2015年2月1日 放送内容DASH海岸

東京湾工業地帯の一角にある、横浜DASH海岸。
この日、男たちが干潟に仕掛けたのは、
江戸時代から続く、伝統漁法の一つの四手網。今回はその巨大版!
網の四方の角に滑車付きのロープを結び、
網の上を魚が通ったのを見計らって、合図をきっかけに、
網を一気に持ち上げて捕獲する。
網にかかったのは、クロダイ。
半年前の夏に見つけた時は3cmほどだったのが、いまや22cmに!
さらに、網には、20cmの特大マハゼ!それも、次々と!
達也「デカいサイズがこれだけいるからね!」
木村さん「東京湾では最大級。なかなかこのサイズは見ない」
かつて、江戸前の大衆魚として親しまれていたマハゼ。
いくら獲ってもいなくならない事から、東京湾は『ハゼの湧く海』と言われ、
昭和30年代までは、釣って天ぷらにして食べる船遊びの定番だった。
しかし、近年の汚染や開発により、その数は激減。
特に良型の20cmサイズは、今や幻といわれ、
漁師さんは、もしとれても築地などにおろさず、直接料亭へ。
江戸前にこだわる老舗天ぷら屋さんでは、1匹1,200円にもなる!
そんな高級魚のマハゼが、DASH海岸にいっぱい!
城島「例年、この時期はハゼを見ないですよね?」
本来、マハゼは、春桜の花が咲く頃、干潟に4cmほどの姿で現れ、
夏から秋に成長し、約10cmに。
DASH海岸でマハゼを見られたのは、この季節までで、
冬になると水深10m程の深場へ移動し、繁殖行動をする。
20cmを超えるマハゼがこんなにいるという事は…
木村さん「この近くに繁殖地があるとしか思えない」
そこで、ボートに乗り込み、DASH海岸の海底を調査する事に。すると、
達也「穴あった!」
マハゼのサイズのピッタリの穴がたくさん!
城島「ここがマハゼの産婦人科ですよ!」
そこは、砂交じりの柔らかい泥で、マハゼが掘るのに適した環境。
よく観察してみると、穴を掻き出したような跡も。
その穴から出てきたのは、干潟のブルドーザー、テッポウエビ。
その近くには、マハゼの仲間スジハゼ。
実は、このペアは、お互い協力してひとつの穴に棲んでいるパートナー同士。
エビが巣穴づくりを担当し、ハゼが外敵監視を担当している。
注意深く、巣穴の観察を続けていると、
城島「巣穴を出入りしてますね」
マハゼが、穴に潜るのは繁殖を行う時だけ。
この穴の中には、カップルとなったメスが入っており、
春にはこの巣穴で、新しい命が誕生する。
城島「本当に環境が変わりつつあるなあ」
さらに住みついていたのは、ハゼだけではなく、クサフグも。
城島「こんなに大きいヤツ初めて!」
夏には、3cm程の小さいフグだったが、今回出会ったのは15cmと、
クサフグの中でも最大級のサイズ。
木村さん「柔らかい砂に潜って隠れるんですよ」
クサフグは、別名「スナフグ」と言われるほど砂地が大好き。
普段は目だけ出して、エサが通り過ぎるのを待ち伏せている。
しかし、皮や内臓に青酸カリの1000倍の猛毒がある。
一方で、木村さんによると、東京湾には美味しいフグがいるという。
木村さん「ショウサイフグっていうんですけど、鍋の王様っていう人もいる」
昔から、江戸前フグと言えば、ショウサイフグの事。
その身は食べられるが、ヒレや内蔵には強い毒がある。
そのため、江戸時代は食べる事を禁止していたが、江戸っ子たちは、
そのあまりの美味しさに隠れて食べていたという。
現在では、数が減ってしまって、ほとんど市場には出ない。
そんな鍋の王様を求めて向かったのは、DASH海岸と同じ横浜。
今回、お世話になるのが、金沢八景にある「野毛屋釣船店」の黒川さん。
木村さん「東京湾でフグと言ったら、この人」
黒川さんは、38歳にしてフグを獲り続ける事20年のエキスパート。
東京湾では、有名な3代続くフグ獲り名人でもある。
そんな黒川さんの船に乗り込み、向かったのは、対岸の千葉県富津。
そこは、干潟が続き、海底は広大な砂地が広がる、フグが住むのに最適な場所。
黒川さんにフグの獲り方を教えてもらう。今回、挑むのは、
黒川さん「カットウと言います」
カットウの特徴、それは針が上下に2つ付いているという事。
フグはおちょぼ口と鋭い歯を使い、針を飲み込まないよう巧みにエサだけを
ついばむ。そのため、まず上の針に付けたエサに夢中になっている隙に、
下の針にフグを引っ掛ける仕組み。このカットウは、約70年前に初代船長
が東京湾に広めたという。
エサに使うのは、アオヤギ。正式名称はバカガイ。
その名前の由来は『日本各地でバカみたいに獲れたから』という説と、
バカみたいに舌を出しているように見える事からという説もある。
現在では、舌の部分はアオヤギ、貝柱は小柱といわれ、高級食材に。
黒川さん「見た目がオレンジだからアピールできる」
そんな高級食材を、贅沢にも3、4つ針に付ければ、準備万端。
早速、仕掛けを海へ!
城島「“フグ"よ来い!“福"持って来い!」
水深10m付近に沈めると、早くも城島の竿に当たりが!しかし…
城島「来たけど…イイダコ」
砂地に生息し、貝が大好物で、貝殻を棲み家にする小型のタコ。
おでんや煮物などに味が染みやすく、美味しい。
またしても、当たりが来たのは、城島。
城島「ついに来た!これがショウサイフグですか!?」
見た目は、クサフグに似ているが、体の模様の色が濃いのがショウサイフグ。
城島が釣り上げたのは15cm程で、ショウサイフグの中では、まだまだ小型。
黒川さん「このサイズは刺身が一番美味しい」
有名なトラフグは、釣って直ぐではゴムのように固く、味も薄い。
そのため、熟成させることで柔らかくなり旨味も出てくる。
一方、ショウサイフグは釣ったばかりでも刺身向きという。
そこで、フグ包丁師の免許を持つ黒川さんに捌いてもらい、薄造りに。
黒川さんおススメの、海藻からとれた藻塩に付けて頂くと、
城島「味濃いな!旨味すごいな!これがフグ!?」
達也「フグの香りがある!薄くても歯ごたえがある!」
この旨味は、鍋にすると倍増するという。
狙うは、鍋にぶつ切りで入れられる大物!
その後、城島を筆頭に木村さん、黒川さん3人は35cm前後の大物を
続々釣り上げた!しかし、達也は珍しく、1匹も釣れず…。
城島「大きいな!」
達也「豊かですね、東京湾は」
ショウサイフグを持ち帰り、黒川さんのお店の一角をお借りして、調理開始!
作るのは、江戸前ならではの、幻の鍋“サイ鍋"。
特徴は、たっぷりの醤油と砂糖を使ったすき焼き風。
江戸っ子たちは濃くてはっきりした味を粋としたという。
昆布出汁にフグの中骨を加え、その旨味を煮出す。
そこに、割下を合わせ、ぶつ切りにしたフグ、白菜、ネギ、焼き豆腐等
を加えて一煮立ちさせる。
具材に火が通るその間にもう一品。
フグの身に、酒と醤油と生姜を漬け込み、しっかりと身に染み込ませ、
片栗粉にまぶして、油で揚げる!こうして出来上がったのが、
達也「ショウサイフグのから揚げできました!いい感じ!」
そして、鍋の方も、
城島「こちらもいい感じ!」
旨味も十分に行きわたった、ショウサイフグのサイ鍋の完成!
こうして、江戸前のフグ料理2品ができあがったところで、
できたてのアツアツを頂く!
まずは、揚げたてのから揚げにすだちをしぼって。
達也「弾力がフワフワに変わってる!」
続けて、江戸前名物のサイ鍋。
すき焼き風らしく、溶き卵を絡めて頂く。
城島「美味しいですね!上品!」
達也「ほー!旨い!身が柔らかい!」
城島「今まで食べたフグで一番美味しい!」
そんな江戸前名物の楽しみは、まだ終わらない。
たっぷりとフグの旨味がしみ込んだ出汁を使って作るのは、
木村さん「しめはおじやですね」
米と、ほぐしたフグの身を鍋に入れ、溶き卵を加えて余熱で蒸らす。
仕上げに、小口ネギを散らせば、完成!
城島「むちゃくちゃ美味しい!ええ出汁出てる!」
達也「東京湾で獲れて、江戸前の食べ方で食べるって、こんな粋な話はないよね」
そんな江戸前の粋を堪能した1週間後。
DASH海岸では、もうひとつの高級魚マハゼにある変化が…。
スタッフが見つけたのは、お腹が膨れたマハゼ。
お腹に卵を抱えたマハゼは、沖の方へ戻って行った。
寒い冬が終わり、暖かい春はすぐそこ。
新たな命の誕生は、もうすぐ!
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