「鮭から醤油が出来ました」

村で新たな調味料づくりに挑戦すべく、僕は北海道の石狩市にある鮭醤油工場を訪れた。
そこで鮭を水揚げするところから、鮭を捌くところ、そして、鮭の内蔵が醤油に生まれ変わる一連の流れを全て見せて頂いた。
しかし、鮭はすごい!頭も、身も、皮も、骨も無駄にするところがない。頭は煮付けにされ、骨もカリカリにしておつまみ感覚で食べられるように調理されるなど、全ての部位が食べられている上、燻製・煮付け・刺身など調理方法が多いので料理のバリュエーションも豊富。そして、内臓までも無駄にせず調味料として生まれ変わるのだ。すごい!!

この鮭醤油を生み出すきっかけになったのは、唯一処理されていた内臓を無駄にせず何か活用出来ないかという思いから。工場長の渡邊さんは、開発当時、温度を管理するような機械がある訳ではないので、何ヶ月も付きっきりで管理していたそうだ。発酵がうまくいき泡が初めて沸き上がった時は本当に喜んだらしい。




話しを聞いていたら、村でも共通する部分があるのではないかと思えた。職人方にアドバイスを頂き、村で実現出来るように試行錯誤しながら色々な物を生み出してきた。バナナのように、初めは「極寒の冬がおとずれる村で、南国の果物であるバナナをつくるのは無理だろう」と思うような事でも何とか実現して来た。
今回もやっぱり簡単には行かなかった。特に温度管理が難しかった。3段階に温度を変えつつ4ヶ月間の管理。途中、味噌のようになってしまったこともあったけれど、何とか完成した鮭醤油。味は甘み・コクがあり、さらに一般的な大豆醤油にダシが入っているようで美味しかった。初めて食べた人は、これが鮭の内臓から出来たものとは到底思えないと思うくらい。

ただ、不可能といわれていた事でもみんなで知恵を絞って、手間ひまかけて行く事で、うまくいった時は喜びが倍になるし、美味しさも人一倍美味しく感じる物だと思う。
一番いい方法考えて、少しでもいいモノをつくろうと目指す、こういう所にも物をつくるという醍醐味というか、意義があると思えたし、楽しいと思える場面だと思う。

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