2015年9月13日 放送内容DASH島 無人島を開拓できるか!?

叩き付けるような雨の中、石橋完成へ向け、準備は進んでいた。
城島「(石を)イカダに載せて海で運んだ方が効率いい」
石橋の壁石に適した、角張った大きめの石を、
北側の浜で集めていたが、必要な数およそ400個。
300m先の石橋予定地まで、手で運ぶのに限界を感じていた。
そこで、思い付いたのがイカダでの運搬。
古くから、木材はイカダ組みして川や海で保管する。
腐らないだけでなく、浮いて運搬もしやすい。
愛知県で水路の材料となった栂(つが)の木を頂いたときも、
およそ10tの木材を小型船で牽引した。
DASH島で使うのは、漂着物で作った即席イカダ。
これに石を載せ、足場丸太の上を滑らせて海へと押し出す。
城島「浮いた、浮いた!ひとまず10個」
だが、このままでは、イカダは徐々に岸へ引き寄せられてしまう。
そこで、
城島「竹の棒使おう」
同じ要領で、海底を竹の棒で突いて進む。
これで、岸へと寄ることなく、石橋に辿り着くはず。
が、90kgの石を積んだイカダは、
城島がまたがった途端、わずかな傾きで横転!
せっかく積んだ石はすべて海の底へ…。
城島「バランス難しいなあ」
気を取り直し、石を拾って、もう一度、リベンジ。
達也がロープを引き、城島は棒でバランスをとる。
城島「これいい、はかどるわ」
今度は、幾ばくか進んだが、
連日の石運びで、城島の腰には疲労が蓄積していた。
バランスの調整にもキレはなく、老体の体力は限界に。
2度目の横転で、またもやり直し。
と、ここで達也が気づいた。
達也「(イカダに)乗る必要ないんじゃない?」
そう、ここは浅瀬、イカダを押していけば、岸に近寄らずに進める。
達也「これ早いじゃん」
歩きのペースで、壁石を一気に10個。
だが、残りは約280個、あと30往復はしなければ。
後日、壁石運搬のペースを上げるため、
城島の代わりにスタッフがイカダに乗る。
が、その体に容赦なく這ってくる虫が…!
気をとられ、スタッフもあえなく横転。
虫の正体は、地域により絶滅危惧種に指定される
“ヒトハリザトウムシ"。なので、むやみに払い落とす訳にもいかず、
地道にムシと石を運ぶこと数日。
そして、運び込んだ石は、およそ420個。
十分な数の壁石を運ぶのに、10日を要した。これを
城島「石垣みたいに輪石の周りに置いていく」
つまり、輪石の周りに、まさに壁のように積んでいく。
その間に栗石(間に詰める細かい石)を敷き詰めれば、
歩けるようになるだけでなく、線路を敷く地面ともなる。
まずは、その目安となる、
石工・藤本さん「“丁張り板"っていうのを立てる」
それは、建物の位置の立体的な目印。
その出来は、建物の仕上がりに直結する。
鎌倉時代には行われ、区画整備の方法が語源とされる。
それは14年前、DASH村に母屋を建てた時に経験済み。
作業は体が覚えていた。
まずは、橋の上、線路の途切れた部分に板を打ち、
その間に荒縄を張って、壁石を積む高さと幅の目印に。
幅2m、長さ10m、高さは一番高いところで2.5m。
城島「この縄の高さまで(壁石を)積むってことですね」
さらに、プロの知恵が。
藤本さん「波が抜けるように橋の両側にボリュームを持たせる」
イメージは、石橋の急流対策、水切り。
波に対して、垂直に壁石を積んだ場合、
もろに打ちつけ、被害の出る恐れが。
しかし、橋の袂(たもと)を張り出すように積むことで、
水は壁石に沿って流れ、アーチの下を抜けていく。
張り出すのは、30cmほどで充分、水は流れる。
これで、橋の幅もわずかに広がることに。
その目安となる縄も張り、改めて思う。
城島「思ってたよりも(石橋の)規模大きいな」
そして、始まる400個の壁石積み。
藤本さん「輪石の袂(たもと)に大きい壁石を置いて支える」
これも、職人の知恵。
つまり、このまま壁石を積んでいき、
土台の支保工を抜くと、重さに耐え切れず、
輪石のアーチは横に開き、崩れ落ちる可能性も。
そこで、根元の壁石には大きなものを据え、崩落を未然に防ぐ。
と、適当な石を探していると、そこに気になる漂着物が。
それは、保温が可能な弁当箱。
何層かに分かれ、おかずから汁物まで、ホカホカのまま持ち歩ける。
そんな最新式の優れモノが無人島に。
となれば、これまで様々な漂着物を拾得してきたプロ・達也が、
中の小分けの箱を一つずつ取り出してみる。
すると、それは全部で3段。
初体験の太一を含め、達也、城島で中身確認。
一番大きい箱を太一、中くらいを城島、一番小さいのを達也が。
まずは、達也プロがオープン…が、何も入っていない。
続いて、城島の箱は?
城島「ソーセージと卵焼き!」
ちなみに、食べられるのかどうか達也プロが匂ってみると、
達也「イケる!食材の匂いがちゃんとする」
城島「最悪“これしかない"ってなったらいける」
そして、太一の一番大きい箱には…激臭を放つ何かが!
それは、絶対的嗅覚を持つAD足立にも耐え難い匂いだった。
では、作業に戻って1つ目の壁石を。
およそ70kgの石を、アーチの根元まで15m運ぶ。
足元のおぼつかない砂利を、転がしながら少しずつ移動。
そして、その石をアーチに掛かるように据える。
そこから、北の浜から調達した手頃な大きさの石を並べていくが、
達也「雨だから危ないですね。石も滑るし」
この日は雨が降り止まず1段目のみ、天気の回復を待っての作業となった。
そして、雨のあがった数日後、すぐに作業に取り掛かった。
まずは、壁石を裏から固定する栗石を敷き詰め、
これで、壁石2段目も積めるようになったのだが、
藤本さん「アミダくじのように壁石を積んでいく」
つまり、壁石は縦一直線に並べず、
継ぎ目を複雑に積むことで、噛み合う。
さらに、石積みの基本、
藤本さん「壁石を内側に倒しながら斜めに積んでいく。」
壁石を水平にし、真上に積むと、上からの力に弱い。
これでは、栗石が押し出され、外側に崩れかねない。
しかし、壁石を傾け、勾配をつければ、内側へと力が掛かる。
栗石が押し出され、崩れることもない。
そして、石は動かないよう、安定する向きに置く。
しかし、相手は自然石、そう上手くは噛まない。そこで、
藤本さん「“玄能(げんのう)"っていう道具で石を削る」
それは、玄翁(げんのう)和尚が考案した、両方の面で打てる金槌のこと。
大工用の玄能は、平らな面で釘を打ち込み、丸い面は仕上げ用。
一方、石工用の玄能は、面の角で石の出っ張りを削る。
ちなみに、河本棟梁が愛用する玄能は10万円。
それもそのはず、金槌の先にはダイヤモンドチップが。
一方、藤本棟梁が使うのは5000円の玄能。
これは、鍛冶で手入れができるというメリットが。
玄能は、角を使うため欠けてしまうことがある。
そんな時、自ら鉄を叩いて鋭く。
魂込もった職人の手に馴染む道具となる。
では、まず職人が5000円の玄能で石を削る手本を。
削りたい面を玄能の角で軽く叩くと、スパッときれいに割れた。
その面を噛み合いが甘かった石に接地させると、
松岡「ハマりが良くなった!」
確かに、角に載っていただけの石が、
面と面で接するようになり、抜群の安定感に。
要領は分かった、これでどんな場所にも石を置ける。
さらに、壁石2段目、積んだのは計26個。
その内側にも、栗石を入れていく。
小石を入れた10kgのバケツを、撒いては入れてを繰り返し、
城島「だいぶ(栗石)埋まってきたね」
そして、数日かけ5段目、およそ半分というところまで来た。
これまで積んだ壁石は200を越える。
もう、石を持てば、置く位置と角度が感覚で分かる。
しかし、壁石は縄の高さまで積むのだが、
藤本さん「最後の段は1つの石で置いていった方がいい」
つまり、これまでのように似た大きさの石を積んでいくと、
最後の段は、小さな石になり、強度に不安が。
そこで、大きさも形も異なる石を隙間に合わせて選んでいく。
大きな石一つで上手く安定する所もあれば、次の所は細長い石。
安定しないときは、隙間に小さな石を噛ます。
そして、輪石のアーチの頂点付近は、壁石1段だけ。
動きにくい大きな石で、落ちぬよう。
そこに、栗石を壁石の内側に入れ、輪石を被い尽くす。
ここが橋の上、線路も通る道となる。
アーチの頂点まで埋め尽くしたのは、夕方のことだった。
そして、大仕事の前の舟屋では、食料調達の準備が進められていた。
3年前、島の北側の浅い岩場で、達也が見つけ、
海藻生い茂る岩の間から引っ張り出した“ショウジンガニ"。
市場に出回ることは少ない、夏が旬の貴重なカニ。
身は少ないが味噌汁が格別。
岩の影などに潜んでいるため、網などは使えない。
そこで、漂着物の竹と釣り糸で仕掛け作り。
東伊豆ではカニ獲りの定石“ひっこくり"。
「ひっかける」と「くくる」が語源となった通り、
手元のヒモを引っ張れば、竿先の輪が縮む仕組み。
その竿先を岩陰などに入れ、カニを待つ。
エサに誘われ、輪に入ったら、“ひっこくる"だけ。
城島「エサは匂いが強い方がええよな」
ひっこくりのエサは、イワシの頭など、匂いのキツい物を使う。
そういえば、DASH島にも匂いのキツい物が。
城島「島に今まで漂着した食品のストックあるわ」
長瀬「(エサには)生臭いものの方がいいと思う」
確かにザリガニは、内臓などの強い臭いに反応する。
雑食は、ショウジンガニも同じ。ならばと、
チョイスしたのは、昨年11月、線路補修の作業中に見つけた、
ネギの漬物。
激臭を放つこのネギならば、ショウジンガニにも臭いが届くはず。
竿先にネギを結び付け、準備完了。
干潮を待ち、むき出しとなった岩場へ。
城島「潮が引いた岩場の隙間とかに潜んでる」
長瀬が海藻生い茂る岩陰に、竿を入れてみる。
と、間もなく、海藻に紛れて、竿先に抱きつくようにカニの姿。
竿を引き上げてみると、ネギに食いついた跡が。
もう一度竿を入れると、また同じカニが食いついた!
ネギに気を取られているうちに、カニの体に輪を引っ掛け、
一気に釣り上げる…が、輪が緩く、カニを逃がしてしまった。
すると、城島がすかさずフォローに入る!
姿は見失ったが、そう遠くへは逃げていないはず。
竿先を、海藻の中へ…そして、今度は釣り上げた!
そして、続けざまに長瀬も釣果を上げた。
二匹とも20cm越えの大物、新鮮なうちに!
初めてのショウジンガニを、丸ごと茹でる。
茹で上がったら、包丁で硬い甲羅を割って、剥く。
太一「うまい!DASH島で食べたもので、一番美味しい」
そして、カニ味噌も一緒に頂くと、
城島「濃厚!ほのかな苦味が大人の味やね」
栄養価が高く、平均年齢40歳の無人島にはもってこい。
そして、数日後、この日も朝からの作業で、石橋は完成目前。
洲に繋がるわずかな部分を残すのみとなっていた。
2か月続いた石積みも、最後は手際良く進み、
ついに、壁石428個、栗石約12t、すべてを積み終わった。
これで、寸断された線路も復旧でき、開拓のペースも上がる。
しかし、まだ気は抜けない。
松岡「(支保工抜くのが)一番緊張するね」
石橋の下には、完成するまでの仮の土台。
達也が組んだ、支保工の上と下に、
クサビを入れながら、輪石と壁石を積んできた。
今はこのクサビで、石の重さを支えているが、
石が噛み合っていれば、その必要もない。
支保工を抜けば、アーチの下は波の通る道となる。
支保工は上下のクサビで輪石と地面に接している。
クサビを抜けば、そこに空間が。
その分、石橋も締まるが、支保工を抜く余裕は充分にできる。
ただ、心配なのが、
長瀬「(支保工を抜いて)崩れる可能性はあるんですか?」
藤本さん「それは(抜いてみないと)分からない」
しかし、抜かねば石橋完成とはならない。
まず、支保工の下、両面に4つずつあるクサビを抜く。
と、ほんのわずかだが、
達也「今、石シマったよ」
支保工の位置は、2cmほど下がった。
長瀬「支保工と橋の隙間ができたから(上のクサビ)抜ける?」
そこで、上のクサビを取り残しのないように外していく。
達也「クサビが詰まったら支保工が抜けなくなるからね」
すべてのクサビを外したら、
達也「本当にもう石だけで立ってるね」
ならば、抜けるはず。
およそ800kgの雪玉・おゆきを動かしたときのように、
TOKIO5人の脚力で支保工を押し出す。
支保工は、重さだけなら推定300kg。
しかし、抜けない…、人力だけでは限界があった。
そこで、鉄の杭を浜に打ち込み、
そこに滑車を取り付けて、全員で引っ張る作戦。
つまり、押す力に滑車の力を加える。
しかも、組み合わせ滑車は、引く力が1/4で済む。
これが、いま出来うる最善の策。
スタッフも加わり、押し手と引き手が力を一つに!
すると、ゆっくり、徐々に引き出されてくる支保工。
しかし、鉄の杭が力に耐えられず、曲がってしまった。
藤本さん「両サイド(隙間)石が噛んじゃってる」
支保工との間、輪石が欠けたと思われる小石が詰まっていた。
さらに、端に行くほど、隙間も狭くなっている。
残念ながら、支保工は抜けないと判断。
すると、棟梁・達也、最後の手段に。
自ら組んだ支保工を、自らの手で壊して解体。
石の重さを支えた60本の柱を抜き、
天板を外し、支保工を落としていく。そして、
長瀬「支保工が抜けたー!」
石橋、崩れる気配はない。
6か月、石を支え続けた支保工がその役目を終えた。
石を切り出し、石を削り、運んでは積んで…。
台風被害から371日、無人島に石橋が架かった。
台風の時期、これならば、高波が打ちつけようと、
被害を出すことなく、石橋の下を通り抜けていくはず。
寸断された線路、大小2つの島を結ぶ唯一の道が、
これで復旧することができる。
城島「開通式しますか!」
橋や道路の開通を祝って行われる縁起物。まずは、
橋の上に矢を通し、対岸の的を射抜いて邪気を払う「矢渡し」。
子どもの日に作った弓矢で、10m先の鍋蓋の的を狙う。
見事射抜いて、縁起のいい開通式としたいところだが…、
城島が放った矢は、的にかすりもせず失敗。
そこで、完成を祝い、道路や橋を初めて渡る「渡り初め」を。
“親子三代に渡る安全"を願い、夫婦が3代揃う一家や、
地域の最高齢の夫婦を先頭に歩く。
歩くだけなら失敗のしようがない。
とはいっても、男だらけのDASH島、
“最高齢夫婦"は、城島、達也の2人が務めた。
こうして、DASH島に、「船橋」開通。
↑ページTOPへ