2017年3月19日 放送内容グリル厄介 ~鎧をまとった外来魚~

以前、多摩川で本来いるはずのない、中国大陸生まれの”ライギョ”を捕獲。
貴重なアユも食べる厄介なヤツ。
しかし、その厄介なヤツを食ってみたら、
城島「むちゃくちゃ美味しい!」
そこで、全国にいる、日本本来の生き物を脅かす、
2000種以上の外来種など厄介だが罪の無い命を、
人だけが持つ“料理"という力で美味しく頂ければ、
獲る人が増え徐々に数は減っていき、
日本本来の生き物が棲み易い自然が戻ってくるのでは?
新企画「グリル厄介」、始動!
今回、城島と長瀬がやってきたのは、沖縄県。
城島「僕らが外来種の天敵になってあげないと」
アメリカ大陸ではカワウソがブラックバスを、
アライグマもオオカミが天敵となり、増えすぎるのを防いでいる。
しかし、天敵がいない日本では、1度入った外来種の繁殖を抑えることが出来ない。
ならば、TOKIOが天敵に!
そのために、頼もしい助っ人と合流。
加藤さん「沖縄は温かいから外国の生き物も棲みつきやすい」
加藤英明さんは、静岡大学で、日本の古き良き自然を取り戻すため、
外来種を研究する専門家。
加藤さん「実はここ(水路)にも外来種がいます」
そこは、那覇市のど真ん中、道路の脇を流れる水路。
地下で川と繋がっているというが、試しに何度か網ですくってみると、
そこには、
加藤さん「外来種の“グッピー"です」
熱帯魚の定番・グッピーは南米生まれ。
観賞用として輸入されたが、捨てられるなどで50年以上前から日本の川に。
さらに、アフリカ原産のティラピアは、元々は食用として輸入されたが、
日本人の口に合わず捨てられ、繁殖してしまった。
加藤さん「“ソードテール"もいました」
北米原産。
観賞用のほか、沖縄ではボウフラ退治の目的で放流された。
オスの尾びれが剣のように伸びていることからその名が付いた。
加藤さん「これは“コンビクトシクリット"」
中央アメリカ原産。
子育てをすることで知られ繁殖しやすい。
名前の由来はイギリスの囚人服と似ているその模様。
長瀬「やみくもにすくっただけで、こんなに(外来種)獲れちゃう」
こんな狭い水路の中に、出会うはずのない4つの地域の魚がいっぺんに!
現在、沖縄の川は外来種の厄介者だらけ。
元々いたメダカやフナの姿を見ることはほぼ出来ないという。
そして、一番厄介なヤツが、
長瀬「こんな大通り沿いにほんとにいるんですか?」
那覇市と名護市を結ぶ国道329号線。
その通りを少し入った住宅地の側を流れる川。
そこに、優雅に泳ぐ、鯉のような魚がうようよ。
城島「鯉…じゃないな、何?この魚」
加藤さん「これが厄介な外来生物“プレコ"です」
南米原産のマダラロリカリア、通称「プレコ」。
元々は、大きさ5cmほど。
熱帯魚店では、その愛らしい姿だけでなく、壁の苔を食べてくれる
水槽のお掃除屋さんとして大人気。
しかし、数年で50cm以上に成長。その結果、
加藤さん「飼い切れなくなって川に放しちゃう」
城島「沖縄の川でも生きられるんですか?」
加藤さん「(プレコは)水温10℃くらいまでは生存可能」
しかもその数、ざっと見ただけでも100匹以上。
それが餌とする苔を食べきってしまえば、
加藤さん「アユが食べる苔が無くなってしまう」
そうなれば、アユは痩せてしまい卵が産めない。
沖縄では一度、絶滅したリュウキュウアユの稚魚を放流して、
再び繁殖させようとしているが、ヤツがいては復活も望めない。
そして、さらに厄介な問題も。
護岸を支える土に大きな穴が。
プレコは春になると産卵のためにオスが穴を掘る。その穴にメスが卵を産み、それをオスが守る習性を持つ。
その穴が増えすぎると、
加藤さん「地盤沈下を引き起こす可能性がある」
そして、一番厄介な問題が、
加藤さん「(プレコの)天敵がワニくらいしかいない」
ならば、TOKIOがワニになるしかない!
さっそく、プレコの捕獲作戦開始。
川に入って間もなく、プレコの大群を発見。
長瀬「全然逃げないよ、コイツら」
加藤さん「もう敵はいないと思っている」
一旦は、人の気配を感じて姿を隠したが、天敵のワニではないと分かると、
安心したのか逃げるのを止めてしまう。
長瀬「(モリで)捕まえてみてもいい?」
1匹のプレコに狙いを定め、一突き!と、確かに、
頭にモリが当たったはずが、逃げられてしまった。
そこで長瀬、今度は胴体を狙って突いてみるが、
長瀬「硬くてモリが刺さらない!こんなにカチカチなの!?」
プレコの身体は、天敵のワニから身を守るため、
ウロコのカルシウム成分を硬くし、鎧のような状態に進化。
なので仕方なく、モリで押さえ込んだまま、手で捕獲。
この厄介者を美味しく頂ければ、捕まえる方が増え、駆除も進むはず。
まずは、料理する分を捕まえる。
すると、完全にコツを掴んだ長瀬、加藤さんは続けざまに。
しかし、城島は、老眼のせいか、水面下のプレコの距離感を掴めず、苦戦。
結局、隊長・城島は捕獲0。ともあれ、最大は56cm、数匹のプレコを調達。
訪ねた先は、東京港区白金台、
フランス料理店「ジョンティアッシュ」の進藤佳明シェフ。
ジョエルロブションなどの名店で腕を磨き、
2013年ジョンティアッシュ料理長に。
旬にこだわり、食材本来の旨味を引き出した料理は、
4年連続でミシュランガイド東京・一つ星に選ばれた。
そんな進藤シェフもこの厄介者を前に、
進藤シェフ「魚ですよね?」
だが、フランス料理は、鹿をジビエ料理に、カエルをソテーに、
そして、カタツムリさえも見事な料理に発展させてきた。
アマゾン原産、この鎧を纏った厄介者を、
日本が誇るフレンチシェフの力で、美味しい料理に!
硬い鎧に通常の包丁では歯が立たないので、
羊の骨も一発で切るというハサミで捌いていく。
進藤シェフ「身は深海魚のように弾力があってしっかりしてる」
しかし、匂いは少々、泥臭い。
とはいえ、これまで人間は料理の力で泥臭いものを克服してきた。
フランス料理でも、香辛料ジュニパーベリーで血の匂いを打ち消し、
オレンジの酸味でクセのある匂いを中和させ、
美味しく頂ける料理を生み出してきた。
長瀬「シェフの料理次第では、未来でプレコ料理が主流になるかも」
進藤シェフ、初めての食材は、焼く・煮る、蒸すなど
基本の調理法を試し、臭みを消す方法を探る。
そして、試行錯誤の末、出来上がったのが、
進藤シェフ「“プレコのカダイフ巻き 黒トリュフの香りで"」
プレコの身をカダイフという麺状の生地で包んで揚げた一品。
進藤シェフ「黒トリュフは泥臭い食材と相性がいい」
美味しく食べる技術はもう一つ。
小麦とトウモロコシの粉で出来た麺状の生地・カダイフは、
揚げる際に身が縮むのを防ぐ。
さらに、160℃の低温でじっくりと揚げることで、
余分な水分と、そこに含まれる臭みが飛び、香ばしさが付く。
魚介類によく使われる手法。
食べてみると、
長瀬「美味しい。全然臭みない。身も柔らかくなってる」
進藤シェフ「塩とオリーブオイルを振って身を柔らかくする」
さらに、ソースの新タマネギの辛み成分にも臭みを消す効果が。
城島はソースをつけずに。
城島「上品でさわやかな甘み…ほんまに君(プレコ)か?」
続いて、進藤シェフ
「身の弾力を活かして調理してみたいと思います」
出来上がったのは、“プレコのムニエル"。
フランス料理の伝統技法、ムニエルは、
小麦粉を軽くまぶし、さっと炒める料理法。
小麦粉を焦がすと、独特の香ばしさと風味が。
進藤シェフ「生姜とフェンネル、ローズマリー、
シャンパンに漬けこんで臭みを消す」
長瀬「この酸味がいいですね」
進藤シェフ「シャンパンの酸味ですね」
酸味に含まれるクエン酸には殺菌効果と消臭効果。
城島「弾力が魚じゃない。お肉みたいな食感」
長瀬「香草が効いてて、タイとかベトナム料理っぽい感じ」
加藤さん「オオトカゲのテイルの味がする」
今やフレンチの定番となった鹿や鴨、エスカルゴも、最初は臭みとの戦いだった。
そして今日、また一つ、料理の力で臭みを克服し、厄介者を美味しく頂いた。
↑ページTOPへ