び出す達也、音声太一、そして城島、3人に緊張が走る。さらに、今回は福澤アナウンサーが応援実況をするために、自らの古巣に帰ってきた。

 18:15、ディレクターの指示でスタンバイに入る。リングサイドに構えるカメラマン達也と音声太一。城島はひとまず客席で2人を見守ることに。

 そして、いよいよ選手入場がはじまった! 第1試合は「本田・井上 vs 高山・垣原」のタッグマッチ。

 4カメ達也が赤コーナーの入場を捕える。ところが、4カメの入場担当は青コーナーだった。慌てて駆け寄り選手を捕えるが、手ぶれが激しく上手く撮れない。それでも、垣原選手がリングに上がる際、達也の映像が使われた! いよいよゴングの時、荒れそうなこのタッグ、場外乱闘はあるか?

 18:30、第1試合ゴング! 序盤、高山・本田両選手の攻防、ここで達也の映像が使われ、さらにディレクターからの要求が飛ぶ。「黒いパンツ(高山)の選手に寄って表情を捕えろ」というものだが、達也は間違えてリングサイドに控える井上選手を捕えてしまい、達也の映像は外されてしまった。

 そして、今日はじめての場外乱闘! 達也はフェンスに飛ばされる井上選手の表情を見事に捕え、その映像が使われた。さらに、乱闘を繰り広げる井上・垣原両選手を追いかけるが、雑誌記者の群れに前方をさえぎられてしまった!

 フィニッシュは本田選手が投げ技を決め、垣原選手から3カウントを奪い試合終了。しかし、そこに達也の映像は使われなかった。

 続く第2試合からは、達也のカメラアシスタントとして城島が加わることに。

 「カメラアシスタント」(通称・カメアシ)動き回るカメラマンの邪魔にならないよう、中継ケーブルをさばき撮影をサポートする役目。

 六峯テレビの3人がスタンバイ。すると、青コーナーから突如、ザ・デストロイヤーが入場し、達也はその姿を素早くキャッチ! 往年の名レスラーであるザ・デストロイヤーが次の試合のスペシャルレフェリーを務める。そして、達也が捕えた入場と、表情のアップが使われた!

 そして、第2試合の選手入場がはじまった! 第2試合は「バトルロイヤル」、2分間隔で選手が次々参加する変則ルール。

 青コーナーからモスマン選手が入場。その姿を捕える達也の映像が使われ、リングに上がる時、ディレクターから「カメラを振り上げろ!」と指示が飛ぶが、上手く選手を追えず、達也の映像は外されてしまった。思うように動けない達也、カメアシの城島が足手まといになっているのか?

 18:56、第2試合ゴング! 序盤は小川・モスマン両選手の攻防。すると、今日2回目の場外戦! 達也は両選手の表情を間近で捕え、さらにフェンスに飛ばされた小川選手の元へいち早く駆け寄ってその姿を捕えた! 雑誌記者をかき分け、前へ出る判断も早かった。城島のケーブルさばきも周囲の邪魔にならないよう、的確にこなしている。

 そして選手の数が5人に増え、ここで渕選手が戦線離脱し、達也が後を追う。試合中にもかかわらず、渕選手は客席で休憩…その姿を捕える達也の映像が使われた。続いて、青コーナーからラッシャー木村選手が入場し、懸命に追う達也。そしてラッシャーがリングに上がろうとした時、渕選手に足元をすくわれ転倒! その表情を素早くおさえる達也、これも見事に使われた。状況の変化に瞬時に対応できるようになった達也だが、その分体力の消耗も激しい。

 さらに、達也を忙しくさせる男、永源選手が入場してきた。永源の得意技といえば、殴られた時に発する「つば攻撃」。縦横無尽に飛び散るつばを、最前列の観客は常に新聞紙で防御している。そこへ、ラッシャーが永源をロープ際で捕え、客席に向かせた。いよいよか? ここで達也も勝負に出た! 胸元を叩かれた永源の口から一気につばが飛び散った! しかも、つばは達也のカメラをめがけて飛び、見事しぶきがレンズに付いてしまった!
ディレクターから「4カメさん、つば拭いて」の指示に、カメアシ城島は自分のTシャツで迅速にレンズを拭く、が、しっかり拭ききれず、4カメの映像は余計に見にくくなってしまった。

 試合はモスマン選手が渕選手から3カウントを奪って終了。すると、永源選手が達也の元へ歩み寄り、「お前ちゃんと撮らないから負けたんじゃないかコノヤロー!」と、無茶な悪態をつけてきた! が、これもサービス精神旺盛な永源選手のパフォーマンス。

 19:26、ここではじめての休憩に入った。かなり疲れているはずだが、充実感に満ちている達也。はじめてのケーブルさばきに、城島は気疲れした様子。太一は興奮ぎみで手から汗が止まらない。

 その頃、リング上ではジャイアント馬場さんの追悼セレモニーが行われていた。そして、3人を見守ってきた福澤アナがここまでを振りかえると、それぞれの動きはほとんど問題なしと絶賛! だが、達也にとって正念場はこれから…

 そして次のメインイベントには、いよいスタン・ハンセン選手の登場! 激しい場外乱闘は毎度のこと。さらに、しっかり捕えなければならない右手を掲げる決めのポーズ。果たして、達也はこの2つをキッチリと押さえられるのか? ハンセンの入場時は特に注意するようディレクターから注意が入る。

 そして、注目カードの選手入場がはじまった! メインは「三沢・小橋・秋山VSハンセン・田上・大森」の6人タッグマッチ。

 まずは田上選手の入場。コスチュームには馬場さん作の絵が描かれており、それを捕えるよう指示が飛ぶ。これをしっかり捕えると、続いて青コーナーからついにハンセン選手が登場! 走って登場したハンセンはすぐにリングイン。その姿を捕えた達也の映像が使われた。さらに、三沢選手が登場! 達也への指示は、「三沢選手がリングに入る際、踏み入れる足元を捕え、そこから全体を映せ」というもの。かなり板についてきた達也は、この指示も着実にこなした。

 20:09、メインイベントのゴング! 会場は熱気と興奮のるつぼ。序盤の戦いを低い姿勢で捕える達也、そのカメラワークをディレクターと福澤アナも絶賛。そして、満を持してハンセン選手がリングに入ると、3人に緊張が走る! ロープ際での攻防を、達也は臆することなく近づいて捕える。そして、この試合はじめての場外戦となり、すぐさま追いかける達也だが、ポールが邪魔して戦況を追えず、ここは反対側のカメラマンに委ねた。カメアシ城島はいつでも瞬時に動けるよう、わずかな隙をみてケーブルを丸めていく。

 そして、リングサイドに待機するハンセン選手の横で試合を捕える達也だが、ハンセンの威圧感に後ずさりぎみ。そこへ、2回目の場外戦がはじまった。乱闘は達也のリングサイドとは反対側。ひとまず様子を見ようとしたその時…達也のそばにいたハンセンがリングを降り、場外戦に加わった! 夢中でハンセンを追いかける達也、そしてハンセンと小橋の攻防を間近で捕えると、小橋が鉄柱に飛ばされ、達也の方へなだれ込んできた。達也は間一髪で交わし、引き続き攻防を捕えようとするが、ケーブルに余裕がなく、振り回されてしまった。4カメ達也、痛恨のミス! 肝心な攻防を逃してしまった。

 もうミスは許されない。しかし、ここで達也に問題発生! はじめて経験するカメラを担いでの動きに、達也の疲れはピークに達し、手ぶれがどうしても収まらない。すると、目の前で再び場外戦! 今度はハンセンと三沢の攻防。フェンスに飛ばされたハンセン、ここで達也は撮るものをハンセンのみに絞り込んだ。恐怖を抑えて歩み寄ると、この日一番の険しい表情を捕えることに成功し、見事その映像が使われた!


 しかし、達也にはまだ1つ撮れていないポイント、ハンセンの「決めのポーズ」があった。だが、無情にも試合終了のゴングが鳴らされた! このまま撮れずに終わってしまうのか? そして、引き上げるハンセンが通路に差し掛かったその時、右手を高らかに掲げた! さらに観客と共に「ウィー!」の雄叫び。冷静に追いかけた達也、お決まりのポーズも撮ることができた!

 全試合を終え、興奮とプレッシャーの中、無事任務を果たすことができた。充実感に満ちた達也、興奮冷めやらぬ太一、そして、城島は想像以上のハードさを実感。それぞれの思いを胸に、3人は後楽園ホールを後にした。

 六峯テレビの戦いは続く…