2015年1月11日 放送内容DASH海岸

6度目の冬を迎えた、横浜DASH海岸。
様々な生き物たちの住みかとなる潮だまりを作ったのは、昨年秋のこと。
東京湾に浮かぶ無人島・第二海堡で見た、くぼみや潮溜まりを参考に、
海岸の岩を集めて重ね、コンクリート製のがれきを設置した。
その1か月後、網でさらってみると…
城島「クルマエビ…ではない!ブラックタイガー!?」
海老フライでおなじみのブラックタイガーは、主に東南アジアが原産。
本来、日本にいるはずのない品種で、11年前に発見された時は、
大ニュースになった。
それ以来、目撃情報はほとんど無かったが、
実はDASH海岸には3年連続で来ている。
2年前、初めて発見した時も、昨年の時も、海老フライサイズだったが、
達也「前見たのとは全然違う。ちびっ子ですね」
今回見つかったのは、赤ちゃんサイズとかなり小さい。
海の専門家の木村さんが思い当たること、それは、
木村さん「もしかしたら繁殖しているのかも」
日本で確認されている繁殖地は、九州や四国だけ。
つまり、横浜DASH海岸で繁殖しているとなれば、スゴイ発見となる!
繁殖しているとなれば、沢山のブラックタイガーの赤ちゃんがいるはず!
城島「調べてみよう!」
海岸に流れ着いたペットボトルと枝で作ったのは、
ブラックタイガーの赤ちゃんを、捕まえるための特製の仕掛けで、
セルビン漁法とも呼ばれるもの。
ペットボトルの中に枝を入れ、さらにペットボトルの口を逆さに入れ、
タコ糸で固定したもので、セルビン漁法とも呼ばれる。
障害物に沿って泳ぐ習性がある生き物は、一度入ったら外に出られない。
ペットボトルを仕掛け、1週間後、引き上げてみると…
赤ちゃんブラックタイガーが、小枝に紛れて、なんと10匹も!
木村さん「絶対繁殖してる」
つまり、ここが、日本最北の繁殖地ということか?
DASH海岸の砂地が気に入ってくれたのか?
とはいえ、ブラックタイガーは南国育ち。喜んでいいものかどうか…。
一方で、こんな期待も…。
城島「ブラックタイガーを食べる生き物もいるんですよね」
ブラックタイガーがこれだけいれば、肉食魚のスズキ、そしてタコなど
肉食の生き物がすみつくはず!
その中には、長年待ち続けたウナギもいるはず!
昨年6月に絶滅危惧種に指定される程、数が激減しているウナギ。
かつて東京湾では、干潟や岩場が広がっていたため、年間300トンもの
ウナギがとれ、江戸前の代名詞とも言われた。そもそもウナギは、
身を隠す穴や岩場がなければ、生きていけない。
戦後の埋め立てや開発により、ウナギのエサ場や住みかが減り、
天然ものは、ほとんど出回らないようになった。
そんなウナギをDASH海岸に呼ぶため、取りかかったのは4年前。
積み上げた石が、やがて住みかになることを願って、
ウナギのエサとなる小さな生き物の隠れ家ヨシを植えた。
さらに、淡水と海水が混ざり合う汽水域を作り、ウナギが好む水質に変えた。
その効果が表れたのは、翌年のこと。
体長5cmウナギの赤ちゃんが、その姿を現した。
しかし、その後、その姿を消してしまった。
ウナギの赤ちゃんは、外敵から身を守る為、砂の中で生活する。
そこで、また出会える事を願い、海岸に砂を入れ、ウナギのエサ場を
作った。
その結果、テッポウエビやボラの稚魚などが集まりだし、
ウナギの赤ちゃんはもちろん、成長したウナギも住みつく条件が整ってきた。
城島「これだけ生き物がいたら、誘われてやってきたらいいのに」
さらに、昨年7月には、穴を好むウナギのために、海底に石を積んだ、
「ちょっと根」を作り、ウナギが住みつくのを待った。
その1か月後には、「ちょっと根」に、待ち望んだウナギの姿が!
城島「ウナギがついに来た!」
木村さん「育ったんですよ」
2年前に見たあの赤ちゃんが、DASH海岸のどこかに居付き、
エサを食べ大きくなったという可能性が!
城島「やってて良かった!増えてくれたらいいですね!」
ウナギが増えてくれるためには、まず、実際に見て調べることが大切!
この事を教えてくれたのは、多摩川のアユ復活に人生を捧げている方々。
かつて激減してしまったアユを増やすために、調査をし、見守り続け、
生態を調査。こうする事で、何がアユに必要な事なのかを明確にし、
アユが育つためにすべき事を把握していた。
それに習い、DASH海岸にウナギが増えるには何をしたら良いか?
ウナギの大きさや、穴の中の環境を調べれば、きっと何かが見えてくるはず。
そこで、ウナギの調査開始!
早速、見つかったのは、ウナギではなく、ツバクロエイ。
達也「初めて見た!」
鳥の燕のように泳ぐ事から、その名前が付いたこのエイは、
普段は砂の色に擬態し、動かないため、発見されるのは珍しいという。
身体の裏側になる鼻で、エサの匂いを嗅ぎ分け、
表側にある目で、真上からの外敵を警戒する。
木村さん「エサが多いから食いに来てるんですよ」
つまり、ウナギも好むカニやエビ、漁りが増えた証。
夜行性のウナギは、夜になると警戒心が薄れ、活発に行動するため、
夜になってから、さらにウナギを探す調査を続行。
達也と木村さんは潜水し水の中から、城島は水の上から、それぞれ調べる。
「ちょっと根」には、ウナギの姿は見当らず。
そこで、用意したのは、酒粕と米糠で作ったアミノ酸団子。
ウナギは、人間の一千万倍という魚類トップクラスの嗅覚を持つ。
その嗅覚で、魚のヌメリ成分であるアミノ酸を嗅ぎ取り、エサを探す。
このアミノ酸団子を「ちょっと根」に仕掛け、
一方、城島は水の上からアミノ酸を撒いて、ウナギの姿を待つ。
その10分後、待ち望んだウナギが、その姿を現した!
体長60cm程のビッグサイズ!
達也「でかい!」
現れた場所は、「ちょっと根」の隣にある岩場。
その行動を追い、ウナギを増やすヒントを見つけたいが、
達也「どっか行っちゃう!どこへ行く!?」
ウナギは、岩場を離れ、海藻や岩場の密集したエリアに。
そして、わずかな隙間に入って隠れてしまった。
達也「こういう所に隠れているんだね」
穴の奥は、砂地が続き、ウナギがようやく入れるような狭い隙間が!
つまり、こうした環境をいくつも作れば、沢山のウナギが集まる可能性が!
ウナギの調査をして分かった事は、
城島「あんなにデカくなっているとは」
木村さん「エサがいい。甲殻類が多いし」
木村さんによると、ウナギは頭の細さで栄養状態がわかるという。
頭が細いと栄養状態が良好だという。
つまり、DASH海岸のウナギは良質なエサを食べて育ったという証。
今後も、ウナギが増えてくれる事を願うばかり。
春になり、暖かくなれば、きっとまた出会えるはず。
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