2014年4月20日 放送内容出張DASH村 ~北海道 雪下にんじん~

今回、城島と長瀬が訪れた出張先は、
4月下旬でもまだ雪が残る北海道。
札幌から車でおよそ2時間、虻田(あぶた)・真狩(まっかり)村。
ここは“特別豪雪地帯"に指定される全国でも有数の「雪の町」。
年間に降る雪の量は10m以上!
そんな雪深い町だからこそ、美味しくなる野菜があるという。
今回お世話になるのは、
長瀬と同じ今年36歳の年男、大広好美さん。
1月にお父さんから畑を引き継いだばかりの5代目。
大広さんの先祖は、およそ120年前に、
香川からここ真狩村に移住してきた。
しかし、当時の人々を苦しめたのは、大量の雪。
4月の終わりまで残る深い雪と闘いながら、
馬の力を借りて畑を開拓してきた。
そんな真狩村にとって、雪はまさに厄介者だったが、
城島「雪で美味しくなる野菜はどこにあるんですか?」
と言っている城島の足下、雪の下一面が実は畑。
しかも、今まさに収穫時だという。
そこで、スコップで雪を掘っていくことに。
2人がかりで掘ること10分、1mほど掘り進んだが、
まだ、畑の土すら見えてこない。
城島「こんなとこに野菜なんてあるかいな!枯れてまうわ!」
と、掘り始めてから15分、深さ1.3mに達したところで、
長瀬「あ、あれ土じゃないの?葉っぱもいっぱいある!」
深い雪の下からのぞいたのは、土から葉を出したニンジン。
名前は、雪の下に生えているから、そのまま『雪下にんじん』。
掘り出してみると、真っ直ぐで、鮮やかなオレンジ色。
泥を洗い落とし、採れたてを生のままでかじってみると、
長瀬「甘い!本当に甘い!」
雪下にんじんは甘さが普通のニンジンの2倍!
大広さん「(雪の下で)“熟成"してるんです」
そもそも、北海道のニンジンは、秋9月から10月に収穫期を迎える。
しかし『雪下にんじん』は、それを収穫せず土の中に残しておく。
やがて冬になると、あっという間に積雪は平均で2mに。
ちなみに、この雪の量が1m以下だと、
土もニンジンも凍って食べられなくなってしまうが、
厚い雪の下では、温度が0℃~マイナス1℃程に保たれる。
これは『氷温』といって、食べ物が氷り始める直前の温度のこと。
この『氷温』状態にあるニンジンは、鮮度が保たれる上、
凍らないように身を守るため、
旨味の元であるアミノ酸や、糖質を作り出す。
深い雪の下で4か月間熟成させることで、最強のニンジンになる!
先祖を苦しめた雪が100年以上の時を経て、
ニンジンを美味しくしてくれた。しかも、
大広さん「“羊蹄山(ようていざん)"の湧き水や火山灰で土地が恵まれてる」
羊蹄山は、その形から『蝦夷(えぞ)富士』とも呼ばれる活火山。
標高は富士山の半分ほどで、真狩村はこの羊蹄山の麓。
羊蹄山の雪融け水は、『名水100選』にも選ばれる美味しい水。
年間を通して豊富に湧いていて、地元の人が汲みに訪れる。
ちなみに、何リットル汲んでも無料だが、
羊蹄山に降った雪や雨が地面に染み込み、
土の中を通って湧き出るまでには、
なんと100年もの時間がかかるといわれる。
そして、収穫の際、この大量の雪を取り除くのは重機のショベル。
運転はこの道44年、大広さんのお父さん。
除雪専用のショベル部分で、
ニンジンを傷付けないように、葉っぱの見えるギリギリを掘る。
その地面スレスレにショベルを動かすお父さんのテクニックに、
ユンボ歴18年の城島の血が騒いだ。
お父さんに代わって、城島がユンボでの雪かきに挑戦。
城島「(ニンジン)傷付けるの怖いな」
と言いながら、一回でかなり深く掘った城島。
レバーの微妙な操作で掘る深さが変わる。
と、二回目のシャベルを入れたとき、
長瀬「あー!やっちゃった!何やってんの」
思いのほか深く掘り過ぎ、土ごとニンジンが真っ二つに…
城島「すいません、働いて返します!」
さらに、雪下にんじんは掘り出す前にもうひと手間。
粉状の炭を雪の上に撒き、
黒い色が太陽の熱を最も吸収しやすいことを利用して、
雪を早く融かす、雪国ならではの知恵。
それでも3cmの雪が融けるのに、3日程かかるという。
こうして、ようやく収穫を迎える雪下にんじん。
ここからは手作業で、鍬を使って掘り出す。
畝の長さは300m、1日に1万本以上収穫するという。
そして、1時間で80kgを収穫。
雪が作ってくれたニンジン、さらに保管方法にも驚きの工夫が!
お邪魔したのは、大広さんの幼なじみ・三野さんの倉庫。
その中には、大きなコンテナに山盛りの雪と、
真ん中にはまだ土の付いた雪下にんじん。
実はここ、雪だけで温度を調整している「雪室(ゆきむろ)倉庫」。
壁に沿って雪が入ったコンテナを並べてあるが、
三野さん「普通の冷蔵と違うのは、湿度が90何%と高い」
おかげで、野菜自体が乾燥せず、丁度良い具合で保てる。
長瀬「ここでも雪がミソなんですね」
そして、出荷を助けてくれるのは、豊富な湧き水。
羊蹄山の湧き水で、ニンジンの土を洗い落とす。
大広さん「皮が半分残る状態まで(洗えば終わり)」
乾いたニンジンをよく見てみると、表面に薄っすら白い皮が。
ちなみに、スーパーで売っているニンジンは、
皮がほとんど取れた状態。
大広さん「皮のところに一番栄養がある」
では、地元ならではの食べ方で調理。
教えてくださるのは、三野さんの奥さん。
まずは、雪下にんじんを薄く切ってパスタのように見立てた、
クリームパスタ風の料理。
雪下にんじんをピーラーでスライスし、5本分の麺ができたら、
北海道産の厚切りベーコンと、ニンニクのみじん切りを
オリーブオイルで炒め、そこに雪下にんじん麺を加え、更に炒める。
そして、ソース用に3本の雪下にんじんを擦り下ろしたら、
フライパンで熱しながら、牛乳と生クリームを加える。
仕上げに、粉チーズ、コンソメ、塩こしょうで味付け。
さらに、もう一品は、雪下にんじんの唐揚げ。
まずは、蒸しニンジンに小麦粉と片栗粉をまんべんなくまぶす。
衣はニンニクとお醤油とお砂糖、水を加えて、
先ほどのニンジンに絡め、180℃の油へ。
ニンジンに含まれる「カロテン」は、
油で調理すると体に吸収されやすくなるといわれる。
そして、平らな本物のパスタをお皿に薄く敷いたら、
メインのニンジン麺をたっぷりと乗せ、
最後にニンジンのソースをかける。
長瀬「飾り付けにニンジンの葉っぱ」
まずは「雪下にんじん麺のパスタ」から頂く。
ソースと麺で1人前1.5本分のニンジン入りで
カロテンもたっぷり!
城島「これは丸の内のOLさんに大人気やで」
続いて、三野家特製「雪下ニンジンだらけの肉じゃが」。
城島「甘っ!めちゃくちゃ美味しい」
そして「雪下にんじんの丸ごと唐揚げ」、
しょう油味の衣とニンジンの相性は?
長瀬「香ばしさと、柔らかくて甘いニンジンが絶妙なハーモニー」
雪と共に生きる人々の知恵から生まれた雪下にんじんは、
どんな料理にも合う、優しい甘さだった。
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