●3月 土づくり
畑で作物を作り始めて早10年、村の歴史と共に作り上げてきた畑の土に問題が起きていた。
それは、長い年月をかけて開墾してきた土地も元々粘土質な上に、雨や雪によって地盤がしまり、作物の生長に必要な栄養分と酸素を蓄えにくい土壌に変ってしまったということ。実際に畑の土を触ってみても、表面はフカフカしているが、掘ると硬い状態。
さっそく土壌改良にとりかかる。
まずは、明雄さんが「サブソイラ」という機械で畑全体を耕してくれた。この機械は地中に振動を加えながら、地下50cmまで掘り起こすと同時に酸素と水分を循環させる空洞を作るという優れもの。
硬くなってしまった土は、あっという間に柔らかくなり、続いてとりかかるのは肥料の見直し。
今年は、村ならではの有機肥料「落ち葉堆肥」に加え、発酵を促す「米ぬか」、隙間を作り水はけの効果もある「そば殻」を混ぜることに。
春近い冬の陽射しで発酵は促され、水と撹拌作業を繰り返す事5日、微生物の力で、白い菌糸が広がり始めた。
春先にはそば殻堆肥も柔らかくなり、畑に混ぜ込み、ひとまず土づくりは完了。


●4月 種まき
毎年蒔いている「トマト」「キュウリ」の種に加え、今年は「半白キュウリ」という、昭和を代表する半分白みを帯びたキュウリと、1本漬け用の「長ナス」の種も蒔くことに。


●5月上旬 定植
種まきから2週間、暖かな苗床ハウスの中では全ての芽が出揃う中、一際伸びが良いキュウリを先陣きって畑へ定植した。


●5月中旬 キュウリ支柱立て
畑の半白キュウリも土の効果か、順調に背丈を伸ばし、ツルが折れないよう支柱立てを行う。


●6月 梅雨対策
例年より1週間も早い梅雨入りとなり、作物にとっても心配事が増える時期。
今年の梅雨は村も晴れ間が少なく、大雨になる事も度々あったものの、肝心の畑は、土壌改良の効果か水が溜まる事無く、水はけは良い状態。
しかし長引くぐずついた陽気で大きく生長したキュウリに異変が起きていた。
キュウリの葉が「シワシワ」になってきてしまった。明雄さんに聞いてみると、「ベト病」との指摘。
ベト病とは、湿度が高い時に発病する湿害の1つで、病気に弱い半白キュウリにまず出始めた。
葉を枯らし、収穫量を大きく低下させる危険性がある。
さらに、長ナスにも「褐紋病(かつもんびょう)」が発生。
褐紋病(かつもんびょう)も、湿害の1つで、葉や茎に大きな病斑を作り、広がると収穫に影響を与えてしまう。大きく広がる前に手を打つため、明雄さんの勧めで「スギナ汁」をまいてみることに。
春先によく見かけるつくしは、スギナの胞子茎で地中で繋がっている。
スギナに多く含まれるケイ酸が湿害にも効果があるらしく、ケイ酸を作物に吸わせる事で細胞が強くなり、病原菌の拡大も防ぐことができる。そのスギナ汁をさっそくキュウリとナスにまいた。
こんな身近なものが役立つ事は、新しい発見だった。


●7月 長ナス・半白(はんじろ)キュウリ・マクワウリ収穫
スギナ汁と土の効果もあり、病斑が広がっていた長ナスは回復の兆しを見せキュウリも実が出来始めていた。
今年初めてみる「半白キュウリ」。キュウリなのに半分白くてびっくりした。
食べてみると、水分が多くて、青臭くなく、とてもおいしかった。長ナスも良い実りを迎え、これも瑞々しくてとてもおいしかった。
そんな中、明雄さん一押しの懐かしい作物が収穫を迎えた。
それは、「マクワウリ」。岐阜県真桑町がその名の由来と言われており岐阜出身の私は、小さい頃このウリを「メロン」だと思っていた。それぐらい甘い。
久々に食べる「マクワウリ」はとてもおいしかった。


●8月 ぬか床づくり
今年は、豊作だった夏野菜をぬか漬けにすることに。

<ぬか床の材料>
ぬか5升(約9l)に対して塩4合(約720ml)・唐辛子数本
<ぬか床の作り方>
@米ぬかを、焦げないように混ぜながら炒る。(約30分)
A塩と殺菌作用のある唐辛子を入れて混ぜる。
B捨て野菜を入れる。(これを捨て漬けという)
捨て野菜は1〜2日ごとに替え、これを3〜4週間ほど続ける。
その間、毎日1回はぬかをかき回す。
C握って耳たぶぐらいの固さになり、軽く発酵臭がしてきたら、ぬか床の完成。
捨て漬けとは
捨て漬けはぬか床に水分を与え、ぬかのうまみを引き出すために欠かせない行程。いらない捨て野菜を漬け、ぬかの発酵・熟成を促させる。大根の葉など水分の多いものや、発酵酵素を多く含むキャベツなどが良い。


●9月 ぬか漬けづくり(本漬け)
完成したぬか床に、さっそく野菜をつける。長ナスは1本漬けに。さっそく、塩揉みした野菜をぬか床の中に入れていく。塩揉みする事で、漬かりが早まると同時に、ぬか床が傷まないという利点がある。数日後、程よい水分が出て良い香りのする「ぬか漬け」が出来上がった。味も程よく塩分が効いていて、とてもおいしかった。