年末から続いた雪も一段落、日中は大寒間近とは思えない暖かい日が続いている。
  北登もこの暖かい陽気で、毎日のように小屋の前で昼寝をしている。そんな北登を見ていると私まで眠くなりそうだが、私にはそんな暇はない。
  大切な南国作物達を守らなければならないからだ。

もともと南国の作物のために2重構造にしたハウス。
秋の終わりに堆肥の発酵熱を利用して冷え込み対策をし、ひとまず温度を高く保つことができた南国ハウス。しかし、真冬が近づくにつれ堆肥熱の限界も近づき、再びハウス内を温める方法を考えなければならなくなった。




そこで考えたのが、村にある廃材で作った「床暖房」。外に設置したドラムに薪を入れどんどん燃やすと、数時間後にはハウス内が少しずつ暖かくなり始めた。その暖かさを自分の肌で感じた瞬間、とても嬉しかった。これで寒い村の冬から南国作物を守ってあげられると思った。

この床暖房のおかげか、バナナは天井につくほどに伸びてしまった。そこで今度は急ピッチで増築、なんとか雪が積もる前に工事は終了した。気のせいかもしれないが、ハウスが広くなってバナナの葉が喜んでいるようにも見えた。
この冬を乗り切れば、きっと夏には黄色いバナナに出会えるだろう。
そう思うと今からわくわくしてきた。おなかいっぱいバナナを食べるためにも、なんとかして寒さから守らなければ。

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