DASH村だより 〜マサヨ出産〜
その日は朝から騒がしい幕開けだった。
いつもなら風の音や、虫の飛ぶ音、静かなDASH村だからこそ聞こえる
小さな音が、悲痛な叫び声でかき消されていた。
一体この声はどこから聞こえてくるのか?
なんと、その声の主はマサヨ。
ヤギ小屋では清が固まってどうすることも出来ない様子。
まさか・・・

これまで見たことのない表情で叫びつづけるマサヨ。
と、その傍らになにやらうごめく、見慣れないものが。
命を振り絞るかのように段々と叫びが大きくなり、そして・・・
生まれた!
八木橋とマサヨ、待望の子供誕生の瞬間。
ぬいぐるみのように幼く、体からはまだ湯気の立つ新しい命、
触れれば壊れそうなヤギの赤ちゃんに清、ただただ固まるばかり。
まるで2人の分身のように小さくしたカワイイ赤ちゃん、
どちらに似ているのだろうか?

そんなことを思っている間に、さらに驚くべきことが・・・
マサヨと赤ちゃんの間になんともう一匹赤ちゃんの姿が!
どうやらうれしい双子らしい。
寄り添うように座る姿も、立つことすらままならない姿も、
いつまでも見ていたくなるほど可愛らしい。

うれしいことは続くもの。
ヤギ小屋に比べておとなしかったアイガモ小屋では、
アイガモの下から白い卵が。
次々と生まれる新しい命、今年のDASH村はなんだかにぎやかになりそう・・・
 
DASH村 〜キムチ料理〜

新しい命に沸くDASH村だが、こちらでも新しい命が生まれようとしていた。
それは城島が愛情込めて育てていたキムチ
韓国のパクさんに教わった本場のキムチが、つぼの中ですくすく育ち、
食べごろになっていた。
達也、太一も折り紙つきの辛さ。
刻んで鍋に放り込み、キムチ鍋にするらしい。

そして、太一がつくるのはキムチで山菜を巻いたものこれは一体何?
実は、この山菜をとった時にこんなこともありました・・・
孝子さんと、太一、そして清が村を捜して歩いた山菜取り。
太一と清が競うように駆け寄ります。
どっちが多くとったのか、負けたくない太一はとある作戦に出た・・・
わらびを片手に清に歩み寄る太一、
太一「清君ちょっと貸して。どっちが大きいか比べるだけだから・・・」
と、言ったとたん、自分のかごにポン。
せっかく清が取ったわらびが太一のものになってしまった。

ならばと、こっそり太一から離れて駆け出す清、
タラの芽を全部摘み取ってしまうつもりらしい。
でも、ばれてしまったのか、
太一「ちょっとまってよ〜!」
と、これも横取りされてしまった。

こうしてウドやフキもたくさんとれた山菜取り、
太一のかごの中は溢れるほどになってしまった。
太一「今度山菜のとり方教えてあげるよ♪」
と、ご満悦。
そんな執念にも似た太一の山菜は、
キムチに巻かれておいしそうに皿に盛られた。

その傍らでは城島が豆腐をする。
すべてDASH村で取れた野菜と豆腐でつくる、がんもどき。
すり鉢の中は色とりどりでつまみ食いが心配なほど。
シイタケ、たけのこも入ってあとは揚がるのを待つだけ・・・

と、ここで気になる太一の山菜キムチ巻き。
おもむろに取り上げた城島はなんと、先ほどから火にかけている
キムチ鍋にドボン!
どうやらこれが、キムチ鍋のメイン具材になるらしい。
しかも、揚げたてのがんもどきもこの鍋に参入。
城島流、全く新しいキムチ鍋は一体どんな味がするのか?
思ったほど辛味の少なかった鍋に、再度キムチを投入し、味を調整。
真っ赤な鍋がグツグツ煮えて、見ているだけで汗をかきそうな鍋。
後から辛くなる味にまとまったようだ。

と、ここまで鍋とは別に黙々とジャガイモに向かっていた達也。
実は大好きなコロッケにキムチを入れた
キムチコロッケをつくりたかったらしい。
ただキムチを入れるだけではなく、
韓国のパクさんに教わった韓国のお餅「トック」も入る、手の込んだコロッケ。
鍋も一段落してみんな流れ作業で衣がついていく。

さらに城島がつくる、キムチ入り野菜スープも完成間近。
しかし、達也はあることが気になっていた・・・
達也「キムチたくさん入っているけど、明雄っちは辛いの大丈夫?」
明雄さん「あんまり辛いのは・・・」
と苦手な様子。
ここにきて分かった衝撃の事実、でも中にはちゃんと辛くないのもあるらしい。

そんな会話をしている間にこんがり揚がってきたキムチコロッケも食べごろに。
たくさんつくったコロッケ、みんなで平等につまみ食い。
アツアツのジャガイモにピリカラキムチ、口にほおばり言葉が出ない。
気になる明雄さんの反応も、「ウマイ!」と太鼓判。
やはりコロッケは揚げたてに限るようだ。
辛さにこだわる城島、追い討ちをかけるようにコロッケのソースづくり。
コチュジャンに醤油を混ぜた特製ソースをそえ、完成!

辛いものばかりの食卓にどうしても必要なご飯、
これも今日は一工夫して山菜ご飯にしてみた。
つやのあるDASH米にふんだんに入れられた山菜の数々。
はやくおかずと一緒に食べたいところ。

しかし、今日の城島はノッていた。
残りのキムチを、小麦粉と卵を混ぜた生地にいれ、こんがりと焼いている。
これは一体なんなのか?
実は、これも韓国のパクさんに教わった韓国料理、キムチちぢみ。
食欲をそそる辛い料理が次々と出来上がる。

万能のおかずキムチをメインに食卓に並べられた料理は合計6品。
山菜ご飯を除いてどれも赤いおかずたち、肝心のお味のほうは?
山菜たっぷりのご飯は春の香り漂う上品な味。
自分で取った山菜が気になるのか、太一は真っ先にご飯に箸を伸ばす。
山菜をキムチで巻いたキムチロール鍋も絶品らしい。
相当辛いのか、汗を光らせみんな夢中で食べる。
キムチちぢみは思ったよりもあっさりと、逆にスープは相当辛かったようだ。
そして、みんな大好きなコロッケ、特製ソースをかけてもう一汗。
食事が辛いと会話も弾む、こうしてDASH村の夜は今日もふけていきました。

食卓を囲んでいるときに「涙が出ました」といっていた清。
実は、料理のおいしさではなく、コロッケの中のトックが虫歯にくっつき
どうしようもなくなったらしい。
そのうえ、辛さが染みるわ、冷たい水も染みるはで本人は大変だったようだが、
やはり、キムチ料理のおいしさには勝てず、
最後には痛さを我慢して食べたらしい。

 
ソーラーカーは公道を走れるか?

「自分たちの手で作った車で、いつまでも走り続けたい…」
そんな夢の実現へ動き出した達也と松岡。

情熱はあるが知識の無い2人をサポートしてくれるのは、ソーラー博士こと山本悌二郎氏。山本氏はソーラー関連の特許を10以上取得しているソーラー研究の第一人者。

情熱はあるが作る土台となる車が無い彼らは、中古車オークションで競り落とした8万4000円の軽自動車を手に入れた。これが夢への第一歩である。
そう、男たちが作る車はガソリンを使わず、太陽光を動力として走る「ソーラーカー」。

ソーラーカーとしての命を吹き込む作業は、必要の無い「ガソリンタンク」「マフラー」「エンジン」などを外すことから始まった。さらにはソーラーカーとして必要な「ソーラーパネル」「モーター」「バッテリー」を装着した。

工場内での走行テストでは、見事に車を前に進ませることができた。
次はいよいよ広い場所での実践的な走行テストである。

「よしっ!試運転始めますか!」
アクセルを踏み込む達也。するとゆっくりとソーラーカーが動き出した。

達也「おっ!動いた!動いた!」
松岡「せっかくだから、アクセルもっと踏んでみようよ!」

すると…
達「今、何と?」
松「いや、アクセルもっと踏もうよって」
達「オレの足見てみて」
松「…ベタ踏み(精一杯踏んでいる状態)じゃん!」

ソーラーカーの速度計が示す速度は15km/h。
松「こんなんじゃ、公道走れないよ!」
その言葉が示しているように、この速度では到底公道を走ることができない。

すぐさま、工場へ戻り原因を究明。
すると速度が出ない原因は、モーターだということが分かった。

このモーターは、達也がもらってきた遊園地のアトラクションのモーターである。
さらにこのモーターは家電などに用いられる交流モーターでパワーが弱い。
しかし、このモーターは「ソーラーカーを動かすためのモーター」として取り付けた物。

「ここまで作れれば十分」と、山本博士が持ってきた直流の新たなモーターを取り付けて、再度走行テストをすることに。

再度、充電を満タンにしてやって来た駐車場。
天気は快晴。絶好のテスト日である。

松「大丈夫かな?」
達「いけるでしょ!出発!」

アクセルを踏み込む達也。すると…

松「おっ!音が違うよ!」明らかに以前とは音が違う。
達「速い!速い!」速度計も40km/hを示している。

速度は十分、これでもう大丈夫と判断した2人は、車体をキレイに磨き、満タンに充電をしてあるところへと向かった。


その日はあいにくの雨。しかし、充電をしているので十分走ることができる。
達也「ここかぁ…」
松「いよいよだね…」
まだ公道を走れないので、ソーラーカーを押しながらやって来たのは「軽自動車検査協会」。ここに来た目的は、「車検を取得すること」である。

車が公道を走る為には「自動車検査証」。つまり、車検が必要なのである。
ソーラーカーは軽自動車の車体を利用している為、車検の申請はここ、軽自動車検査協会で検査を受けなければならない。



まず始めに図面などをチェックする書類検査が終ったら、実際に車を検査場へ入れ実施検査へ。
まずは「走行検査」。一定時間内にある程度の速度が出なければ、走行中に渋滞の原因になってしまう。さらに、減速を始めてから一定時間内の停車できないと、衝突事故の原因にもなり得る。

検査場に付いているローラーに車輪を乗せ、アクセルを踏み込む。
すると、しばらくして電光掲示板に「○」が点灯。
速度検査は合格。次なる検査「下回り検査」も合格し、3つ目の検査「排気量検査」へ。

マフラーに検査機を当て、排気を出す。その排気量が一定数を超えると公害をもたらす車と認定され、車検を取得できないのである。

達「こいつだけは自信があるんですよ!まぁ見てやって下さい!」
と通常、マフラーが付いている場所を検査員に見せる。
すると、「あぁ、マフラーないのか。じゃあ、合格だな。」と見事にクリア。

残る検査は2つ。果して合格なるか?

次なる検査は「直進検査」。
通常、タイヤは4つとも平行になっていなければならない。もしも、位置がずれているとハンドル操作とタイヤの動きがリンクせず、事故につながる恐れがある。

センサーのついた2枚の鉄板の上を通過し、鉄板の振れ幅の誤差が5mm以下になっていてば合格。
しっかりとハンドルを握り、ゆっくりと鉄板の上を通過する。

その様子を見守っていた松岡、思わず…
松「何か授業参観に来た気分だね。ウチの子ガンバレって気分だね」
山本博士も心配そうな目で見つめている…。

鉄板の上を通過してしばらくすると、電光掲示板に「×」が点灯してしまった!



1度バックで元に戻り、再度検査してみることに。しかし、又も掲示板には「×」が点灯…。

松「えっ!?これじゃダメってこと?」
達「…(無言でうつくむく)」

しかし、工場内を移動しながら検査をしているので、次の検査もすることに。
次なる検査は「照明灯検査」。

ここで検査するのはヘッドライトの角度と照射能力。
夜間走行時にしっかりと前方を照らすことができるかを検査する。
暗闇で100m先の目標物を照射できるかを想定した検査になっている。



「まだ車検に不合格と決まった訳じゃ…」とかすかな希望を胸に、検査結果を待つ。すると、掲示板に表示された結果は「×」。

松「何でダメだったの…」
山本博士も信じられないといった表情で、口を真一文字に結んでいる。
5つの実施検査中、2つが不合格になってしまった…。

総合的な検査結果は「不合格」。
後日、不合格だった「直進検査」と「照明灯検査」の2つをやり直すことになった。

「結構行けると思ったんだけどな…」
とガックリと肩を落とす2人だったが、落ち込んでもいられない。
すぐさま工場へ戻り、不合格だった箇所の修正に取りかかる。

果して、次回の検査で見事車検合格となるのか?
そして、自分たちの手で作った車で公道を走ることはできるのか?

達也と松岡が走行テストを行った駐車場ですが、実はあの場所は日韓共催W杯の決勝戦が行われる横浜国際競技場の駐車場だったのです。

しかも、2回目の走行テストを行った日が、フーリガン対策の訓練を行う日と重なったのです。
重装備に身を包んだ警官隊が大規模な訓練を行っているそぐ側で、屋根にソーラーパネルを乗せた白い車が「おー!速い!速い!」と騒ぎながら通過していく・・・。

その奇妙な風景に、訓練中の警官たちもしばし手を止めて呆然としたそうです。