2015年6月7日 放送内容DASH海岸

東京湾の工業地帯の一角にあるDASH海岸。
桜の季節が終わると、様々な生き物が活発に活動を始める。
潮溜まりを覗いてみると、ボラの赤ちゃんの群れが泳ぎ、砂の上では、
いまや高級魚の江戸前マハゼの赤ちゃんがたくさん。
城島「生き物にとっても最高だね、ここ」
潮溜まりは、巨大な肉食の生き物に襲われる心配がないため、
木村さん「小さな生き物のオアシスですね」
すると、達也が見つけたのは、
木村さん「面白いものを見つけましたね。ヨツハモガニです」
このカニは、ファッションリーダーと呼ばれる。そのわけは、
木村さん「海藻を千切って、甲羅に付けるんです」
甲羅にフック状になったトゲがあり、そこに海藻を引っ掛ける。
試しにアオサを与えてみると、器用にハサミを使って、
アオサを甲羅に引っ掛けて見せた。
一方、城島が見つけたのは、
城島「アカエイ!」
それも、集団で発見。やって来た理由は、
木村さん「恋の季節で、浅い所にやって来る」
アカエイは集団で浅い所を目指し、恋人を探す。
カップルになれば、オスはメスの下に回り込み、噛みついて離れない。
他のオスにとられないように、がっちりガードして子孫を残す。
しかし、実は危険な武器を持っている。
それが、尻尾にある毒針。
近年、人が踏んづけてしまい、驚いたアカエイに刺される事故が多発。
血圧低下や呼吸障害などを引き起こし、最悪の場合、死に至る事も。
そんなアカエイの尻尾は、かつては漁具としても使われ、
竹に差すだけで活用でき、一度刺さると抜けない構造のため、
大型の魚を捕らえるのに、有効だったという。
このように大昔から日本人は、
海の生き物を様々な道具として利用してきた。
巻貝の仲間のアカニシは、タコを捕まえるためのタコ壺として、
猛毒のアカクラゲは、戦国時代には、乾燥させて粉にすることで
目つぶしとして利用されていた。
そんな海の生き物で日本人にとって最も利用価値の高かったのが、
木村さん「この間の深海調査でかかったクジラの骨」
それは、春先、東京湾の深海、東京海底谷から引き上げた、
推定7mのミンククジラの肋骨。
クジラは捨てるところが無く、日本人の生活を支える大事な存在だった。
もちろん骨も、その耐久性と加工のしやすさから、
漁具として、弥生時代から利用されてきた。
そこで、このクジラの骨から漁具を作るために呼んでいたのが、
魚を騙す・疑似餌作りのプロ、鹿野さん。
これまで、ボールペンや流木など、DASH海岸の漂着物も
見事に変身させてきた。しかし…
鹿野さん「これは厳しいですね…」
今回のクジラの骨は、微生物の分解により、細かい穴がいくつも。
電動糸ノコで切断してみると、中もスカスカな部分があったが
使えそうな部分もまだ残っていた。
今回作る疑似餌は、日本生まれの伝統漁具の弓角。
動物の骨や角から削り出され、800年前の漁師もクジラから加工して
使用していた。
その形は、イワシなど小魚を模して、それを食べるカツオなど、
大型の肉食魚がターゲット。
まず、強度の強い部分を残し、それをヤスリで削り、魚の形に。
削る上での最重要ポイントは、カーブ。
カーブ部分が水流を受けて、ユラユラ水中で動く事で、ターゲットに
よりアピールできる。
カーブ部分ができたら、次は削り出し、形を整える。
達也は、手慣れた手つきで小魚の形に削り出したが、
独特なセンスで削っていく城島の仕上がりは、
城島「シーサンショウウオ型」
骨を削ったら、残りは仕上げ。
鹿野さん「キラキラした方がアピールが強い」
ウロコや尾ビレをつけることで、目立ちやすくなる。
アカエイの皮を細く切って、針隠しの尾びれにする。
さらに、水中で滑らかな動きをするウサギの毛をつける。
胴体に、マニキュアを塗り、手芸用のラメパウダーをつける。
ヌイグルミ用の目玉を取り付けて、達也の弓角の完成!
一方、城島は、ウロコの代わりに、携帯電話デコレーション用の
スパンコールをあしらい、斬新な弓角の完成!
そんな弓角を使って大物を獲るために向かったのは、神奈川県横須賀市。
お世話になるのは、弓角漁の名手、譲原さん。
港から出ると、すぐ目の前に見えてきたのが、無人島の猿島。
かつては島全体が、外国の戦艦を迎え撃つ砲台の立ち並ぶ軍事基地
だったが、現在は、都会からすぐの無人島として、人気のスポットに。
島の周りの海底は起伏に富み、大きな魚も集まりやすい。
ポイントに到着し、早速、大物を狙う。
今回、行うのは、引き縄漁。
使う竿は、カツオの一本釣りに使う竿とウインドサーフィンの帆を繋いだもの。
これに弓角をつけて、海へ投げ入れ、時速4キロの速さで
引っ張り、大物の魚を誘う。
城島「大物釣るぞ!マグロやな!世界を釣るぞ!」
猿島まわりをゆっくりと回っていると、早くも達也の弓角に当たりが!
上げてみると、かかっていたのは、20cm程のスズキ。
達也「リリースサイズだね」
スズキは、江戸時代から、白身魚の代表格とされ、
大きさにより、セイゴ、フッコ、スズキと名前の変わる出世魚。
中でも東京湾産は脂がのり、最もウマいとされる。
続けて、達也の弓角にかかったのは、70cmのスズキ!
一方、城島の弓角にも当たりが!
城島「結構大物ですよ!」
それは、達也の70cmを上回る、75cm!
この捕まえた江戸前最高級のスズキを、漁師ならではの食べ方で!
譲原さん「表面を炙って、お刺身にして、どんぶりにする」
スズキを捌いてみると、白くキレイな身が。
達也「身がキレイ!」
この身が「すすい」だように見えることが、スズキの名前の由来とも
いわれる。
そして、皮の部分は、火で炙る。
こうすることで、皮と身の間の脂だけを溶かして、旨味を引き出し、
氷水に浸す。これが「洗い」。と呼ばれるもので、
スズキと言えばこの洗いが絶品だという。
余分な脂を取り、食感を良くする。
その間に、先ほどの引き縄漁で獲れていたアカモクを茹でる。
アカモクは、7mにもなる大型海藻で、船のモーターに絡まり、
漁師から邪魔者扱いされていたが、その味と栄養価から、
近年、女性を中心に注目を集めている。
茹でたら、包丁で叩き、醤油を加えて、タレにする。
氷水で締まったスズキの身の水気をとり、
ご飯の上に、大葉と共に盛り付け、先ほどのアカモク醤油をかけ、
スズキの洗い丼の完成!
達也「うま!身がしっかりしてる!」
城島「歯ごたえがすごい!プリプリ!」
さらにもう一品は、胡椒をかけて、炭火焼きに。
譲原さん「これこそ漁師メシだよね」
熱々を皮ごと頂く。
城島「皮も弾力性があって、パリッとしてて」
達也「フワフワ白身!やわらかい!」
東京湾には、まだまだ美味しい大物がたくさんいるはず!
城島「マグロは、また次の機会ですね」
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