〜 凍みもち 〜

凍みもちとは、もち米とうるち米にゴンボッパという野草を混ぜ込んでつくる、伝統的な保存食。厳しい寒さの中で、寒風にさらして、一度、凍らせてから干すため、その名がある。
昔は、農作業の合間におやつなどとして食べられていたというこの凍みもちは、繊維質が多く、栄養価も高い。
実は凍みもちづくりの名人でもある漬物づくりの師匠、孝子さんに教わりながら、手の込んだ工程を経て、そして、自然の厳しさを恵みに変えてできあがる、凍みもちづくりに挑戦した。


〜 DASH村の凍みもちづくり 〜

◆ゴンボッパ摘み

昨年6月、凍みもちの原料となるゴンボッパを、DASH村の山の中を探し回って、アイガモのいる溜め池の奥の山道で見つけ出し、採取。
真冬に備えて保存するため、よく洗ってから、天日に干して1ヶ月ほど乾燥させた。
なお、ゴンボッパとはキク科の野草で、正式名称をオヤマボクチ。葉が綿のようにふさふさしていることが特徴で、薬草としても知られ、おなかを整える働きがあるという。また、そばのつなぎとして使う地域もある。

◆凍みもちづくり

1.ゴンボッパの葉を細かくする
乾燥させて保存しておいたゴンボッパの葉を臼に入れて杵でつき、細かくする。そばのつなぎとしても使われるというゴンボッパは、葉の裏に産毛のようなものがあってふさふさしている。

2.細かくしたゴンボッパをゆでる
細かくしたゴンボッパを鍋に入れ、水を足しながら、30分くらいゆでる。ゆでるにつれ、濃い茶色の煮汁が出てくる。
ゆで終わったら水にさらしてあくを抜き、よく絞って葉の中の繊維分のみを取り出す。

3.うるち米を粉にする
凍みもちの特徴は、もち米だけでなく、粉状にしたうるち米も混ぜてつくること。うるち米を入れることにより、ねばねばし過ぎず、より保存性に優れるようになるという。
約2キログラムのうるち米を臼に入れ、杵でよくついて粉にする。このうるち米は、もちろん秋に収穫したDASH米の「ひとめぼれ」。
なお、あとで使うこちらもDASH村産のもち米、「ヒメノモチ」も、水に浸して準備しておく。もち米の量は、約1.5キログラム。

4.粉にしたうるち米とゴンボッパをよく混ぜる
うるち米の粉と水にさらしてよく絞ったゴンボッパを、よく混ぜ合わせる。ゴンボッパの量は、このとき、約0.8キログラム。

5.うるち米とゴンボッパ、もち米を蒸す
三種類の凍みもちの材料を、二段に分けてせいろに入れてかまどで蒸す。
まず、下の段にはもち米。水に浸しておいた約1.5キログラムのもち米を、せいろに敷き詰めるように入れる。そして、上の段には、ゴンボッパとうるち米の粉を混ぜたものを。
いずれも布でくるみ、かまどで約30分、蒸す。
蒸すと、いずれも味見できるほどにやわらかくなる。もち米はつやが、うるち米とゴンボッパを混ぜたものは、葉の繊維がうるち米の粉とともにふくらみ、草のいい香りがしてくる。


6.もちつき
いよいよもちつき。蒸したもち米と、ゴンボッパとうるち米を、よく混ぜながら臼に入れ、杵でつく。つく時間は、もち米だけのもちより長め。20分くらいつくと、全体がしっかり混ざり、粘りが出てくる。

7.ついたもちをかまぼこ状にする
ついたもちは、冷めないうちに、うるち米の粉をひいた板の上に乗せ、幅10センチ、長さ70センチくらいのかまぼこのような形にする。そして、台の上に乗せてそのまま家の中で2、3日、乾燥させる。

8.1センチ幅に切る
2、3日乾燥させて硬くなったら、1センチくらいの幅に包丁で切る。ここで、半月形になる。

9.わらでしばって吊るす
半月型に切ったもちを、5つずつ連なるように、わらでしばる。
そして、翌朝冷え込みそうな日の夕方に、もちを水でぬらしてから軒先に吊るして干す。マイナス3度以下でないとしっかり凍らないため、天気予報を見て干した。

10.寒風にさらして凍らせる
凍ったもちは、カチンカチンの状態。これを日が高くならないうちに家の中に取り込み、一度凍らせたら、あとは、陰干し。
1ヶ月ほど家の中で陰干しして完全に乾燥したころが食べごろ。

3月中旬、すべてDASH村で取れた材料でつくった凍みもちは、しっかり乾き、食べごろを迎えた。
味わい方は焼いて砂糖醤油と、蒸して黄な粉の2つ。
食べてみると、歯ごたえは抜群で、草の香りが口の中に広がり、素朴ながらもとてもおいしい山の味だった。
なお、このときの黄な粉も、もちろんDASH村産。大豆を石臼で挽いて、つくった。

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