船体の船底、両サイドに伸びる「ひれ」の様な部分。
中央に位置する強度を担うためのキールとは役割が異なり、船の横揺れ(ローリング)を防ぎ、バランスを保つためのもの。
この部分が破損されると船の横揺れの激しさが増し、船酔いしやすくなるどころか、横転・転覆の危険性も考えられる。

修理前

完全に折れている

修理中

ビルジキールの大きさは通常数cm〜十数cmの高さで施されるが、
地方によってその大きさは様々。
また取り付ける角度も同様で、地域・海の特色によって変わってくる。
スピード重視の船、横揺れを少なくする目的の船。
用途に応じてビルジキールは形を変える。

遠洋航海をするにも関わらず、ビルジキールを装備できない船もある。
それは砕氷船。
氷で覆われた南極の海を航海するため、下手に突起物を付けると氷の力で折られてしまうことも考えられるからである。
ちなみにビルジとは船底のことで、キールは船底の中央にある縦方向の船体構造材のこと。
日本語では竜骨と呼ばれている。



「ビルジキール」修復作業
 

ビルジキールは部分的に欠けてしまっているため、
全部取り外してから、新たなビルジキールを取り付ける。
船酔いしないためにも、念入りに修理したい。

 

取りはらってみるとわかるが、意外と船の素材には空洞が多い事が分かる。
にもかかわらず昔より強度が増したというのだから、現代の技術は大変進歩していると感じさせられる。
でもこのままでは水が染みてこないか?

 

気になる空洞はその後ちゃんと埋まるように削る。
修理する時に取り付けが荒いと、ビルジキールそのものが
取れてしまう事だって考えられる。
そのためには、取り付ける前のサンディング(やすり)も重要。
サンダーと呼ばれる電動やすりで削るのだが、粉塗れになりながら
丹念にならさなければならない。
その地道な作業があってはじめて丈夫な修理が出来たといえる。