出張DASH村

徳島県鳴門市

鳴門市は、徳島県の北東端であり、渦潮で有名な鳴門海峡の西側に位置する市で、本州と四国を結ぶ玄関口となっている。温暖で雨が少なく、冬季は乾燥した晴天の日が多い。
特産品としては、レンコンの他に、鳴門金時や鳴門わかめなどが有名。

お世話になった方

本田幸士(ほんだこうじ)さん

江戸時代から続く農家の17代目。小学6年生からの大のTOKIOファン。
大学卒業後、マッサージ師として働いていたが、結婚を機に家業を継ぐことを決意し、6年前からレンコン栽培をしている。

本田瞳(ひとみ)さん

本田さんの奥様。幸士さんとは中学の頃の同級生。現在は3児の母。

本田幸雄(ゆきお)さん

本田さんのお父様。ねじりはちまきがトレードマーク。
レンコン栽培は30年のベテランで、美味しいレンコン作りに強いこだわりが。

藤井夏実(ふじいなつみ)さん

奥様のお友達でレンコン農家。地元の料理自慢。

レンコン

蓮根は、蓮の地下茎が肥大した部分。
穴があいているので「見通しがきく」というところから、日本では縁起物として、おせち料理などにも使われている。

徳島のレンコン
出荷量は、茨城に次ぐ第2位。
出荷先は主に関西圏であることから、関西圏市場での産地別のシェアは全国1位。
栽培されるレンコンは、ほぼ全てが長茎種であり、関東では主流のダルマ系はほとんど栽培されていない。

鳴門市のレンコン栽培の秘密

粘土質の土壌
鳴門市周辺の土は、吉野川の氾濫によってもたらされた肥沃な土壌でできている。
大昔から沢山の氾濫を繰り返し、何年もかけて粒子の細かい土が堆積し、少しずつ粘土質の土壌を形成したとされている。保水性が高く、保肥力も強い。
非常に緻密で硬い粘土質のため、瓦の素材や、鳴門の伝統工芸「大谷焼」などに使われていた歴史を持つ。

吉野川
四国を西から東に流れる一級河川。日本三大暴れ川の一つで、利根川の『坂東太郎』、筑後川『筑紫次郎』と並び、『四国三郎』と呼ばれている。
また、水質がきれいなことも特徴で、国土交通省が行った調査で日本で最もキレイな川の一つにも選ばれた。

徳島のレンコンの特徴

食感と味の濃さ
徳島のレンコンは味の濃さと、シャキシャキとした歯ごたえが特徴。
その理由は、重たい粘土の中で、常に強い圧力がかかった状態で育つことで、レンコンは粘土に押しつぶされないよう反発しながら生長するため、引き締まって密度が高く、シャキシャキの食感になる、と言われている。

色の白さ

1.粘土質の土壌
粘土質の土壌は粒子が細かく砂利等がないため、余計な傷がつかず、黒ずんだりしない。
→レンコンの皮は意外と薄く、傷つきやすい。砂のような粒の大きい土壌では、生長の過程で皮が擦れ、黒い斑点が沢山出たり、茶色く変色したりすることがある。

2.葉を倒す
収穫する少し前に葉を倒すことで、レンコンと空気を遮断し、酸化するのを抑えている。
→レンコンが赤くなるのは、葉から茎を通って酸素が送り込まれ、酸素が泥の中のレンコンの
表皮から放出されるときに鉄分と結合し、その酸化鉄の赤さび色が表皮につくため。

徳島の主力品種「備中」

明治の初期に長崎に渡来し、岡山県が基点となり、「備中種」と呼ばれて各地に移動し広がった。
現在、徳島県で露地栽培されている主力品種。
他の品種にくらべ、1つ1つの節が大きく細長で、深い位置に伸び、色が白いのが特徴。

粘りのもと:ムチン

ムチンは、糖とたんぱく質が結合することによってできる多糖類で、ヌメリのもととなる成分。
血液中の余分な老廃物(塩分やコレステロールなど)を排出してくれる働きのほか、粘膜を保護したり、たんぱく質の吸収を促進させる働きもある。

主な栽培の流れ(備中種の普通路地栽培の場合)

  1. 4月上旬:植え付け
    土をならしあと、種レンコンを植え付ける。
    発芽まではやや浅めの水にし、温度を一定に保つよう心掛ける。
  2. 5月~8月:除草作業~生育
    余分な栄養を取られないよう、除草も数回行う。レンコンの芽や茎を折らないよう、注意が必要。また、この時期から肥料を与え、生育を促す。
    この辺りで葉が大きくなり、どんどん光合成を行い、レンコンが生育する。
  3. 9月頃:葉倒し
    段々と葉が枯れてくるので、収穫する畑の葉と茎を機械などを使って倒し、水につけておく。
  4. 10月頃~:収穫開始
    収穫する約1~2週間前に水を抜く。水がある程乾いた土を掘り起こし、収穫。
    →時期によって収穫する畑をずらすため、次の年の5・6月頃まで出荷される。

収穫方法

緻密で硬い粘土質の土壌なため、関東などで主流の「水掘り」ができない。
そのため、重機などを使い「手掘り」によって収穫する。

  1. 収穫の約1ヶ月前に、機械で葉を全て倒す。
  2. 土がある程度湿った状態で掘りやすくするため、約1週間~2週間前に水を抜く。
  3. 収穫する際に、その日に掘る分の上土をレンコン専用の重機『レンボリー』で、芽が見えるくらいまで掘る。
    ※約50cm深さに生えているレンコンを傷つけることなく、掘り出しやすいギリギリのラインの40cmを掘るのが至難の技。
  4. 上土を除いた後は、専用の熊手を使って少しずつ掘り、ここでもレンコンを傷つけないよう慎重に収穫する。
    ※地表に出ているレンコンの芽の向きから地下茎の向きを予測し、丁寧に熊手を入れていく。

洗浄・出荷

  1. 泥がついているレンコンは、レンコン専用の水槽に一本一本つけておき、表面の粘土をやわらかくして剥がれやすくする。
  2. その後、360度から水が噴き出すレンコン専用の洗浄機で一本一本キレイに泥を洗い流す。
  3. 形を整え、木毛(もくめん)(木を細く削ったもので、保水とクッション材の役割をする)を敷き詰めた専用の段ボール箱に4・5本入れ箱詰めした後、主に関西圏に出荷される。
    ※三節で出荷されるものは最良とされる。

調理

ミルフィーユカツ

  1. レンコンは皮付きのまま、薄くスライスする。
  2. 豚ロース肉にレンコンを並べる。(肉→レンコン→肉と更に重ねる)
    ※この時に豚肉からレンコンがはみ出さないようにすると、形が綺麗になる。
  3. 梅肉を塗り、更にもう1度レンコン→肉と重ね、塩・胡椒で味付けをする。
  4. 卵と小麦粉、パン粉をつけ、170℃の油できつね色になるまで揚げる。

レンコン月見つくね

  1. レンコンをすりおろしたものと、みじん切りにしたものを用意する。
  2. 鳥ひき肉・卵黄・おろし生姜・酒・白ゴマ・片栗粉・塩・胡椒を加え、粘りが出るまでよくこねる。
  3. 形を整え、のりを巻いたら、フライパンで片面ずつ焼く。
  4. 醤油・みりん・砂糖・水溶き片栗粉で作ったタレを加え、よく絡ませたら卵黄を添えて完成。

レンコングラタン

  1. レンコンは皮付きのまま、薄くスライスする。
  2. 牛乳・小麦粉・コンソメ・塩・胡椒を入れ、泡立て器でよく混ぜホワイトソースを作る。
    ※この時、牛乳は数回に分けて入れるとダマにならない。
  3. バターとベーコンを炒めたフライパンにホワイトソース・スライスしたレンコンを加えて、とろみが付くまで混ぜる。
  4. 塩・胡椒で味を整えたら、チーズをのせ、オーブンで10分焼いて完成。

レンコンラー油

  1. 多めの油でレンコンのみじん切りを炒める。
  2. みじん切りを取り出した油を再度加熱し、熱々の状態で、器に入れた唐辛子(鷹の爪・粗挽き)・ニンニク・生姜・ねぎに注ぎ込む。
  3. レンコンのみじん切りを油に、戻し、完成。

蒸しレンコン

皮をむいたレンコンを蒸し容器に入れ、レンジで3分加熱する。
※塩やからし醤油を付けて食べても美味しい。