その問題へのJAXA研究チームの山下さんの提案が、
山下さん「湯気でかなり高い温度で処理する」
その方法とは、高温好気堆肥菌処理といわれるもの。
約80℃〜100℃で有機物の体積をバクテリアにより、約1/100に分解し、多量の生ゴミをコンパクトに減量させることができる。
この生ゴミ処理目的で確立されてる方法を大規模に行う事で、汚染物の置き場不足問題に役立てようという提案。
しかし、放射性物質を含んだ植物を、高温で、更に大量に処理することで、高線量になるなどの思わぬ危険が無いか、念入りな実験が必要となる。

その準備が出来たのは、2011年12月。
回収してからおよそ一ヶ月半経ったヒマワリは、腐食で黒ずんでいた。
長谷川さん「セシウムは溶けたり分離するものではないので、このヒマワリの中に入ってる放射性物質の量が変わる事はありえない」
理論上、堆肥菌で体積を小さくしても、放射線量は変わらないはず。
高温大量処理を行うことで、危険な放射線量とならないかを実験しなくては。

そして、その実験には、安全を最優先された設備で行うことに。
その設備とは、以前JAXA相模原キャンパスで見せてもらった硫酸バリウムパネルで組み立てられた小屋。
硫酸バリウムパネルとは、近年、医療や研究の現場に使用され始めたばかりの特殊建材。放射線遮蔽率は約50%。
ミニチュアサイズの硫酸バリウム小屋で実験し、その効果を確かめた。
効果が実証されたところで、小屋を設置。
小屋の用途は分解処理後などに出る汚染物の一時的集積場。
小屋の中の放射線の数値は、毎時約5.6マイクロシーベルトと、外の空間での毎時約14マイクロシーベルトよりもかなり低い。
達也「この小屋の中で作業していれば、周りで作業している人が被爆する事が防げるわけですね」
今回は安全性を考慮して、実験自体もこの中で行うことに。